海4

連載『オスカルな女たち』

《 おとなの階段 》・・・5

 4人がここ『kyss』で顔をそろえるのは夏以来、実に2ヶ月以上が経っていた。

「おりちゃんは?」
 当然真実(まこと)と一緒だと思っていたつかさからは自然に出た言葉だった。
「まだ来てないの?」
 所在を知っているらしい真実からすれば、先に来ているものと判断して急いでやってきたという素振り。
「てっきり一緒だと思ったから」
「いや、一緒だったんだけど…」
 真実はそう言葉を濁し、入口に目をやり、
「野暮用で、別々に出たんだ。もうくるだろ」
 丈の長いコートを脱ぎながら答えた。
「でも久しぶりにそろうね」
 そうつかさが告げると、
「それよりマコ、さっきパトカーから降りてこなかった?」
 ほぼ同時にこちらについたらしい玲が言った。
「え?」
 通り過ぎてから車を降りたつもりの真実は、見られていたとは思わずにうろたえた。
「なんかやったの?」
 いたずらに問いかけるも、
「ん、なわけ…佑介だよ」
 そう返す真実に「わかってるわよ」と当然のように笑って答える玲。
 ならいいじゃん…と独り言を唱えるも、
「よりもどったの?」
という、無神経な玲の言葉に激高する。

「ん、なわけ!」

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