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たーにんぐぽいんと その4

気が付けば一番平凡で当たり前のところにいた・・・・

結婚してれば一人前?

とりあえず「女」として生まれたからには「果たさねばならない仕事がある」と思っていた。わたしも、自分を産んで育ててくれた親のように、だれかと結婚をして子どもを作るのだ…という大仕事があるということ。ひととして、この先の人生を歩んでいく過程において、それは自然に組み込まれているプロセスなのだと思っていた。それが一人前だと勘違いをして・・・・
そこにたどり着ければ一人前。だから、とりあえず結婚出来れば、自分もみんなと同様の扱いをしてもらえるものだと、変な思い込みにすがっていた。たとえ未熟でも

彼氏もいないのに絶対に結婚できるという自信があった20歳の頃、どこからそんな自信が湧いていたのか「女だから」というだけで、結婚できると思うなんて…世の中には男と女しかなくて、いつかどこかで線と線がまじわる箇所がやってくるものだと信じて疑わなかったのは、自分の中に流れる血だとか、遺伝的ななにかがそう思わせたのだろうか
だれもがそうできるわけではないということを、彼氏ができない時点で気づくべきだった学生時代。なのに、なぜそんな将来を信じていたのか、そこいら辺が無邪気脳…子どもだったということだ

大人になったら・・・・

綺麗になって、お化粧もして、キラキラしたアクセサリーを身に着けて、大人っぽい恰好をして、女性と呼ばれるようになって…な~んて、いろいろと考えていたけれど、それって別に大人にならなくても「やろうと思えばできること」なのに、なぜか「今の自分ではない」という変な線引きがあったのは大人になれない己を知っていたからなのか、コンプレックスなのか

とりあえず年相応に結婚はした

自分の中で「いくつになったら…」なんて理想はそれなりにあった。けれども現実というのは、そう易々とはいかない。わたしのような社会不適合者の考える予定なんて覆されて当たり前。甘えが通じるのは家の中か自分の頭の中くらいのものだ

そう、とりあえず「結婚さえできれば」当たり前の人間、当たり前の大人、当たり前の女と世間に認められるものだと思い込んでいたのもだから、目の前にぶら下がった人参にいとも簡単に食らいついたのだ
その辺のお話は長くなるのではしょるけれど、行き遅れることなく田舎者らしく、それなりの年齢で、自分の考える「一人前」を手に入れることはできた。結婚がすべてではないが、結婚できないことには「外を歩けない」くらいに思い込んでいたわたしには、結婚という行為は充分に安心をくれたのだ。たとえ失敗しても・・・・

母は強しというけれど

子どもができただけで女が強くなれるとは思ってもいなかったが、刷り込みとか迷信とか、思い込んだら単純なもので、案外簡単に気持ちは大きくなった。そんなに単純に変貌できるなら、さっさと子どもを産めばいい。だがしかし! だがしかし、なのだ
子どもはある意味わたしがあるべき道に戻るために必要不可欠だった

子どもの存在がわたしを当たり前にしてくれた、当たり前に戻してくれた…んだと思う。子どもがいなかったら、未だ実家住まいで、ニートで、とりあえずご飯は作れるけれど引きこもり…だったかもしれないということ
ご飯を作れるといっても当時はそれほど料理が好きなわけでもなかったから、嫁ぎ先での家事は本当に手探りで、毎日が苦悩の連続だった。むしろ料理が一番嫌いだったかもしれない

「やればできる子」の発動

子どもと一緒に行動する…ということは、ひとりではないということだ。ひとりでなければわたしは、当たり前の行動ができた。ひとりでなければ電車にも乗れるし、スーパーに買い物にだって行ける。子どもがいるだけでわたしは、周りの人間と同じように「大人」の顔をして「大人」の行動をしていられたのだ

子どもってすごい!
わたしってなんて単純!

でもとにかく、他の人が当たり前にしている生活ができるようになった。わたしはここで、やっと「恥ずかしい」のマントを脱ぐことができたのだ

結婚して、子どもができて、(離婚して、)わたしの人生は「大器晩成」の名のもとにとても楽しいものに変わった。子どもの学校行事に顔を出すようになって、人前に出ることもいつの間にか「恥ずかしい」ことではなくなり、それどころか発言ができるようにもなった。子どもの頃は何のこだわりもなく素直にできていたことを、ここにきてやっと取り戻すことができたのだ
とにかく学生時代は暗かった。自分は「必要ない」「なにもできない」とスタートラインに立つことすらなかった予選落ち気分の自分が、ようやっとスタート地点に立ち、走り出すことが可能になった。それから暫く、ドンケツだろうが、なんだろうが走り切ることも、バトンを渡す術さえも習得して、周りが当たり前にしていることを人並みにこなせるようになっていった。それはものすごく重い鎧を脱いだような気分・・・・

これからのわたしになにができるのかはわからないが、可能性が広がったことだけは確かなのだと、ようやっと思えるようになった



いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです