花茶

連載『オスカルな女たち』

《 ブレインストーム 》・・・10

「それは解るけど…?」
 どうしてあたし?…と不思議顔の織瀬(おりせ)。
「でも、明日香さんは自分じゃ動こうとしないし、寡黙なお兄様はいつまでも受け身の体制を崩さないし、手助けしてさしあげようと思って…」
「それで織瀬さんが、一番の適任者ですの?」
 少々鼻息も荒く、珍しく玲にきつい視線を投げる明日香。
「えぇ。さ、ぶちまけてしまいなさいな、明日香さん。そろそろ頭も体も熱くなってきた頃じゃなくて?」
「え?」
 熱くなってきた…という玲の言葉を受け、聖は慌てて目の前の紅茶に手を伸ばし鼻をひくつかせた。
「玲…!」
「なによ? ただのアップルティーでしょ」
 そう答える玲の言葉を待たずに聖(ひじり)は「明日香…大丈夫か?」と、恐る恐る明日香の顔を覗き込む。
「なにがですの?」
 2杯目のアップルティーを半分飲みきったばかりの明日香は、すっかり目が座っていた。
「なにを考えて…」
 そう自分を見上げる聖(ひじり)の厳しい目に玲(あきら)は、
「えぇ、カルバドスを数滴。そうでもしないと進まないでしょう」
「だからって…」
 明日香はまるっきりの下戸だった。アルコールならどんなものでも少量で酔える。

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