窓

連載『オスカルな女たち』

《 内緒話と捨て台詞 》・・・14

 初めてのエレベーターで4階まで上がり、玲(あきら)は部屋の方へは進まずにつかさの使っている非常階段とは逆側の非常階段扉に手をかける。
「え? 階段下りるの?」
「いいえ。もう1階上に行くのよ」
 非常階段奥の扉に鍵を差し、玲は「閉所恐怖症だったかしら?」とつかさに訪ねた。
「ぅうん。そんなことないよ…」
 尋ねられたことに眉をしかめ、だがなぜ聞かれたのか鍵の開いたその先の空間を見て納得するつかさ。そこは四方の壁が真っ黒の、ちょっとした公衆トイレ程度の広さしかないエレベーターだったからだ。
「こんなところにもエレベーター…」
 妙な不安を抱えたまま、玲に続くつかさ。
「このマンションは6階建てなのよ」
 そう言ってひとつしかないボタンを押して扉が閉まった。
「上にも部屋があるってこと…?」
「えぇ。私の…プライベートスペースよ」
「へぇ…」
 そんな会話も終了しないうちに、再びエレベーターは開き玄関アプローチが目の前に広がる。
「え、マンションの中に…家?」
 どうなってるの?…どんな造り?…と、目をしばたたかせキョロキョロと辺りを見回すつかさ。
「これが、プライベートスペース…」
「えぇ」

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