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蜜月の刻(とき)

「古峰沢。どうだ? インタビューは捗ってるか」
「編集長」

必要な時に必要なものが手に入らないように、逢いたくないと思っていると出くわしてしまう。

「なんだ、変な顔して。まだ人探しか?」
「そうじゃないんですけど。なんだか、自信を失くしたというか…」
「自信? おまえ、今の仕事にそんなに意欲的だったか?」
「そういうことじゃなくて。なんだか、いい話がないというか…」
「いい話? 別にいい話を集めろと言ってるわけじゃない」
「そうですけど。なんだか生産性がないというか、建設的でないというか」
「なにわけわからんこと言ってる。まぁ、もうしばらくやってみろ」
「はい…」

なんだか、わたしのポジションが解らなくなってきた。
これなら、この仕事を任される前の方がまだよかった?
編集社に入ったというのに、編集の仕事を一切していなかった時の方が、まだ仕事をしている気がする。それは、満足な仕事ができていないというジレンマだろうか…?

そうなのだ。インタビュー自体は自分にとってはいい経験になっているとは思う。だが、いかんせんテーマが悪い。

「初体験はいつですか?」
聞かれてホイホイ答えてくれるひとがいるどころか、聞いたら聞いたで後味が悪い。おまけに自分の経験談まで話す羽目になった。
自分の経験を話すことで、逆にインタビューされる側の気持ちを味わうことはできたわけだが、丸裸にされたようで、これまたバツが悪い。
インタビューを通して「勉強しろ」ということなんだろうけれど、これが果たして身になっているのかすら解らない。


へこむなぁ・・・・



いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです