タラモサラダ__2_

連載『オスカルな女たち』

《 やさしくなれない 》・・・2

「それにしてもまこちゃん、最近休みなしだね。忙しいのはいいことなんだろうけど…」
 つかさの言葉通り、近頃の「吉澤産婦人科医院」は出産ラッシュのようで真実(まこと)は織瀬(おりせ)と一緒にいるどころではなかった。
 実際、先日のつかさの「トリミングサロン」の開店日も顔を出して早々に呼び出しがあり、話もままならないほどだったのだ。
「あれからマコの様子はどう?」
 織瀬のマンションに転がり込んだ辺りから「様子がおかしい」と懸念していた玲(あきら)も、織瀬の入院以来連絡が取れていないようだった。

「どう、なんだろ。でもあたし、来週呼ばれてるんだよね」
 自分のことで精一杯だった織瀬には、玲ほど敏感に真実の変化には気づけずにいた。だが、自分の仕事休みに「時間があれば出てきてほしい」と連絡を受けていたことを告げる。
「そう? じゃぁ、ちょっと気にしておいてくれないかしら」
 玲は普段から「余計な詮索はしない」主義だが、今回の真実の態度にはどうにも引っ掛かりがぬぐえずにいるらしい。
「うん。あたしも気になるし…」
 さんざん世話になっておきながら、気遣えない自分を恥じる織瀬。呼び出しがなければ、自分から真実を訪ねるつもりでいた旨を話した。

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