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ボウキョウによせて

わたしの生まれ故郷は福島県。物珍しいものがあるでもなく、テーマパークがあるわけでもない。テレビに映るような大事件もなく、ただそこにある…というだけのつまらないところだと思っていた
ハッシュタグをつけるなら、そう「白虎隊」「菊人形」「ウルトラマン」「ままどおる」「喜多方ラーメン」…辺りが有名だろうか


この小説を読んで、わたしの中で「他人事」になっていることに気づいた
ひょっとしたら忘れたいのかもしれない…とも思った。でも多分、わたしの立ち位置はあまりいいものでないことだけは確かだと思う

小説を読んでいく中で、いろいろと蘇る。だけど、言葉にならない。言葉にすると、途端に全部が嘘になるような気がした。だって、わたしはあの日の傍観者だ

当時のわたしは家族と連絡を取り、友人の安否確認、家の中にある歯ブラシのストックや使ってないタオルをかき集めて、被災地に行くトラックに載せたりもした。でも、それはあとからくる後悔を最小限におさえるための自己防衛だった
「とりあえずやれることはやった」と言えるように、その時考えつく限りのことをした。そこには思いやりも悼む気持ちもなかったと思う。口から出てくる言葉とは裏腹に、本当に自分のことしか考えられなかった

我ながらひどいと思う。この先、どんな足跡が自分の身内を襲うか解らない
それは風評被害や原発の、大きな爪痕が遅れてやってくるかもしれないということだ。作り上げることは永遠で壊れるときは一瞬だ。それでもコツコツまた初めから、そうしてこれまでになった


たくさんの人に読んでほしいと思った。この小説は家族愛を謳うヒューマンドラマだ。家族団らんの夕餉の席で、みんなでテレビに向かい談笑する

わたしはこの小説を自分の胸に埋め込みたい。ついぞ忘れがちな家族のありがたみを忘れないため、この小説を心の防波堤にしたいと思う

ずっと上げられずにいた記事を出そうと思った。多分なんでもない時に出した方がわたしにとってはいいかもしれない…と思ったから。忘れてはいけないけれど、わざわざえぐるような真似をするのもどうかと思うから…そっと置いておこうと思う


今これを出すことにためらいがないわけではない。でも感想文を書くにあたり、どうしても避けられないと思った。また実家に帰れない日が来るなんて思わなかったから・・・・
「ただいま」って言える場所があることに感謝するとともに、わたしもそんな家でありたいと思う



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