見出し画像

連載『オスカルな女たち』

《 ギフト 》・・・12

「それで?」
「思うように話ができたわけじゃないけど、結果は案の定最悪で…。戦わずして負けたっていうか、沈黙の拒否を受けたわけ」
「答えなかったってこと?」
それには織瀬(おりせ)も黙ってうなずいた。
「それで…。もう『子どもはあきらめる』って話をね、もえもえにしたわけ」
「なるほど」
 それで、子どもは作れないが、自分を慰めることはできると、この結果なのかと視線を下に落とす。
「別れ際『結婚記念のプレゼント送るね』って言われて…」
「で、きたのがコレ…?」
「そう…」
「なに考えてんだ?」
「このままでいいのかって、言われたの」
「だからってコレ?」
「そんなに、欲求不満に見えたのかな?」
 織瀬の視点は少々違うようだ。明らかに自分を恥じている。
「そうじゃないでしょ。…立花さんは、自分でコレを持ってるくらいなんだから、彼女にとっちゃ日用品と同じなんだよ」
 だからと言ってトイレットペーパーと同じような使用頻度があるかといえばそういう代物じゃない。
(まったく…)
 それが思いやりや厚意なんだとしても、自分と好みや趣向が同じかそうでないかくらいの考えは及ばなかったのか。

いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです