着物__2_

連載『オスカルな女たち』

《 女子会 》・・・12


「そういえば私たちの年齢って、『第2の思春期』っていうらしいですわ。仕事と家庭と子どもから解放されて…これからの人生どうするかって考え直す分岐点らしいですわよ。…抱えてるものが多すぎるのね」
もっともらしいことを言ったのは、ただいまお子さまのお受験に日々を費やしている学部長夫人の桜子だった。

(どこかで聞いたことあるフレーズ…)

「草食っていうのかしら?…今でこそそんな言葉で表現されてますけど、10人が10人、100人が100人、マニュアル通りの殿方なんていらっしゃらないものよ。ダメな殿方は最初からダメですし、もちろん途中からそうなってしまう方もいらっしゃるでしょうよ」
言葉は上品だが、言ってることはなかなか辛辣だ。

「それにしたって…」
納得がいかない明日香に、
「そもそも聞いてみたの? なぜ狼になれないのか…」
ニヤニヤと、お嬢様らしからぬ笑みを浮かべて遥が問う。
「そんなこと…女の口から聞けるわけがないですわ!」
こちらはいかにもお嬢様らしい回答の明日香。

「夫婦なんだから、ぶっちゃけちゃえばいいのに…!」
「夫婦だからって、夫婦だからこそ、言えないことだってあるじゃないですか…」
「別に、『なんで襲ってこないのか』って聞けって言ってるわけじゃないわ」
全く不器用ね…と、遥が呆れた物言いをする。

「思い切って聞いてみるのもよろしいかも? 若い頃のようにいかないのは男も女も一緒だと思いますわ。そっちの相性だって、必ずしも合致するとは限らないでしょうし、みんなどこかで妥協してるものじゃないのかしら?」

女の事情を無防備にさらけ出せないように、男にも口には出せないやんごとなき事情があるのだと語る桜子は、まるで自分はそれを乗り越えてきたんだといわんばかりだ。

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