読書感想文(伊沢拓司『クイズ思考の解体』:第二章 早押しの分類(P.309~P.126))其ノ④

(編集中。進捗8割3分。)

前回のノートはこちらから↓

以下、読むのと同時進行で殴り書きしたメモを元に作成。(2021/11/3)

  ◇  ◇  ◇

〇構文紹介:No.001~No.005(p.148~p.171)

・ようやっと、構文にお目にかかれる。長かった。だけど、まだまだ入り口。わかりやすく、刻んで、丁寧に感想を拾って行こう。どんなクイズ問題が出てくるか楽しみぜよ!😆
・なんと、全部で25個もの構文が200ページ弱にわたるカラーページで紹介されている!ペラペラペラと、めくれどもめくれども、終わりが見えないこのボリューム感は、圧巻ボリューム感謝感激!
・先ずは、キリのよいところまで進めよう。構文No.001の「基本型1-確定先」から、構文No.005の「例文」まで。でゎでゎ、いざ!

No.001:基本型1―確定先

Q.__/__ , ____ ? Ans. ___

・トップバッターは「基本型1-確定先」。問題文が2フリ以上で構成されていて、最初の節で確定要素が来るタイプ。ちょうど、No.002の「基本型2-確定後」とセットで対になる、シンプルな形ですな。

・例題が書いてある。チャーチルが答えになる問題だ。ボタンを点けるポイントは、「Q.5ポンド紙幣の肖像/にも…」ですね。
・「5ポンド紙幣」と一口にいっても、イギリスポンドだけでなく、厳密にはエジプトポンドの可能性もあるのか、それは思い至らなかったわさ。
・エジプトの5ポンド紙幣には、壁画に描かれた古代の王様が載っかってるのね。これは、肖像って感じでなく、背景って感じだから答えになりにくそう。二千円札の紫式部を肖像画っていうかというお話しですね。

画像1
(日本語版Wikipedia:エジプト・ポンドより。ナイル川の象徴をあしらった5エジプトポンド紙幣の裏面)

・ちゃんと"基本"の意味を曲解しないように断っている。第二章のはじめにも同じこと書いてたので二回目だな。大事なことなので二回言うスタイルか、ふむ。
・繰り返しになるが、言葉の独り歩きを避けるには、呼び方を「基本型」ではなく「早押し用ベーシック」と言うなど、誤解の余地がより少ない単語を使うといった工夫もできると思う。大事なことなので二回言うスタイル。

  ◇  ◇  ◇

・んで、クイズ問題学からクイズ強化学へと話が移る。「基本型1-確定先とは何か?」とクイズ問題の構造と特徴を示した後に、「強くなるにはどうするか?」と問題解決を論じる。いいね、真っ当なQuizologyのやり方ぜよ。
・そうね、切り口(Facet)を意識した学習と、カテゴリ型の学習。いわゆる、MO(まとめておぼえる)
・ただ、これだけだと、クイズプレイヤーなる者は、いかに多くの確定要素を覚えるかに終止し、聞こえた単語にいかに早く対応できるかの脊髄反射ゲームを極める者。と捉えられかねないが、分が悪くないだろうか。順を追って固定観念を潰していくのかな?

・お!「なんだよ、クイズって単純な暗記なのか……。」へのアンサーもカバーしてる!いいゾ!なになに?来ました!点の知識から面の知識へ。
・そうなのだ。記憶とは、ドネルケバブでなくネットワークなのだ。
・クイズは暗記だよ。けど、知的に健全な知識()を持つためにも、暗記を数こなすことって大事なんだよ~、と返したか。

・多くの人の「知識観」には、知識が増えるというのは客観的な知識片をペタペタと外側に貼り付けていき、知識の総体が巨大化していくというメンタルモデルが蔓延っている。これを認知科学を専門とする今井むつみ先生は、「知識のドネルケバブモデル」(リンク先pdf)と称した。
・そのようなメンタルモデルを持っているので、「詰め込み教育」という言葉づかいがでてくるし、「こんなに覚えられない、頭がパンクしちゃうよ~」という言動もでてくる。そして、他の捉え方を知らないがゆえに、ボロボロと剥がれ落ちるような記憶の仕方をヨシとしてしまう。
・記憶とは、ドネルケバブではなく、ネットワークなのだ。

・ここは先日の配信で、配信の良心こと田村さんが喋ってた話題でもある。受験生が試験直前に気分が悪くなりトイレに駆け込んだら、英単語や数学の公式がドバーっと流れ出てしまい何も残らなかった的な今敏のアニメーションのお話があるけど、それ違うんじゃね?という話。
・ここらへんの詳しい話は、今井むつみ先生の『学びとはなにか-〈探究人〉になるために』(2016年、岩波新書)が非常に参考になる。色々とクリアになると思うので、「知識とは?」という認識論(エピステモロジー)に興味がある方にお勧めの一冊ぜよ。
・ちなみに、今井むつみ先生は、井庭祟・編著『クリエイティブ・ラーニング-創造社会の学びと教育』(2019年、慶應義塾大学出版会)でも同様のことを言っているので、こちらに目を通すのも楽しいと思います。

・記憶とはつながり。頭の中は、シナプスでリンクされた860億の脳細胞ノードが詰まったハードディスクであり、共通のノードを再帰的に束ね、階層化することで、よりコンパクトに拡散し、そしてより早くローディングすることができるようになる。体系的な理解がそれを可能にする。
・先ずは、その下地となる点を増やしてね!ということね。わかりみがふかい。


No.002:基本型2―確定後

Q.____ , __/__ ? Ans. ___

・お次は「基本型2-確定後」。シンプル第二弾。
問題文が2フリ以上で構成されていて、確定要素よりも前にフリがついているパタンですな。

・例題は、アントニオ・ビバルディが答えになる問題。前半の「Q.バロック音楽を代表するイタリアの作曲家で、……」で候補を絞っておき、後半の情報でぎゅっと絞りきる。
・スラッシュの位置は、「バイオリン協奏曲集『四季/」ですね。

・いや、もう少し調べてみるか。
・バロック音楽をやってて、しかも代表的な作曲家。イタリア人で、作品に「バイオリン協奏曲集」がある人ね。

・バロック音楽って何だろう?あらためて考えてみると、そもそもあまり知らないことに気がついた。
・バロック音楽といえば、ブフォ~~ンと騒がしい音楽のイメージ。色々な楽器があって賑やかな感じがある。
・バロック音楽の作曲家って言っても、バッハだのヘンデルだのベートーベンだのモーツァルトだの、有名人は大体バロック音楽の人なんで特定しきれんのよね。
・んでその中で、協奏曲(コンツェルト)"集"ときたか。しかも、バイオリン。全然、イメージがわかぬ。

・ゆえに、調べてみた。
・「著名なバイオリニストが奏でるオーケストラ」って言われて思い浮かべるのが、大体このバイオリン協奏曲のようだ。中央で天才バイオリニストが演奏し、それに周囲の楽器が重なる、よくみるあれだ。
・気になって調べたことで、「バイオリン協奏曲」のイメージが、経験と結びつきアップデートされた感。またひとつ賢くなったぜよ。

・!? すごいことに気がついてしまった。
・このクイズ問題、協奏曲集の「集」。この一文字がついていることで、ギュギュっときれいにヴィバルディに答えが絞られる美しいクイズ問題になってるんだわさ。すげぇ。
・単体のバイオリン協奏曲はたくさんある。それこそ、三大バイオリン協奏曲なんて括りもある。だけど、楽曲"集"となると、これ『四季』以外に一般の固有名詞がついてて有名な楽曲集がないんだわさ。このWikipediaの一覧ページを眺めてて初めて知ったぜよ。
・なので、この「集」の一文字が、答えの限定に強い役割を果たしている、味のある問題なのね。すげぇ!
・「バイオリン協奏曲……」と聞いて「次に作品名が続くな」と考えてボタンを押す。だけど、曲名ではなく「バイオリン協奏曲/集……」と作品名が出なかったとしても、答をひねりだせる問題なわけだ。ほぅ。

・クイズ問題鑑賞は、心が豊かになるぜよ。
・その一文字で景色ががらっと変わる修辞技法「一字の極み」。クイズ問題鑑賞民を増やしたいけど、語るための共通の概念、用語が広まっていないのよね。和歌を愛でるようにクイズ問題を語れる者がおらぬ悲しみ。クイズノックあたりでやってくれないかな。絶対好きなはずなんだけどね、語る言葉がないだけで。

・調べて深掘りすることで、「バロック音楽」に対する感覚を知識とつなげアップデートすることができた。三大バイオリン協奏曲も知れたし、バイオリニストがオーケストラの中で演奏を奏でるよく見る絵面ってバイオリン協奏曲なんだ~、って感覚も手に入れることができた。
・そして、早押しクイズ的に、この「集」が大事なことにも出会うことができた。1つのワードで、ぎゅっと限定がかかる感覚。これぞ、作問の匠ぜよ(*´ー`*)

  ◇  🎻  ◇

・んで、クイズ強化学のお話に移る。
・そうね。何これわからん!でなく、わからんなりに何がわかるかを考えて準備する。それの繰り返しぜよ。なんでもは知らない、知ってることだけ。だからこそ、知りたくなる。そういう心ぜよ。

・にゃる。MOできるタイプのカテゴリファセット節は、もはや構文マーカーとして捉えてもいいぜよ。クイズは極論、多答クイズであり、そして、それは愛なのだ。

・経験則といっているけど、たしか認知心理学の実験で、まんま早押しクイズやん!ってのがありますね。しかも、わりと古典中の古典だった気がする。プライミング効果の文脈だった記憶だが、後で探してみよう。
・あった。「反応時間」ですね。スポーツ科学とかの文脈で早押しクイズを分析したいなら、ここらへんの前提知識は必須だと思う今日このごろ。
・そう。集中は集中を呼び込むのだ。全集中、問の呼吸弐ノ型「確定後」。

◯中間まとめ:"確定要素"を中心にクイズ問題を塗り分けるクイズ観について


・確定先と確定後。この2つを基本としましたか。さて、ここからどう展開していくのだろうか。

・分析のスタートとなる「基本」のクイズ問題の置き方としては、単なるOFPで構成できる「Q.カは何科?:("カ")-【"科"】-[ ? ] 」なんてのが一番シンプルな形だ。
・ただ、これだと、作問学や分類学の観点では展開しやすいが、強化学、つまり、"早押しの思考過程を解き明かし、クイズ王はなぜ早くボタンを押せるのか?を説明する"という目的を達成するには、論を展開しづらい。知ってたからの一言で終わってしまう。
・伊沢氏が語りたいのは、最近の競技クイズ界隈でトレンドとなっていると先日の配信でも言っていた「問題文と答えとが1対1ではなく、文脈から答えを推測できるようなタイプのクイズ問題」についてなのだろう。そのため、だんだんと絞っていくとか、だんだんとわかるようになってくるといった、早押しクイズの特性を楽しみ方を説明しやすい、前フリと後フリの濃度が異なる形を基本型に据えたのだと思う。

・クイズ問題には必ず確定要素があって、その前の、答えが絞りきれない部分が確定前(前置き)、んで、その後が確定後補足、というのは、早押しクイズの思考を説明するにあたり、これほどシンプルで適した形はない。慧眼である。
・この見せ方によって、前もって推測して構えるという早押しクイズにおける思考をきれいに説明できるようになる。
・従来の市販本では「確定ポイント」と「前フリ」と「後限定」という言葉までしかなかった。古川本では、クイズは「前フリ + 後限定」が基本的な形だと書いていた。
・前フリは、「フリ」の文脈なので、確定の有無は触れられないし、後限定は、「フリ」の文脈と「確定」の文脈とが一緒くたになってしまっている。これにより、前フリにおいて限定力がどうなっているかは言及しづらく、また、後フリに限定力が弱い情報が来るタイプを表すことが出来ない。

(図)

(編集中)


・2021年開催のabc19thで出された問題群にもみてとれる。前フリそれ自体というよりは、前フリ内にファセット組込型の拡張修辞節を使って雰囲気を醸し出しているので基本型2より解像度がもっと細かいレベルでの説明が必要なのだが、それを論ずる布石として、この形を基本型の一番手にもってきたのだろうか。

・振り返ってみると、No.001とNo.002の基本型は、「①クイズの問題文の節の位置」と「②クイズ問題文で限定力が1となる位置」との組み合わせの二要素で記述したわけだ。ふむ。
・要は「フリ」と「限定」とで分析している。
・結果だけ先に見えてるけど、ここは急がず、形態分析法(モーフォロジカル・アナリシス)チックに、存在可能性をちょっと丁寧に確認してみよう。

・まずひとつめ、「①クイズの問題文の(外形的な)構造」って変数には、「前振り(クイズ問題文における前半部分)」と「後振り(クイズ問題文における後半部分)」の二種類の要素があるとしておくと。
・とりあえず細かい定義は考えず、単純にね。中フリとか考えない。
・んで、それぞれにクイズ問題においては、「②最初に限定力が1となるか否か」の属性が設定できる。要は、スラッシュがつくかどうかの二値をとりうるわけだ。

・そうすると、単なる組み合わせとしては2×2通りができあがる。書き出すと、{①構造:前フリ、後フリ} × {②確定の有無:確定、未確定}={前確定、後確定}、{前確定、後未確定}、{前未確定、後確定}、{前未確定、後未確定}ですね。

・このうち、スラッシュは問題文に必ず1個しかないので、「制約:問題文における確定ポイントは一つのみである」から、表中の左上の{前確定、後確定}が除外され、また、「制約:クイズ問題はこたえが一意に確定していなければならない」から、表中の右下の{前未確定、後未確定}も除外されるので、No.1とNo.2のふたつが残るというわけだ。にゃる。たしかに、この2つしかない。

※要修正

  ◇  ◇  ◇

・ちなみに、「問題構造(前フリ、後フリ)」と「完全限定の位置(前限定、後限定)」ではなく、「問題構造(前フリ、後フリ)」と「フリの限定力(強、弱)」との組み合わせを見てみると、この章の初めのほうで「ガスパチョ」の例で示されていたタイプの問題も、もう少し細かく位置付けることができる。

(図)

・観察された表面的な現象をそのまま仮説的な解釈で帰納的に分析するに留まるのではなく、構成要素にいったん分解してから組み立てなおし、理論付ける分析のやり方まで踏み込んで欲しかったなと思う。
・体系的でなく事象の列挙っぽい感じを受けたのは、ここのとこも関係してるだろう。折角「フリと限定の分離」を示したのだから、もっと根本的要素に分解し、全体の構造から俯瞰できるように示して欲しかった感がある。むぅ。

No.003:文頭確定情報系

Q. ﹏﹏﹏「_ /_」_ , ____ ? Ans. ___

・んで、構文マーカーの登場ですね。
・問題文に、「その直後に、答えと一対一対応になる単語がくる」部分を含むタイプですね。いわゆる、確定予告のファセット。ぎゅっとカテゴリを絞って、ぱっとひらく。

・例題は、「山号を…」とその直後の「洪隠山(こういんざん)」から西芳寺(さいほうじ)が答えになる問題ですね。山号MO。
・クイズやってる人の癖なのか、人物を覚えるときに「タゴール」だけを覚えるのではなく「ラビンドラナート・タゴール」とフルネームで覚えておくように、お寺の名前も「西芳寺」だけでなく「洪隠山西芳寺」のように山号とセットで覚えるようにしている。記憶に残りやすいし、なにより響きがカッコいい!

・過去のクイズ本では、「よく出る切り口」として、ファセットレベルの早押しクイズ問題対策を示したのよね。まさか、同じのをなぞるだけで、残りの22個を埋めるなんてことはないよな、、ごくり。

・あ、よかった。きゆうだった。
・「略称」とか「正式名称」とか「語源」とか、それらを束ねる、より抽象的なものとして、「文頭確定情報系」の構文マーカーを使っている。いいね!

・そうね。手っ取り早い実力増強剤であり、これまでそのような扱いを受けてきたね。そして、リストのように、作りやすい。作りやすいということは、出されやすいことにもつながる。

・説明が順序を踏んでいる。いい感じ!!
・ただ、構文マーカーの色付けについては後々困りそうな予感。
・構文マーカーがあるところって、「前置き(黄色)」だけじゃなく「確定要素(赤色)」にもなりうるのよね。

・単純な例を挙げてみる。
・例えば、「Q.トゥピ語で/…」ならば、「ポロロッカ(大騒音)」、「ピラルク(赤い魚)」、「タピオカ(澱粉製造法)」など複数の答え候補があり、これは、構文マーカーの部分が「前置き(黄色)」になる。
・一方で、「Q.チェコ語で/…」とくれば「ロボット(労働)」だろうし、「ウゴル語で/…」とくればおそらく「ツンドラ(木のない土地)」に落ちる。難易度制約や、いわゆる単純化制約を考慮すれば、実質では答が絞られ、構文マーカーの部分が「確定要素(赤色)」になる。
・これらは、次のように表せないわけではないが、視認性が悪いので、緑色の波線下線とするのがスマートだと思います。

(図)

・また、前フリとの関係から構文マーカーのとこで絞れるクイズ問題もあるので、そういった時に構文マーカーでありつつ実質的な確定要素であるものを表すたむにも、限定力と次元が被りうる要素を、同じ背景色という次元に住まわせたのは宜しくない。「形式」では常に「文頭確定情報系」の構文マーカーは「前置き」にしかならない、という整理をすれば成立しなくもないが、補足説明を加えず誤解の余地がより少ない表現方法があるならば、そちらを使うべきだろう。
・なんか、資料作りに駄目だしする会社のおじさんみたいになってしまった。いや、大事なんよ、デザインの話は。

Q.仮面ライダーシリーズの第一作の主人公を演じた俳優で、本名を/

No.004:具体→概念

Q.【ex】__ , __/__ ? Ans. ___

・きました。例示ファセット。
・広すぎるが故に、拙作、作問トランプでは、絵札として指定された作問ワードである。

・皆が知らんものが前フリにくる場合の例ね。んで、その顕著なのが例示ファセットタイプのクイズ問題と。

・わからないなりに、わかるものを使う。これね。

・ちょっと自分事になるが、このタイプの問題で、後フリに文頭確定がくる問題が、ちょっと苦手である。
・前半部を聞いて何とか絞り込めんかと考えているうちに、反応できれば確定するワードが来る。こればかりは対戦相手との相性もあるのだが、仕方がない。

・いいねぃ。「自分の持つ知識の総体が問われている感覚」、いいことばぜよ。
・わからなくても、わかることから推測する。この過程を具体に書いているのが素晴らしいぜよ。これぞクイズ思考の解体。

・いいねぃ。前置きはムダではない。ここを何回も言及して塗りかためていくスタイル。伝わるかなぁ、伝わんないかなぁ。

・ここはねぃ、伝えるには実践、やっぱ実際のエクササイズが必要なんよね。自分が推奨しているエクササイズの1つを紹介しよう。その名も「3文字押し・ザ・ワールド!」である。

・物事を処理するにあたって、ずーっと力を入れたままでは、ぐぐっと行けない。
・大事なのはオンオフ。力を抜くとこは抜く。出すところは出す、である。
・その練習となるのが、この「3文字押し・ザ・ワールド」。スマートフォン向け大人気クイズアプリ「みんなで早押しクイズ(通称:みんはや)」を使うとお手軽に体験できる。よき時代ぜよ。

・やりかたはこんな感じ。ちょっと長くなったので、別記事に分離したのろ。あまり長いと、論旨がぐだるゆえ。

  ◇  ◇  ◇

・先日の配信で、この本を読んでも早押しクイズに強くはならないと言ってたけど、考え方次第なのかね。たしかに、直接に役立つトピックは載ってないので、中級者向けといった感じはある。
・ただでさえ厚いのに、言葉を尽くした補足が必要となれば紙面が足りないのはわかる。誤解を避けるために紙面を100ページは使っているからね。
・ただ、特に2章に関しては、少なくともNo.4まで読んだ限りでも、同じ文章量でもより伝わりやすい書き方はあったろうなと思う。推敲の余地は余りあると思っている。


・行間とか主題の外側にいいこといっぱい含んでいるんだけど、それを読み取るには中級者以上である必要があり、読み取れたところで既にわかっているのであまり意味がないという罠。
・一方で、初心者には伝わるかというと、そんなことはなく、Twitter等で感想を探してみると、「伊沢さんがたくさんクイズのことを考えているのが伝わった」とか「伊沢さんが言葉を尽くしていて熱量が伝わった」といった感想ばかりで、肝心の内容が全然伝わっていないのが見てとれる。
・「全然感想をみない」という声も聞かれるが、それもそのはずで、内容をちゃんと理解できていないのだ。そして、理解できる中級者以上には既に知っている内容だし、もし書いたとしてもクイズ界隈の人間なので、mixiで限定公開されることになる。というカラクリではなかろうか。

No.005:例文

Q.(m:What)【ex】_/_ , _【def】_ ? Ans. _

・例文??おや??
・ん?さっきのと、どう違うの??具体例→概念とちゃうのか?

・あぁ、なるほど。例"文"であることが大事なのね。たしかに、ある概念を説明するときにお決まりのフレーズというのはある。例えばそれが入れ子の文構造とかとな、ふむ。こっちの方は【定義】ファセット寄りの【例示】ファセットなのかな?注釈にもNo.4との違いは、後半の定義を代表する具体例かどうかって書いてるし、うーむ。
・しかし、反例が多々あるぞ。最後の方であくまで傾向だよ的なこと書かれてるけど、そういうのは最初に言わんと混乱して、読者はそっ閉じしてしまうぜよ。うーむ。

・……。

・よくわかんないけど、No.004とNo.005は、題名を構文の内容にしておきながら、形式以上の主張が入り交じった説明になっているので、よくわかんなくなっとるな、これ。
・解きほぐしてみるか。

〇ごちゃごちゃになっている主張の整理と検証

・内容の注釈と補足と構造と限定と実質・形式の解離の説明とそこから生じる特徴とがごちゃごちゃになってるな。しかも、No.4も5も内容では峻別がつきずらいときた。そもそも定義がちゃんと書いてないし、パタンを示す際の鉄則である「具体例は2つ以上」になってない。2つあれば差分をとって共通部分がわかるがひとつだと特徴値が複数あるものを例示しても、どれかわからなくなってしまう。しかも、今回は構文の形式的な定義がない。形式的な定義が有しうる特徴値をエッセイ調に大量に書いているので、さらに混乱してしまう。従来の構文メインのクイズ観が邪魔しているのだろか?構造と特徴が1対1で対応し、構造・特徴間で相互に参照・定義できるものしか是としない風潮に対するアンチテーゼを暗に主張するという高度な裏の意図があるのだろうか?定めえないものは語るなというのか!と。いや、だとしても分別と峻別は必要だろjk。ちゃんと前提として断った上で言うならまだしも、ながながと書いて最後にもってくる。それは、とても辛い。それで帯で科学的だ体系的だとうたい称するか。いや、叩くのは刀鍛冶ではなく刀ではあるが、さすがに羊頭狗肉は別問題だ。狗肉でも売ってほしい状況には違いないのだが、先日の配信でもクイズ研究をタイトルにうたっておきながら、クイズ界隈の者なら知っているような内輪の話を終始続け、最後の最後になって、雰囲気で集客のためにつけたんだ♪てへぺろ☆と言い始める、代表取締役と同じじゃないかと思うがどうか。最後に配信の良心の田村さんが触れてくれたから救われたものの、あれが無かったら、クイズ研究界隈に絶望の呪言を吐き続ける妖怪になっていたところである。
・ぐだめきが過ぎた。

〇伊沢本は、クイズの問題文を体系的に示せたか?

・これ、あれだな。No.1~No.5は、第二章の最初に書かれた5つの凡例をベースにしてるんだな。今、わかった。
・流れとしては、早押しの思考についてはNo.1とNo.2が基本型で、No.3のような文頭確定に注意して押してるんだよ、と。けど、形式と実質が解離する場合があって、スラッシュの位置が後にずれるのと、前にずれるのがあるよ、と。後にずれる場合の例として、みんながあまり知らないフリがくるのがあって、No.4みたいな具体例から入って抽象的な概念を問うものなんかはそうなる場合が多いよ、と。スラッシュが前にずれる場合の例として、No.4のように後半の定義の具体例を例文としてヒントにもってくるとそうなる場合が多いよ、と。いうのがスムーズだろうな。もっというと、基本型1、2に対応して、No.4、5を変則型1ー確定後ズレ、変則型2-確定前ズレと、No.1~5を「限定」という早押しの文脈に統一し、No.6以降を、じゃあ、具体にNo.3のマーカーのように注意すべき箇所はどんなのがあって、No.4や5のように実質と形式が解離する具体例には他にどんなものがあるか、「構文」を分析することで、思考する際の考えないや押しのポイントを明らかにしていきましょうね。とすれば、かなり体系だった全体の見通しのよい説明になるとおもう。
・量が多すぎたのと、忙しいなかでの執筆というのもあったのだろう。第二章は、読み解くに補助線がかなり必要な作りになっている。
・土台の提供は実に偉業で感謝しかないが、土台というよりは土台を作るための場所と材料をもらった感じで、議論を積み上げていくには、補足説明を加えて土台を整える作業を、どっかで誰かがやらんと進まないなと思った。
・代表取締役がここのところ引き受けてくれないかな。適任だと思うのだが。。クイズ論2000で描いた世界はまだ遠いぜよ。ぬぅ。

(体系的か?)
・体系的であるとは?
 →構成要素が、統一的な原理でまとめられている状態。
  単に統一的な視点のみでなく、統一的に適用する原理が必要。
  互いの関連がわかり、要素を体系上に位置づけられねばならない。
  →体系に位置づけることで、体系内の未知の部分の精緻化が可能。
   差異分析が容易であり、存在可能性の追究を可能にする。
・今回の伊沢本は体系的か?
 →体系的に示す要素は満たしているが、原理と要素の関連が説明不足。
 →系統だった説明でない。結果、バラバラに書き散らした感が出る。
 →25の構文の紹介に入る前の文章を丁寧にするべきだったろう。
 →要素は、揃っている。系統だった説明に変えてみよう。

(代替案)

〇従来
クイズ問題 =(ストレート型)or(複合型) 
 → 細分化へ
 → ポイント分析

〇今回
・その1:限定について
 クイズ問題 = Q.___ / ___?(どこかで限定されるもの)

・その2:限定により、クイズの問題文の要素を細分化できる
 クイズ問題 = 確定要素+(前置き、又は、確定後補足、あるいは両方)
      = Q. _前置き_ + _確定/_ + _確定後補足_ ?
 →基本型1と基本型2
  確定ポイントが来るのを考えて待つよ。
  →じゃあ、どこで確定ポイントが来るの?(その3へ)

・その3:構文マーカーについて
 クイズ問題 = Q.__【構文マーカー】___ / __?
 →No.003のように、ここから来るぞ!とわかるフレーズがある。
 →大体のクイズプレイヤーは、こんな感じの思考。
  確定ポイントを確実におさえ、構文マーカーを頼りに反応。
 →ん?じゃあ、結局、暗記じゃん!!
 →いやいや、実はそれだけではない。
  暗記を前提に、事前に推測しているのだ。

・その4:形式と実質の乖離
クイズプレイヤーは、すべての確定ポイントを覚えているわけではないし、新しい事が聞かれるクイズ問題はいくらでも出てくる。既出問に範囲を限り遊ぶ場合は、究極的には単なる暗記なのだが。(暗記といっても、熟練者は、無意識の領域での身体に沁み込んだレベルの学習、それこそ、日常言語を使用するときのレベルでの「わかろうとするまでもなくわかる」の学習段階まで行くのだが。)

いろんな要因で、形式と実質が乖離する場合がある。
大きく分けると、次の2パターン。後にズレる場合と、前にズレる場合。
No.004 Q.  ……….. , _→/__ ?(形式で確定先が、実質は確定後に。)
No.005 Q.‗‗/←‗‗ , ____ ?(形式で確定後が、実質で確定先に。)

これを踏まえると、クイズ問題は「限定」と「メタ限定」とのクロスで、4つに分類することができる。引き続き、これは、MECEだ。

・その5:以降に示す構文の体系的位置づけ
No.001~No.005を基本として、No.006以降は、「構文マーカーのように、ここで考えなきゃ!と注意すべきもの」や「No.005のように、色々と考慮すると形式の確定ポイントより前で押せるもの」の種類を紹介していこう。

因みに、No.006以降は改まって分析されたのが、この本が初めてのものもあるが、クイズ界では、先輩方がクイズ問題の分析に関する書籍を出してきたこともあり多くの構文が知られている。名数型、パラレル、共通項などなど、これらの「クイズの文法」の文脈で語られてきた構文についても、No.001~No.005で示した「クイズ思考」の文脈で塗り分けて分析をしていくこととなる。

具体には、次のとおり。
No.007~No.008 : 名数・並列
No.010~No.015 : 複合型
No.016~No.018 : 共通項
No.020      : 語源
No.022      : 択一

ここで25個の構文を示したが、無論、すべてではない。紙面の都合もあり、基本的な主だったものだけを紹介したものであり、網羅しているわけではない。そして、網羅できないほどに、ここで紹介しきれなかった他の構文も多く存在しているのだ。わたしが把握しているだけで少なくとも400はある。

今回、通し番号をNo.01~No.25ではなく、あえて、No.001~No.025と3桁にした。これは、他に数多く存在していることを知ってもらいたいのもあるが、クイズの可能性がまだまだ広がっていることを示したかったのだ。むしろ、4ケタにしても良いまである。

クイズ問題を分析する土台は築かれた。
こんな特徴のクイズ問題あるよね!これって、伊沢氏の分類で塗り分けると、どんな風になるのかな?と、各自で新たなクイズ問題の構文を発見し提唱してほしい。そして、この体系に位置付けて、次々と追加していって欲しい。
まだ見ぬクイズ問題の形式を、可能性を追求してほしいのだ。君たちのお便りを待っている!!See You!!

ーーーーー

……ぐらいにして書けないだろうか。

体系的にするというのは、こういうことではないかと、わたしは思う。
本質をきれいに抽出し、示し、その先の可能性を、新しい事例をその体系の中に位置付けていけるような余白のとり方をもっているもの。

各所での発言や本書の記述の端々から、今回の伊沢本を土台にして、クイズ内外の人がクイズ研究を深める続いて欲しいのだなとご本人が思っているのが伝わってくる。しかし、続くためには内容を理解してもらうことが必要なのだが、今回はそのために推敲する時間、あるいは作文の技量も足りなかったのかなとは思う。

もちろん、作文の技量に関しては、できるけど、あえてそうしていないという場合も十分に考えられる。
アンケートの一種に、アンケートを回答してもらうことで、そのことに関心をもってもらい意識改革をするというものもある。また、ウィキペディアなんかでは発展させる仕組みとして、ピラニア効果というのを上手く利用している。
そのように、あえて空きやツッコミどころを用意しておくことで、他者の積極的な参加を促し、クイズ研究に関わる人材を発掘しようという意図があるのかもしれない。すべてを知っていて、行きつくところがわかっていても、一人が知っていただけでは何も変わらないのだ。いつでも大事なのは真実ではなくそれを担う人なのだ。
そういう意味でいけば、今回、伊沢本の粗に刺激されてしまい、Quizologyの知見を外に出したので、まんまとやられてしまった感はある。一人だけでやってもダメなのよね、こういうのは。はぁ。

ということで、No.006以降を、分析していきますか。ふむ。

続く
(読書感想文(伊沢拓司『クイズ思考の解体』:第二章 早押しの分類(P.309~P.126))其ノ⑤)

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