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ポリヴェーガル理論で分かる自分のこと

※ポリヴェーガル理論をご存じない方は、最後の「ポリヴェーガル理論とは」をご覧いただけましたらご理解いただけるかもしれません。

初めての感覚 -これが腹側迷走神経複合ON状態?-

2023年4月初旬のワークショップで、今までとは違う自分の状態に戸惑いを覚えていた。

初めてファシリテーターの体験をしてから1年ほど。
参加したワークショップの中でのファシリテーター体験や、
個人セッションモニターを募集して数名のセッションもした。
ファシリテーターとして研鑽している最中だった。

しかし、2022年末の職場でのごたごたで疲弊してどん底状態。
参加していた講座内でもファシリテーターをリタイヤするほどだった。

まだまだ経験値が圧倒的に少ない。
その上、最後のファシリテーター体験から2か月以上たっていたのに、
スーパーバイズを受けられるワークショップに参加し、
ファシリテーターを体験。

ワーカーの前に座る。

絶対に緊張して頭が真っ白になって、
ワーカーが話していることを理解できなくなり、
自分が何をしているのかもわからなくなり、
声掛けした内容も分からなくなり、
浮かんできた言葉を伝えることを躊躇して、
行き詰まる。

そんな状態になると思っていた。

想定通り行き詰った。
でも焦りはあるようなないような。

行き詰るまでのワーカーの前に座っていた30分間。
ただワーカーの表現することを受け止め、
気になったことや浮かんできた言葉を、
いつもよりはためらい少なく伝える。

ためらいが出ているとき、ただ”ためらっているな”と気づく。
”ためらうのも当然だよね”って自分に心の中で声をかける。
”じゃあ、どうする?”って考える。

考えているんだけれど、
自分の思考の世界に入り込んでしまわずに、
ワーカーとのつながりは切らさない。
かといって入り込みすぎない。

ワーカーが自分の中に入っているな、
コンタクトが途切れているな、
そう気づいて、
自分からはコンタクトを切らない。

何かできた手ごたえはないけれど、
シェアを聞いて、
ワーカーと”今、ここ”にいる、
ってことはできていたんだなと気がついた。

何かする、なんてそもそもできないからね。
ワーカーの気づきにともにいることだけ。

それができたのは、
私が私の中にいることができるようになったから。
らしい。

「自分の中にいるってこんな感覚なんだ」と初めて知った。
とってもとっても不思議な感覚。
なじみのない感覚。

あえて言語化するなら、
周りに起きていることにただ気づき、
それによって起きてくる自分の反応にただ気づき、
俯瞰してみてもいるんだけれど、
自分を切り離さずに感じることもできている。
反応はあるんだけれど、
反応的ではない。
そんな感じ。

おなじみの感覚 -一転、背側迷走神経複合体ON状態へ-

2023年4月14日。

職場で声をかけようと思って息を吸い込んだ瞬間、
入ってきた空気の刺激でむせた。
吸うたびにせき込む。

あ、気道が狭くなってる。
背側迷走神経複合体が働いているんだ。

そう気づいた。

翌週には気分が落ち込み、
おなじみのこの世から消えてなくなりたい感覚が出てきた。

やることは山積みで、
出勤前の合間を縫っていろいろやるんだけれど、
身体が重たい。
意識も重たい。

呼吸も浅い。
深く長い呼吸をしようと思っても、
できない。

感覚が鈍い。
世界との間にベールがある。

やっと、やっと、腹側迷走神経複合体の状態を体験できたのに、
こんな簡単に戻ってしまうなんて。
悲しかった。
まだまだなんだって、思うと涙が出てきた。

背側迷走神経複合体の状態に一転したことに気がついてから約2週間。

未だに呼吸が浅かったり、
息ができなくなったり、
身体は思うように動かないし、
やることはあるのに気力は出てこないし、
脈は微弱だし。

今朝は下した。
午前中いっぱい横たわっていて、
起きなきゃって思うのに起きられない。
起きたら起きたで立ち眩みが起きる。

あー、ブレンドしていた交感神経も落ち始めたのか、って思った。

もうこうなったらどうしようもない。
あがくだけ無駄。

でも思考は止まらない。

充電 -少し交感神経が戻った?-

今日はもう寝たきり状態だと思っていたんだけれど、
身体が休みたいだけ休んだら、
夕方になって少し動けるようになった。

こうしてnoteを書く気力が戻ってきた。

ポリヴェーガル理論を学んだことで、
身体におきていることがわかるようになって、
自分を責めることがほんのちょっと緩んだ。

相変わらず自分責めは止められないけれども、
責めるだけじゃなくなったから、
こうして回復も早くなったのだと思う。

私にとっては思考レベルでの理解がすごく大切。
まっすぐに自分の感情にアクセスできれば、
それを感じきることで癒しや回復につながるんだろうけれど、
感情にアクセスしにくい私にとっては、
身体の反応から自分を分析し理解することに意味がある。
理解すると、感じることにつながることができる場合がある。

遠回りだけれど、仕方がない。
これが今の私にあっているのだから。

今回のスイッチの切り替えの仕組み

腹側迷走神経複合体ON!

ここはまだこれからの課題。

でも、1度体験したことは、きっと再体験できる。
体験が積み重なることで身体に染みついていくのだと思う。

あの時、ここにいられたのは、
自分で自分を責めずに、
ただ目の前に現れたこと、
自分の中に起きていること、
それらを受容していたから。

ただ、”今ここ”にいたから、
自分の中にいられた。

どうやったらここに行けるのか、
これから模索していく。

背側迷走神経複合体ON!

むせこんだことでこの状態に入ってしまったことに気づいた。

でも、なぜ入ってしまったのか原因がわからなかった。
わからないことが苦しかった。

からだは巧妙にできている。
命を守るために。

私の場合。

感じることを封じ込めるクセや、
感じたことをなかったことにするクセがある。

自分が感じることに許可が出せない。
自分が感じたことを記憶から消し去る。

自分にOKが出せない。
というか、NGを出してばかりいる。

それはつまり、生きていても仕方ないというメッセージになる。

何か大きな出来事があったわけではなく、
小さな積み重ねで自分を追い詰めていったことが原因だった。

本当は感じていたことをなかったことにしたから原因がわからなかった。

本当は感じていたことに意識を向けると、
また消えていった。

感じきったことによって完了したのか。
いつものパターンで封じ込めたのか。

今は、まだわからない。

答えは、その時の身体が知っているのだと思うけれど、
その時、十分に感じることができなかった。

これは次の機会に意識を向けてみようと思う。

交感神経ON!

背側迷走神経複合体の状態を否定せずにひたすら待つ。
今回はこれだけ。

否定すればするほど無力感を感じ、
背側迷走神経複合体の状態から抜け出せなくなる。
だからその状態になるのも仕方ないよね、
そこに居切る。

そうしたら、動くエネルギーが戻ってきた。

ただそれだけ。

ポリヴェーガル理論とは

1994年にポージェス博士(米国)が発表した新しい自律神経の理論。

ニューロセプションという無意識の知覚によって、
安全/危険/生の脅威を検出し、
行動のスイッチを入れる。

安全であれば腹側迷走神経複合体が活性化し、
向社会行動をとる。
哺乳類だけが持つ神経系。

危険であれば交感神経が活性化し、
可動化の防衛行動をとる(闘争か逃走か)。
硬骨魚類以降の脊椎動物が持つ神経系。

生の脅威であれば背側迷走神経複合体が活性化し、
不動化の防衛行動をとる(フリーズやシャットダウン)。
すべての脊椎動物が持つ神経系。

どの反応も意味があり、いい悪いはない。
私たちの経験の中から状況に応じた反応を身体が選択している。
それは自分自身を守るために身体が選択した尊いこと。
ただ、リスク評価の誤りや、リスクが去った後も防衛反応が持続することがある。
それは適応的な反応とは言えないかもしれない。

ポリヴェーガル理論を学ぶことで、
自分の反応の理由や意味が分かり、
簡単ではないかもしれないけれども、
適応的な反応に変えていくことができる。
そう考えて私は実践している。


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