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トンコ〜第二の故郷〜♯05

どーも。ぐだぐだのぐだです。
仕事し過ぎて時間がまるで足りません。
仕事したくても残業認めてもらえません。
ですが仕事量は4人分くらいの量なんです。
もはや残業代は要らないからやらせてくれえええ

はい。

前回はこちら


三宮に高速バスが到着して、西宮市へと向かう。阪急電車に揺られて西宮北口駅へと到着し、バスで実家のある町へと向かう。

道中、何人かの同世代であろう中学生達が目に入る。
何の疑問もなくただ真っ直ぐに生きていける彼等が、本当に羨ましくて胸が締め付けられた。

何が違う、誰が悪い、どうすれば良かった、そうやってネガティヴな感情に染まった時、自分には飢餓で苦しんでいる国の人、明日生きているかもわからない人、そんな人達を自分と比べて鼓舞するしかなかった。もっと過酷な環境でも必死に生きてる人だっているんだ。泣き言言ってられるか!と思って乗り切った。

自然と地元の学校へと足が向かう。校庭にあるフェンスから野球部が大きな声で部活に励んでいる姿が見えた。
同じだ。どこもかしこも。自分には得難い生活がここにはゴロゴロとあるんだ。
と、その時向こうの方でこちらを指差している生徒がいる。
どうやら見つかってしまいそうだ。慌てて逃げる様に去った。歩いて実家に到着するも、誰も居る様子がない。兄は出かけているようだ。仕方なく兄の帰りを待つのだが、向こうから何か車がやってきたのが見えたので、身を隠す。どうやら"大人達"のようだ。駐車場に停めてある実家の車の下に潜り込み。ひたすらに去っていくのを待った。
家に入っていった"大人達"は程なくして出てきた。
そのままやってきた車に乗り込み去っていく。
とりあえず一安心だ。

そのまま待機していると、兄が帰ってきたので、思い切って飛び出した。
兄に殴られるかとも思ったのだが、思いの外優しく、匿ってやるよと言ってくれた。とりあえずは布団で眠れる。張り詰めた緊張の糸が切れてひたすら眠りこけた。
と、再び呼び鈴がなり飛び起きた。
まずい、どうする!?
寝ぼけた頭で焦って軽いパニックになっている。ゆっくり気配を消してインターホンへと向かうと、モニターに映っていたのは中学の同級生の2人組だった。
まさちゃんと鉄平だ。

2人とも小学校からの仲だ。まさちゃんは誰よりも運動神経が良い。私が知る限り後にも先にもぶっち切りなんだ。だがヤンキーだ。
鉄平はサッカー少年だ⚽️。鉄平の親父さんは焼肉屋を経営していて、小学生の頃よく家に呼んで肉を振る舞ってくれた。私が知る数少ない愛に溢れた大人だった。

どうやら2人はグラウンドに来ていた私に気がついた誰かから噂を聞きつけてやってきてくれたらしい。聞けばもうその噂で持ちきりになっていたらしい。中学生の噂は本当に足が速い。

しかしそれはこの場に留まることが難しくなってしまった事を意味する。どうしようもない、行く当ても、私は考えるのを一旦やめて、鉄平とまさちゃんの3人で夜に遊ぶことにした。

勿論やることは特に無い。
そういう時は決まって、本当にろくでもない事をしでかしてしまうものだ。
原付きでも盗むかという話になり、まさちゃんがどこからか道具を持ってきて、民家の原付きを盗もうとした時に住民が車に乗って帰ってきた。走って逃げるも車に追いかけ回されてしまう。3人はバラけて逃げたので、互いにどうなったのか知る由もなかった。

次の日、家に鉄平の母親から電話がかかってきた。
鉄平は昨日捕まってしまい、警察から聴取を受けていたのだが、話せば私がまた明石学園に連れて行かれる事を知っていた為黙っていたそうだ。しかしおかしいと思った両親が問いただすと、両親にだけ打ち明けたそうだ。
そして鉄平の両親もどこまでが本当かも分からないし、未遂で補導で済んだ事や、鉄平が打ち明ける時に約束したことで、警察にそれ以上話すことはしなかったそうだ。しかし、自分でケジメはつけなさいと。

私は情け無くてたまらなかった。
本当にごめんなさい。ケジメはつけます。分かりましたと話して電話を切って、そのまま明石学園に電話をした。
数時間後には迎えがきて、私のトンコは終わりを告げた。
寮長先生に顔の形が変わるまで殴られると思っていたのだが、寮長先生は私に謝った。復学の話が延期の延期になってしまったことに対して申し訳なく思ってくれていたのだ。私は龍二の様子を聞いたが、龍二はひと足先に捕まっていたらしく、無事で良かったと思った。
こんなに良くしてくれていたのに、トンコして恩を仇で返しすようなマネをして、ごめんなさいと謝り、心から反省した。

これがトンコのお話。
トンコした者には中々重い罰則があって、1週間は誰とも口を聞いてはダメだとか
衣食住全てにおいて本来ならローテーションである役割分担なども1人、順番は最後という孤独な1週間であった。
たしか保母先生がヤンキー母校へ帰るという小説を貸してくれたのを読んだ記憶がある。中々に懐かしい。


寝ますおやすみ🌙💤

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