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日本の経済について#01(信用創造について)


はじめに

もう、ご存知の方も多いと思う。経済に詳しい方々が、幾らか解説をしていからだ。改めて、私も記録に残したいと思う。それは銀行の信用創造に関する問題が、2022年の共通テスト「政治経済」と「現代社会」で出題されていた。実物の問題を掲載していいのか不明なので、掲載はしないが興味のある方は、検索してpdf文書になっているものを参照されたい。

2022年「政治経済」第2問、問5

商業科の「簿記」で取り扱われるようなバランスシートが中央に配置されている。そして、左側に「貸出前のバランスシート」、右側に「貸出後のバランスシート」が記述されている。そして、その図とメモの説明を読んで回答する形式である。

以下メモの部分をそのまま引用する。
『個人や一般企業が銀行から借り入れると、市中銀行は「新規の貸し出し」に対応した「新規の預金」を設定し借り手の預金が増加する。他方で、借り手が預金を返済すると市中銀行の貸し出しと借り手の預金が同時に減少する。」と言う説明だ。

これが、実際の銀行の実務だそうだ。銀行は、顧客から集めた通貨、紙幣を「又貸し」するのではなく、貸し出し相手の預金口座に残高を増やすことで貸し出しを実行すると言うことだ。

選択肢は4つあり、選択肢①②は、「すでにある預金を個人や一般企業に貸し出す」と文に含まれているので、この時点でこれらの選択肢は不正解である。しかし、ここが大切なところだ。このデフレ景気の下、この説明に何の違和感をも持っていない方が多いのではないだろうか。そして、銀行が日本国債を購入する場合も同様である。それは、我々から集めた貨幣を使って国債を購入しているのではないのである。この点は、また別の記事で記述したいと思う。

2022年「現代社会」第3問 、問3

こちらの問題はまんま「信用創造」と言う語句が使われおり、「信用創造」が、どのような過程で行われるか…とストレートに記述されている。先の政治経済の設問を理解できれば、非常に不思議な説明になっている。ちなみに、地歴公民科の同僚に現代社会の検定教科書や参考書を見せていただいたのだが、同じような図が挿入されていた。その単元を開設する折は、この図を使うことになるそうだ。

出題形式は、図の後に「信用創造」に関する説明文があり、説明文の中の空所に入る数字はどの組み合わせが良いか答える形式となっている。実務として預金準備金は必要だろう。しかし、この図は勘違いを起こすのでないか。企業から集めたお金を「又貸し」するように見えるからだ。それに、企業から銀行に向かっているのは、「預金」ではなく、「現金」とするのが良いのではないか。いかがだろうか。

終わりに

以上、2つの問題から、「銀行は集めたお金を元手に貸出業務をしている」と誤解している方が多い気がする。私も、この事実を知ったのは最近である。
その理由は、一般の方は「銀行預金」なるものは、「紙幣」なり「硬貨(補助貨幣)」を銀行に持ち込んで、「銀行預金」にしてもらうものだ、と思っている。それはそれで間違っているわけではないのだが、市中銀行は、融資つまり貸し出しをする時にも、「銀行預金」を設定するのである。だから、市中銀行は、「ある条件下(つまり融資時)において、銀行預金を設定する(創造する、作っている)」と言えるわけだ。その2つを合わせた銀行預金は、現在日本経済の8割以上を占めているのだそうだ。

経済を語るうえで、非常に重要なポイントである。

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