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異文化の陸上競技大会

全国6箇所に点在する米軍基地内、都内のインターナショナルスクールの高校生たちによる陸上競技会を訪れました。

秋はクロスカントリー、春はトラック競技へと種目がシフトします。

陸連の審判員などの参加はなく、各学校の先生たちが審判、役員を務めます。最初の競技時刻は決められていますが、それ以降は流れに任せるといった形式でプログラムにスタート時刻の記載はありません。まったりした雰囲気のまま競技が進んでいきます。

「日本の競技会の進行の手際の良さには本当に素晴らしい」

そう話してくれたのは唯一の競技役員で記録の計測、競技進行に励むブルースさん。

日本在住歴が長く、関東地区のインターハイ予選を見に行った経験もあります。日本の競技役員達の働きから多くを学び役立てていると言います。

競技会中はゴール地点の記録計測テントで内で一緒に観戦させて頂きました。

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最初の競技は1600mリレー。いきなりマイルかと思うとどうやら私が思っていた形式とは違いました。
200m,200m,400m,800mの順でバトンを繋ぎます。学校毎にレベルが違えば、1つのチームの中にも初めて陸上競技の大会に参加する生徒から、慣れた様子でスタートに並ぶ生徒まで様々です。そのため1つの区間で順位の変動が激しいのもまた見ていて新鮮さを感じました。

スプリンターと中長距離が連携してチームを組んでいるのでその分盛り上がりも大きかったです。

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各学校のコーチ達と話をすると、やはり話題に上がるのが生徒のモチベーションの維持だと言います。シーズンによって取り組む競技が変わるため陸上競技の練習に取り組める期間は2ヶ月程度と言います。シーズン外は学校の先生が指導をできないためシーズンが開始しても基礎から作り直す必要があり、ポテンシャルを発揮するまもなくシーズン終了となります。

シーズン外に自主的に練習する選手も中にはいるようですが、数える程度です。

男子の優勝タイムも見ても800mで2分5秒, 1600mで4分30秒程度でしたが、走りを見る限りきっちり練習すれば日本のトップ級高校生達にも匹敵するのではと思える選手も見受けられます。(こればかりはやってみないと分かりませんが)

しかし800mの大会記録をみると1分48秒台とすごい記録が残っています。稀に怪物級の選手が登場することもあるようです。


競技中にはブルースさんがアメリカのシステムについても教えてくれました。どうやらアメリカでは高校の全国大会いうのはなく、州大会までで終わりのようです。スポーツメーカーによる非公式の全国大会はあるようです。

「アメリカの競技会ではスタートをすると集団が一気にバラける。しかし日本の競技会を見るとほとんどの生徒が集団についていくんだ。つけるところまでついたら選手達が徐々に集団から溢れていく」

明らかに最後まで持続できないと分かっていながらついていく理由はなんだ。
そんな質問を投げかけられると私も戸惑いました。陸上競技経験者なら分かるかもしれません。

私も高校時代、当時5000mで15分をきる力が明らかにないにも関わらずよく最初の1000mを2’55などで入ったりしてました。もちろん途中から3’20を超え出すこともしばしばありました。

この件に関しては個人の理由がそれぞれあるため、これだという答えは言えません。

ただ中学生の頃に誰かからは忘れましたが、「神風アタック」という言葉を聞いたことを思い出しました。それを伝えると「そうそう、KAMIKAZE。それだ。本当にそうなのか?」
驚いたように聞き返してきます。
どうやらアメリカでもそんな風に日本人のランナーの姿を表す様子を聞いたことがあるようでした。私もよく分からず言っただけなのでやや苦笑いで話は終わりました。

しかしカナダにいた頃、「日本人は礼儀正しくて、控えめな性格なのにレースのスタートになると人が変わったみたいに位置どりが激しくて、ぶつかるとキレてくる人もいる。レースになると人が変わったみたいだ」そんな風に話すラン仲間がいたのを思い出しました。


最後は3200m。

ナイキの最新スパイク、ドラゴンフライを履いて走る選手もいれば、エアマックスなどのスニーカーで走る選手もいます。そんな大きなレベル差があるため、この距離でも2、3周遅れになる選手も出てきます。

ブルースさんが日本の競技会で学んだ一つにホームストレートにコーンを置くことだと言います。それによりゴールをアウトレーンに設け、周回遅れの選手と区別するということでした。

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ブルースさんの解説のおかげで競技会をより一層楽しむことができました。

このような競技会の情報を知り得たのも、基地内へ入場する機会を頂いたのも横田高校陸上部のコーチ、ダンさんの協力のおかげです。滅多にない経験をさせて頂き本当に感謝の限りです。

日本在住の外国人学生が日本の競技会に参戦できるような活動を行なっていければと考えています。


日常からの学び、ランニング情報を伝えていきたいと思います。次の活動を広げるためにいいなと思った方サポートいただけるとありがたいです。。