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見かけと仕組みの世界

他人の練習メニューやランニングフォーム、レース結果、どんな走りをしたのかなどを見る機会はあります。それを見た時に「すごい」と思う時もあれば「なんでそんなことしたの」と感じる時もあります。
大きく分けると見かけと仕組み、外側と内側の2つの世界があるといいます。そして内側の世界、つまり結果として見れる外見とは別で肉眼では見えない内面の仕組みの世界を理解するには時間がかかり、また思った以上に複雑な要素が絡んできます。

ランニングで言えば、最初に述べた部分は見かけの要素です。どんな練習をやったのかはメニューを見れば分かりますが、それがどのように組み立てられたのか、その日ごとの練習環境、気象条件はどうだったのかは練習に関わった人々にしか分かりません。ランニングフォームについても「フォームが良い」など外見で判断することはよくあります。しかしそれがエネルギー効率のいいフォームかどうかは見ただけでは分かりません。フォームについてはそれぞれ違う定義で判断する場合もあるので尚更ややこしい問題です。私もそうですが、まず見た目が自分好みかどうかは少なからず影響すると思います。

レースの走りについても本人の意図、それまでの準備についてなどを知らなければ、結果やレースを見ただけで、走った本人にとって良いレースだったかどうかは分かりません。見ただけでは理解不能な走りを見かける時もありますが、話を聞いてみないことにはなんとも言えません。
前半から飛ばす選手がいて、中盤以降に激しい失速をしてゴールする選手を見れば多くが「なんで」と思うこともあるでしょう。しかし本人に聞くと「あのペースでどこまで持つか確認したかったので現状がよく分かりました」と話すかもしれません。

ランニングの指導を始めた時、トレーニングの理論がわかっていれば大抵の問題が解決でき良い指導ができると思っていました。
しかし実際現場に入ると予想外の出来事はたくさんあります。
そして人の感情という個々の内面の世界があり、これが一番先が読めない理由の一つではないでしょうか。
例えば指導者が理論、経験に基づいたトレーニングを作成し、これはやればうまくいくと確信しても、それをやる本人がやる気ないといって行わなければ効果はありません。そうなると、無理やりやらせる、説得する、その日は休ませる、別メニューを提案などの決断を迫られます。
これは極端な例かもしれませんが指導者、選手間で日々些細な臨機応変の対応に迫られることは多くあると思います。そしてその事情はそこに関わった人たちしか分からない世界です。

完璧なトレーニングというのが存在しないのは、このように複雑で外部の人には分かりずらい、内面の部分、仕組みがそれぞれで違ってくるからだと思います。良いフォームを定義するのが難しいのも身体の内面で起きていることは分かないからです。
見かけは簡単に見えても仕組みを知れば思った以上に複雑で難しい問題はあり、逆に仕組みを知ると見かけほど難しくなかったということもあります。
何かを学ぶ、分析しようと思うならやはり表面にとどまらず、仕組みの部分まで調べにいく必要があると思います。


日常からの学び、ランニング情報を伝えていきたいと思います。次の活動を広げるためにいいなと思った方サポートいただけるとありがたいです。。