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マラソンの楽しさと本気で取り組むこと

「あと半分もあるのにこのきつさか。今日はもうダメかもな」
「いや、あと2kmは頑張ろう」
「ここまで来ると公園のコースあと3周だ。粘れ」
「あぁ、向かい風かよ。ここで一人になるときついぞ。もう少し集団で我慢」

苦しさが増す中で繰り返される心の葛藤。

自己ベストが狙えるようなレベルでもなく、入賞などの順位が狙える位置でもない。

誰かに目標を伝えたわけでも、それを達成できなければ何か罰ががあるわけでもない。それでもなんとかその苦しさの中に身を置こうとする自分。

またこうやって苦しさを我慢してレースに参加することを決めたのは指導するランナーの方々のおかげだ。

5人の指導するランナー出場する名古屋ウィメンズマラソン。

ランナーとしての心境、コーチとしての心境が入り混じる不思議な感じだ。

「マラソンの楽しさ」と聞かれると沿道の応援、目標達成する喜び、色々と理由を上げることはできるが、はっきりと言葉で表すのは難しい。

確かに大型マラソンとなれば盛り上がりも盛大で、普段は走ることのできない大通りを走れるし、大勢のランナーと一緒に走ることもできる。

ゴールが見えた時の喜びは走ってみないと分からないものだろう。目標を達成する喜びもその人ならではのものがある。完走、自己記録更新、特定の記録突破、順位を達成するなどそれは様々だ。

レースが終わるともちろん記録のことなど結果に対して触れることは言うまでもない。

うまく走れた人、悔いが残る人もいる。どちらであれ結果の部分に対する会話は全体のほんの一部でしかない。

「コースのどこ(向かい風や坂)がきつかったのか」「苦しくなった時に何を思ったのか、どう対応したのか」「レース中に起きた(アクシデントなどの)個人的な経験」「どんな練習がレースの苦しい局面で役に立ったのか」

外からは見えることのない、その人の内面で起きたことを共有するその時間は本当に楽しいものだ。

経験をシェアするだけで楽しいのなら結果は関係ないのか、というとこれもまた難しい。

結果は大事だが、それだけでは十分ではない。本気で取り組むことが必要で、そのための必要条件に目標を定めることがあるのだと思う。

目標と言っても、とにかく設定すればいいのではなく、「適切」に定めれるかが鍵になる。

現在の自分に対して適切な目標を定めるとチャレンジ精神が湧いてくる。適切な目標を定めるには練習を通して自身の体力レベルを理解していく必要がある。

本気になって何かに取り組んだ人同士でしかできない会話がある。

マラソン当日だけ本気になればいいのかと言っても、普段から準備をしてない人がその日だけ本気になるのはできないだろう。本気になったつもりはあるかもしれないが。

まだ再び練習を開始してまもない頃に出た1月のレースでは本気で挑んだつもりが、苦しさを感じるとすぐに引いてしまった自分がいるのを身をもって感じている。

それは会話が深くなるにつれ本気度の違いを本人が身をもって感じることだ。

一緒に苦しい練習を乗り越えた人たちが練習後に会話をする様子を見ると本当にいい表情をして楽しそうだ。練習を見守った立場としてどんな感じだった聞くことはできるが、一緒に加わることはできない。やはり本気でやった人たちしか共有できないものがあるからだ。

なのでマラソンの楽しみ方を伝えるなら、その日一日だけにあるのではなく、準備からレース、そしてその後の一連の流れにあると思う。

マラソンだけに限った話ではないが、心から感じる楽しさとは本気になって取り組み、自身の進歩を感じて、その過程で一緒に共有できる仲間を見つけることだと思う。きっとそれをランニングを通して実感しているのではないか。

苦しいほどに共有できるものの深みが増すのなら確かにマラソンは打って付けかもしれない。だから惹かれる人も増えるのだろう。


昨年の12月から徐々に私も準備を始めてきた。このレースへの準備というよりは、本気の自分と向き合うための準備だ。

ランニングをする姿勢が今までと違うのは、記録などの外的な結果を最終目標にするのではなく、それを一つの材料として本気の自分に触れるという側からは分からない内的な部分に目標を向けていることだ。

でもまだ準備が浅かったかな。残り2kmでは苦しさに耐えきれず意図的にペースを落としてしまった自分がいるのは否めない。

レース後の夜はみんなで夕食に。それぞれの経験を語りながら楽しいひと時を過ごす。ただやはりマラソン組でしか共有できないところもある。ただその会話を聞くのも面白い。

ランナーとしての経験とコーチのとしての経験をいい具合に感じれる。

何より嬉しいのが別々に練習をスタートした人たちが、一緒になって練習したり、レースに参加したりする様子を見れることだ。

点と点がつながって和ができる瞬間に立ち会った気になる。

ここまで書いたがマラソンの楽しさは色々あるし、これが正解とか一番とかいうつもりもない。ただ今回の名古屋を通して立場の違いによる楽しみ方、今の自分が求めるマラソンの楽しさに気づけたのかなと思う。

日常からの学び、ランニング情報を伝えていきたいと思います。次の活動を広げるためにいいなと思った方サポートいただけるとありがたいです。。