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海外富裕層向けツアー企画を8ヶ月経験して感じたこと

こんにちは、インバウンド業界でツアー企画をしている、たにぐちと申します。今日は昨年から新しくはじめた海外富裕層向けの観光ツアーの仕事について、気づきと課題を中心におはなしします。

自己紹介

2018年から観光系ベンチャーに関わり、かれこれ5~6年くらいインバウンド業界にいます。その時の会社の事情に応じて、ツアーガイドをしたり、ライターをしたり、コンサルティングをしたりと、幅広くやってきました。そのなかでも、ツアーの商品企画だけはずっと続けている業務。

2023年の秋ごろから、今の会社で、富裕層向けに特化した企画をしてます。アイデア出しからはじまり、社内企画会議、現地調査、提携先との価格交渉、テストツアーの設計・運営、商品ページの作成・掲載まで。一連の流れを商品ごとに並行して進めています。

どんなツアーをつくっているのか

一つは日本の伝統文化を深く体験できるもの。もう一つは、地域らしい魅力を感じられるもの。どちらの要素もあるとベストだなと感じています。

伝統文化を深く体験できるもの

茶道、華道などの芸道、日本酒やお茶といった食文化をテーマにしたものなどです。外国人向けのコンテンツであれば、いろんな会社がやっているのでよくあるテーマではあります。

競合との差別化、自分たちのカラーを出しているのは「深さ」。エンターテイメント的なもの、カジュアルに手軽に体験できるものとの違いを出しています。師範、職人など、その道を極めている人に協力していただいたり、テーマの歴史やルーツを体感できるものに仕上げています。

例えば、日本酒ツアーの場合、古代から日本酒をつくってきた神社を訪れたり、中世に今の日本酒づくりの原型を生み出したお寺を訪問します。酒蔵も昔ながらの所と、現代的な工場設備のある所に行くという対比的なかたちです。

他社の体験だと、1~2時間でサッと楽しめたりもしますが、自社では丸一日、1泊2日などじっくりとテーマにひたってもらうように設計してます。

寺社仏閣を日本酒というテーマを軸にみせる。酒蔵も工場見学をするだけではなく、蔵の方々と対話する。そのような形で、単に日本酒を味わう以上の体験にしたいなと考えています。

地域らしい魅力を感じられるもの

上記のようなテーマ軸のほかには、地域を軸にしたツアーがあります。事例は少なく、わたしとしてもまだまだ言語化がしきれてないので、わかりにくいかもです。

テーマを起点にツアーづくりをするのではなく、地域を起点に体験やアクティビティを組み合わせたり、新しく開発します。

具体例として、滋賀県・信楽のツアーの話をします。信楽は、たぬきの置物で有名な焼き物の街です。行ってみるとわかるのですが、街のいたるところにたぬきがいます。これはなかなかびっくりします。

最初はプライベートの旅行で行きました。道路沿いには大型のレストランや広い陶芸体験の施設など、団体旅行が流行った時代の旅行スタイルに合わせた施設が目につきました。

が、すこし奥の集落の方に入ってみると、窯元が立ち並んだ景観がよく、アート性の高い雑貨店などもあり、さらにはお店の人たちがとても親切で「なんか居心地がいいなあ」とおもいました。

後日、その時の印象も含めて、会社の企画会議で、信楽でのツアーを提案してみました。「なんかいい」という抽象的な感覚からの出発でした。

調べてみると信楽焼にも長い歴史があり、またお茶の名産地であることもわかりました。最終的には社内外から評価された企画に。

この一連の流れは、地域の魅力の再解釈、アップデートとも言えるかなと。
土地の風土や美しいものを深掘りして、根底にある地域らしさを表現して、インバウンド富裕層向けの体験に設計している感覚があります。


課題:売れるのに時間がかかる

いろいろ言いましたが、自分が作ったツアーの実績はないです。まだない、です。
そもそもガイドツアーというのは、初めて売れるまでになかなか時間がかかるもの。加えて、富裕層向けツアーとなれば、インバウンド市場のなかでも狭き門なので、さらに認知してもらうのは難しいです。

単にOTAに載せる(WEB上にツアーを掲載する)だけではなく、SNSを活用したり、代理店に営業をかけたり、専門の展示会に出てみたり。

確実にリーチする方法を見つけなくてなりません。どのようにすれば着実で効率的なのか、試行錯誤している最中です。

一ついえるのは、数ヶ月ですぐに定期的に予約が入る状態にはならないです。ゲストとの「信頼関係」を構築して、口コミが広がって、じんわりと認知されていく。ここから半年、1年は最低限見ておかないといけないでしょうね。

面白さ:人との出会いと美を感じること

課題の話もしましたが、富裕層向けツアーを企画することの楽しさについても書いておきます。

ツアーづくりは、伝統文化に流れている物語や地域の人たちの想いを、体験を通じて受け取って、現代的意味を吹き込んでいる作業だとかんじています。

その芸道やテーマにとって、歴史的な流れに沿っていて、地域の雰囲気とマッチして、どこか自然さがある。そういうものは普遍的に人を感動させると、確信しています。

あと、この仕事していて思うは、いい仕事をしている人、素敵な生き方をしている人に出会います。どの分野であれ、どの地域であれ、共通して美意識や愛を持った人と関わることが多いです。

そういう人たちのお仕事をさせていただくわけですから、自分の人としての感性や教養が試されるなとも感じます。出会う人たちとのお付き合いの仕方にしても、ツアーとして表現するにしても。

というわけで、ざっくりではありますが、富裕層向けツアーの立ち上げからの学びをまとめてみました。

結論、楽しいですけど、どうやって売るかが大事ですね。それではまた




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