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窃盗・泥棒・怪盗ルパン三世の衰退

 dアニメでルパン三世シリーズ(テレビシリーズ)を#1〜#19まで2倍速で見ました。

怪盗は時代に合わないコンテンツ?

 泥棒をして生計を立てる人物が主役を張るというのは、時代に見合っていないように感じられました。テレビスペシャルシリーズで描かれている内容は、泥棒をして生活している様子ではありませんが、背後には、銀行強盗をして、資金を集め犯罪を繰り返すというパターンがあります。

 現代の子供が、それを受け入れることができるのか・・・と考えるとやや難しいのではないでしょうか?
 盗んで金持ちになるより、有名になって金持ちになる方が、現実の先のロマンに溢れ、ワクワク・ドキドキすることなく、冷めた目で見そうです。さもバカッターを冷ややかな目で見るように・・・。

 しかし犯罪行為に憧れを持つ気持ちは、今もあるでしょう。例えば、グランド・セフト・オートのように犯罪を主目的としたゲームが売れているわけで、その中で展開される銀行強盗などの犯罪行動は、スリリングで楽しめるものです。
(ただしゲームの場合は、そのミニチュア世界の中に入り込む行程が、架空であると認識させ、楽しめるのかもしれませんね)

 では見るアニメーションにおいて、犯罪行為は容認できるのか・・・? と問われると、単純な泥棒家業は受け入れられないでしょう。そう、単純な泥棒家業では、受け入れられない
 受け入れられるとすれば、単純ではない泥棒家業ーーすなわち、囚われの姫君を救い出す(カリオストロ)とか、偽札作りの悪徳組織を壊滅させるとか、世界征服wを目論む悪党を退治するとか、とにかく、犯罪者が犯罪者を裁く描写・義賊的な描写が必要になります。

セカイ系への移行?

(小見出しで、上のように書いてみましたが、業界人でもなければ業界通でもないので、合っているのかどうかはわかりません。多分間違っているでしょう)

 アニメーションで描かれる題材が、世界に悪影響を及ぼす人物を直接倒すことで世界を救うことから、登場人物の個人的な世界(認識)が変化することで、世界が変わる(世界を救うなど)ことに移り変わってきていると、どこかの記事で読みましたが、その影響はルパン三世にも現れています。
#14以降の話は 、全体的に小粒。動画の長さは変わっていませんし、主要な登場人物のやっていることも変わっていません。変わったのは、悪役の目的。

 #14はルパンファミリーの出会いを描いているため例外ですが、#15は珍しいダイヤが欲しいだけ#16はルパンが隠してる財宝が欲しいだけ#17はアメリカ軍縮(ちょっと違うが)、#18はアメリカ大統領を脅迫(#13も同レベルで小粒だが、ケネディ暗殺が色をつけているためマシ)、#19に至っては恋人を取られた腹いせ・・・。

 過去作においても、ある財宝が欲しいだけ、というものはありましたが、それでもやっている行為はアニメ的誇張があって見応えがあります。2002年の#14以降一体何が起こったのでしょうか。(2001.9.11の影響か・・・?)

 涼宮ハルヒの憂鬱(2003年〜)、新海誠の「ほしのこえ」(2002年2月2日)、エヴァは1995年。エヴァは除外して、パッと思いつく(少ないアニメ知識の上での)作品は、だいたい2000年代初めです。
 2001年の#13は自分たちの楽園をもう一度取り戻そうという話ですから、それを含めても、当時、個人的な欲求を満たす悪役が登場する兆しがあったのかもしれませんね(アニメ史などに詳しい人なら、言わずもがなかもしれませんね)。

しかし犯罪者がいなくなったわけではない

 犯罪行為で金を稼ぐより、ギャンブルをするより、普通に働いた方がお金を稼げる確率が高いことは、誰でもわかる摂理です。それゆえに、泥棒稼業に魅力を感じなくなった(話の筋がずれそうな主観)。
 しかし、世の中から犯罪者がいなくなったわけではないことも、事実でしょう。例えば、アル●イダでも、新興宗教でも、詐欺組織的なものでも、一般人の生活を貶めようとする輩は今なお存在しています。

 ルパン三世の家業は受け入れられなくても、そういった、反社をぶっ潰す痛快な作品を作れば、視聴者にカタルシスが生まれます。

 コロナウイルスなど、非常にわかりやすいテーマですね。鬱積を溜め込んでいる題材だと思います。どこかの国がばら撒いたという設定は、顰蹙を買いそうですから、どこかの闇組織がウイルスをばら撒く設定で、それをぶっ潰すという話にすれば、簡単にスカッとするアニメを作ることができます。

 もちろん、あまりにシンプルに作ってはお粗末な結果になりますが、受け取る第一印象は、それくらいシンプルで良いのです。その隙間に、複雑な仕掛けを入れれば・・・。(他人事)

ふぅ、もう一度、ルパン三世テレビスペシャルシリーズが、返り咲いて欲しいものです。


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