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16タイプ分類をさらに掘り下げてみたい方へ

「16personalities」でとりあえず自分のタイプを診断してみて、「ふーん。……で?」ってなった方。
なんか釈然としない、あるいはよくわかんないからもうちょっと掘り下げてみたいと興味を持たれた方。
こんにちはチグです。
今回はそういう方に向けて書いてみた記事です。

この記事のおしながきはこんな感じです。




●16タイプってそもそも何基準で分かれてるわけ?


そもそも16タイプをどうやって分けているのかというと。
まず、人間の心には合計8個の「心理機能」と呼ばれる“因子”があります。というかまあ、あると仮定します。
「どこに?」とか「根拠は?」とかは、いったん置いておいてください。とりあえず騙されたと思って受け入れてみてください。
16タイプ分類(≒MBTI)という理論はこの8つの因子を前提にスタートしています。
で、じつは、「提唱者」とか「冒険家」とかの16タイプって、この「8つの因子の成長率の違い」によって、分けられていたんですね。
詳しく見ていきましょう。

8つの因子とは、以下のようなものになります。

Te Fi Ne Si Fe Ti Se Ni

……はい。
まあ、「は?」って感じですよね。気持ちはわかります。
どうかまだ帰らないでください。
これらの詳細について話をするととても長くなってしまいますので、別記事にまとめました。

なのでここではざっくりと説明します。
以下は、8つの心理機能のそれぞれの役割になります。


Te=『減らす』

取捨選択する。要素を引く。削除する。最短距離の検索。

Fi=『増やす』
発見する。要素を足す。生成する。最長距離の探索。

Ne=『解放する』
拡散させる。シャッフルする。飛躍する。カオスに向かう。

Si=『保存する』
定着させる。整理整頓する。復元する。コスモスを保つ。

Fe=『繋げる』
結合する。集める。異なるもの同士をくっつける。回収する。

Ti=『分解する』
分離する。分岐させる。矛盾を見つける。異化する。

Se=『発散する』
伝播させる。反響させる。特別性の検出。強化する。

Ni=『吸収する』
堆積させる。濾過する。バランス調整。均質化させる。


どうでしょうか。
なんとなく、イメージは掴めましたか?

で、人間の心には、これらの因子を嵌め込む4つのスロットがある、というふうにお考えください。FF7のマテリアみたいなもんですが知らない方は気にしないでください。
「え、因子って全部で8つあるのにスロットは4つなの?」と疑問に思われた方、当然の疑問ですね。たしかにそうなのですが、「4つのスロットが決まれば残りの4つは自動的に決まる」ため、話を簡略化するためにいったん4つにしてあるようです。
なので、この記事でも残りの4つのスロット=「裏スロット」については触れませんが、興味のある方は調べてみてください。いろんな意見が飛び交っていてなかなかカオスで面白いです。

で、
この4つのスロットを先頭から順に、
「第一機能」「第二機能」「第三機能」「第四機能」
というふうに呼称します。
先頭から順に、
「得意」「やや得意」「ふつう」「苦手」
といったイメージでOKです。

この4つのスロットがどういうものなのかの詳細は、こちらの記事でまた詳しく解説しています。

16タイプは、この心理スロットへの因子の当て嵌め方の違いによって分けられるわけですが、法則が存在します。
以下が、スロットに因子を当て嵌める基本法則となります。が、めんどくさい話なので読み飛ばしていただいてかまいません。

第一機能には、あなたがI◯◯PかE◯◯Jなら3つ目のアルファベットが(TかFが)入ります。あなたがI◯◯JかE◯◯Pなら2つ目のアルファベットが(SかNが)入ります。
第二機能には、2つ目あるいは3つ目のアルファベットのうち、第一機能に選ばれなかったほうが入ります(ESTPならTが入ります)。
第三機能には、第二機能の反対の機能が入ります(TならFが、FならTが、SならNが、NならSが)。
第四機能には、第一機能の反対の機能が入ります(TならFが、FならTが、SならNが、NならSが)。
たとえばISTJの方なら「S T F N」という感じになったかと思います。
最後に、あなたがI型なら「◯i◯e◯i◯e」、あなたがE型なら「◯e◯i◯e◯i」、というセットを用意します。この◯の部分にさきほどの「S T F N」を当て嵌めれば完成です。
たとえばISTJの方なら「Si Te Fi Ne」という感じになったかと思います。

「MBTI 心理機能」とかで画像検索すると山ほど出てくると思いますが、一応、ここに一覧を載せておきます。

ESTJ=「Te Si Ne Fi」
ENTJ=「Te Ni Se Fi」
ISFP=「Fi Se Ni Te」
INFP=「Fi Ne Si Te」

ENTP=「Ne Ti Fe Si」
ENFP=「Ne Fi Te Si」
ISTJ=「Si Te Fi Ne」
ISFJ=「Si Fe Ti Ne」

ESFJ=「Fe Si Ne Ti」
ENFJ=「Fe Ni Se Ti」
ISTP=「Ti Se Ni Fe」
INTP=「Ti Ne Si Fe」

ESTP=「Se Ti Fe Ni」
ESFP=「Se Fi Te Ni」
INTJ=「Ni Te Fi Se」
INFJ=「Ni Fe Ti Se」

……はい。
で。
これが何? って話ですが。
要するに、この並び順が、あなたのタイプにおける「因子の成長率」になります。
シンプルに、第一機能は日常生活でよく使うからめっちゃ成長する、逆に第四機能は日常生活でほぼ使わないからほとんど成長の機会がない、ということです。
その成長率がどのくらいなのかは、資料等探しても見つからなかったので、ホント適当な数字で申し訳ないのですが、

第一機能の因子……成長率+100%くらい。
第二機能の因子……成長率+50%くらい。
第三機能の因子……成長率+15%くらい。
第四機能の因子……成長率−100%くらい。

……みたいな感じです。この数字はマジで適当です。ご容赦ください。
ですがこうして、16タイプの成り立ちを改めて見てみると、16タイプがどうやって分けられているのかを改めて見てみると、わかってくることがあります。
つまり、「タイプごとの差って、ステータスの成長率の差でしかない」ということです。


●16タイプ分類はあくまで性格形成のスタートラインでしかないって話


そんなわけで。
16タイプは、言うなれば「各ステータスの成長率の違い」程度のものなので、その成長率をもとにどのステータスを伸ばしてどういう価値観を形成するかはそれこそ人によって千差万別です。なので、
「あの人ってこういう性格だからこのタイプかも……?」ってことは言えても、
「こんなことを言ってくるのはこのタイプに違いない!」ってふうには言えないし、
「このタイプは全員こういう性格!」ってことはもちろん言えないし、
「◯◯タイプと××タイプは100%ウマが合わない!」ってことももちろん言えないと思うし。
まあ、言ってはいけない、ってことはないですが、言わないほうが無難、ではあると思うのです。

要するに、人格形成において最も重要な「その人の歩んだ人生」の部分に関しては16タイプ分類では語るべくもないので、
「あなたはこういう性格だからこのタイプだよね!」
ってのはつまり、
「あなたはそのタイプの成長率に従い順当にまっとうに成長したんだよね!」
って決めつけてるのと同義なので、なんていうか、そう言い切るとしたらもう無礼承知のつもりでいないと筋が通らないし、それなりの責任を持って発言しないと軸がブレるよな、ってことが言いたかったのです。
結局「ISFJってこういう人たち」みたいな「像」としてのISFJと、現実に存在するISFJタイプの人とは、実際のところかなり異なってしまいます。なので、そこを一緒くたにすると一生話が噛み合わない可能性があります。

16タイプ分類って、掘り下げるほど「生身の人間とキャラクターとの溝」の問題に諸要素がぴったりリンクしはじめてめちゃくちゃ面白いのですが、——要するに生身の人間に16タイプ分類という概念を当て嵌めようとする行為における問題と、生身の人間とキャラクターを同一視しようとする行為における問題とが、領域的にきわめて近似する、ということなんですが、これ以上は私のオタクが暴走しそうなのでやめにします。

まとめると、
・それぞれのタイプの上にこういう性格が形成され「がち」ってのは言えるけど、こういう性格だからこのタイプ、っていう逆の方向は、いくら根拠を積み重ねても結局信憑性には欠ける。
・あの人は〇〇タイプっぽい、っていうのは10秒あればわかるかもしれないけど、本当に〇〇タイプかどうか、っていうのは10年かけてもわからない。

まあでも、いっぽうでそういうややこしくて厄介なことを言い始めるとじゃあもう何も語れなくなっちゃうわけだし、そんな制限にいちいち気をつけるのは疲れるしめんどくさいし、こんな「境界」の話INTPとENTPくらいしか喜んでくれなさそうだし、だから言うて気にしなくていい些細なことではあるんだけど、言及しないのも気持ち悪いし、一応大事な前提ではあるので書きました。


●16タイプ分類を知っておくと他者の「苦手」に寛容になれて、人付き合いが少しラクになるって話


じゃあ16タイプ分類ってなんの役に立つねん!って話ですが、

・相手のタイプを推定できれば、相手が何に寛容で、何が苦手かを推測できる。

どういうことかといいますと。
先ほど各タイプの心理スロット一覧を載せましたが、ここで注目したいのが第一機能と第四機能には「正反対の因子」が入り、そして第二機能と第三機能にもまた「正反対の因子」が入る、ということです。
たとえばENTPの心理スロットは「Ne Ti Fe Si」なんですが、第一機能と第四機能には「Ne(解放)とSi(保存)」という「正反対の因子」が入り、第二機能と第三機能にも「Ti(分解)とFe(結合)」という「正反対の因子」が入ります。

つまりENTPは、
Ne(解放)が「得意」でSi(保存)が「苦手」。
そして
Ti(分解)が「やや得意」でFe(結合)が「ふつう」。

という構造です。
ポイントは、第三機能が「ふつう」くらいの感覚だということです。
つまり「正反対の因子」を、第二機能・第三機能に内包してしまうと、どちらか一方が得意でどちらか一方が苦手、ということがなくなり、「どっちもまあまあ使える」、「どっちの言ってることもわかる」みたいな感じになるんです。
よく考えてみれば不思議じゃないですか?
「Ne(解放)とSi(保存)」という正反対セットにはハッキリと「得意・苦手」の感覚があるのに、もう一方の「Ti(分解)とFe(結合)」という正反対セットには「まあ、べつにどっちでもいいんじゃね?」みたいな感覚になるっていう。

で、ですよ。
ここでINTPの心理スロット「Ti Ne Si Fe」を見てみます。
INTPは、
Ti(分解)が「得意」でFe(結合)が「苦手」。
そして
Ne(解放)が「やや得意」でSi(保存)が「ふつう」。

ENTPとINTPは、第一・第四機能に入っている正反対セットと、第二・第三機能に入っている正反対セットが、互いに入れ替わった形になっているわけですね。

すると何が起きるかというと。
ENTPが苦手なSi=「細かい規則やルール、反復動作、常識」が、INTPにとっては苦手ではなく、むしろそういう意見もあるよなと受け入れることができ、逆にINTPが苦手なFe=「共感、協力、相談、力を合わせる」が、ENTPにとってはべつにまんざらでもなく、むしろそういう意見もあるよなと受け入れることができます。
その結果、ENTPが受け入れたものをINTPは受け入れられないし理解できないし、逆にINTPが受け入れたものをENTPは受け入れられず理解できなくて、お互い「???」となり、ここに相互不理解が発生します。
つまり、「自分が寛容になれるものを、相手も寛容になれるとは限らないし、自分が苦手なことを、相手も苦手とはかぎらない」という、人間関係における鉄則を、16タイプ論というシステムを使えば説明できてしまう、ということです。
ああ、ただこれだけの話なのに言語化するとまあ面倒くさいこと。

まとめますと。
・第一機能と第四機能の関係は「得意・苦手」の関係であり、第二機能と第三機能の関係は「意識的な行使・その調整役」の関係である。
・たとえば「第一・第四」に「Ne・Si」を持つENTPにとってSiは不可解で、押し付けられると毛嫌いしてしまうレベルに遠いものだけど、いっぽう、「第二・第三」に「Ne・Si」を持つINTPにとっては「Ne・Si」は相互にシームレスなものであり、日常生活の中でその両方を、時と場合によって切り替えながら使うことのできるものである。
・ENTPにとってはあんなに遠くに感じられる苦手な第四機能の因子が、INTPにとっては「第二・第三」の因子として内包していて、日々使い分けていて、そこに歴然とした差があることを自覚できない、というのは非常に興味深い現象である。
・INTPにとってはENTPが、なぜSi=細かい規則やルールをそんなに苦手に感じるのか理解できないし、逆もまた同様である。
・「自分はこう思うんだから相手もそう思ってるだろう」というのが使えない場面はままある。
・「自分が苦手なんだから相手も同様に苦手だろう」が使えない場面はままある。

急に個人的な昔話を始めますが、私(INTJ)とENTJ氏が同じプロジェクトを動かしていたことがありました。
ENTJの第三機能はSe(発散)です。Seは「仲間との絆を深める機能」でもあります。いっぽう、INTJにとってSeは第四機能にあたる苦手分野です。なので、INTJにとってはENTJがSeに寛容な様が、ただの「身内びいき癖」に見えていたわけです。
あるとき、プロジェクトの大事な場面で、ENTJが迷いに迷った挙げ句、全体の利益よりも身内の利益を優先する選択をしたとき、INTJである私は「は? なんで? コイツ、急にアホになったの??」と、サッパリ理解できませんでした。
またあるとき、プロジェクトの大事な場面で、INTJの私は迷いに迷った挙げ句、メンバーの「私はこれがやりたい」を優先する選択をしました。するとENTJは「え、何してんの? なんで? アホなの??」と、サッパリ理解できないようでした。
INTJの第三機能はFi(増殖)です。Fiはああしたい、こうしたいという「心理的欲求機能」でもあります。いっぽう、ENTJにとってFiは第四機能にあたる苦手分野です。きっとENTJには私の選択が「意味不明な基準による判断」に見えたことでしょう。
こうして度重なる相互不理解によって、プロジェクトは上手くいきませんでしたとさ。まる。

「自分はなんでそれが苦手か」なんて、誰にだって説明することはできません。「それが俺の第四機能だからだよ!」なんて、もちろん相手に言うわけにはいきませんから、「他人の苦手なこと」って、なかなか理解できないし、そもそも気づくこともまれです。
けど、もしそのとき16タイプ理論を知っていて、相手のタイプをなんとなく推測できれば、「ああこの人、これが苦手なのかな」ってなんとなく察して、たとえばどっちでもいいような場面で相手に求めるのを避けたり、ヘタに追及しないようにすることで、人間関係をより円滑に進めることができたかもしれません。
自分がそれをガチで苦手なのと同様に、相手は別のそれがガチで苦手なんだろうな、と想像できれば、ちょっとは許せる、なんならフォローに回ることもできる。しかも勘違いのフォローである確率が減らせる。勘違いだったとしても原因を類推できる。
相互理解は難しい、けれども、それがどのように難しくて、だいたいどういう原因で難しいのか、というのは、16タイプ分類を知ればその一部だけでも、こうして見えてくるんです。

というか16タイプ分類って、そうやって相手を許したり、理解はできないけど自分を納得させたり、そういうことにこそ、使われるべきですよね。


●自分がどこに向かって成長していけばいいのか、そもそも人間にとっての「成長」とはなんなのか、が少し見えてくるって話


「成長」とは、自分の成長率の高い因子を伸ばしたあと、順々に成長率の低い因子を成長させ、そして表記にない裏スロットも含め、すべての因子を満遍なく成長させて、レーダーチャートをまん丸の形に近づけること。
これが16タイプ論の目指す「人間が成長した姿」です。
「すべての人類がやがて辿り着くべき場所」です。

辿り着くとどうなるのかというと、「愛される人」になります。
たとえば芸能人、歌手、格闘家、スポーツ選手、社長、バーのママ、親戚のおじさん、etc……。
「愛される人」というといろんな人が思い浮かぶと思いますが、「成長」した先に、彼らのようになれるということですね。

はい。
まあ、愛される人になりたいなりたくないは人それぞれあるかと思いますが、基本的には、それぞれのタイプの成長率に従い、各因子が順々に成長していくのですが、まれにイレギュラーな成長の仕方もあります。
たとえば人生の中で深く傷ついたり大きな挫折を経験したりした人は、自らの第一機能を用いても生命活動を維持できないことを悟り、第四機能を覚醒させ、一気に第四機能を成長させることがあります。
あるいは、生存戦略としてほかのタイプの要素を吸収して学習して自分のものにしてしまうこともあります。そしてそういう人ってすごく魅力的だし、タイプ診断がしにくい人って、そういう人が多いです。
逆に言うと、16タイプ論は、そういう逆境を肯定しています。「成長」という言葉で。なので、挫折も破滅も糧になるので、是非ポジティブに捉えてくださいね。

あと、「成長」というテーマに絡んでよく「1年前診断したときとタイプが変わった」という現象を、経験したり耳にしたりしたことがあると思うのですが、一応定義上「人のタイプが変わることはない」、つまり「成長率そのものが変わることはない」とされています。
診断結果がコロコロ変わるのは何かというとつまり、成長補正のかかっていない心理機能や、むしろマイナス補正のある心理機能を、生きるために身に付けて、一時的に第一機能や第二機能より成長させることで、まるでタイプが変わってしまったかのような現象が生じている、ということです。
つまりこれは「タイプが変わった」というのではなく「先回りの成長をした」ということです。とても素晴らしいことです。
逆に言うと人間の成長段階である十代、二十代において、自身のタイプを特定する、というのはその意味では難しい、と言うことができると思います。

では最後にまとめです。
自分の芯に自信を持って第一機能を伸ばし、SNSでも家族でも友人でも職場でも学校でもなんでもいいので「社会」と関わって第二機能を伸ばし、たまにはよくわからん意見も受け入れて第三機能を伸ばし、空いた時間でちょっと覚悟を決めて、できるかぎりで苦手分野に手を突っ込んで第四機能を伸ばしていけば、自分が受け入れることのできる人や物事の範囲が広がって、自分を受け入れてくれる人や物事の範囲も広がっていきます。
まあ当たり前っちゃ当たり前のことかもしれませんが、ざっくりと人生どこに向かって進んでいけばいいのかわかった気がして、個人的には気持ちがラクになったように感じました。
以上です。


ここまで読んでくださった方、長長とお付き合いいただきありがとうございます。
もし16タイプ分類にいっそう興味が湧きましたら、こちらの記事なんかもいかがですか?


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