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「人工知能は人間を超えるか」松尾豊著 読了



人工知能は、人間の脳にどこまで近づいていて、どこまで近づこうとしているのか?ディープランニングは、数多ある人間の脳の能力のどの部分を代替しようとしているのか?がよくわかる本です。

人間は、攻殻機動隊のテーマでもある「ゴースト」を持っている。ゴーストはどこに宿るのか?それは間違いなく脳だと思うが、それは意識であり、意思であり、自我そのものだ。

著者の松尾氏曰く「人間=知能+生命」。つまり、人工知能は、現段階の科学ではどこまで行っても知能を代替することはできても、生命を代替することはできない。

松尾氏は、ゴーストという視点ではなく、生物学的な「生物」の定義に即してこのことを解説している。生物とはご存知の通り「自己複製と自己保全」する存在。

自らを維持し、複製できるような生命ができて初めて、自らを保存したいという「意思」が生まれる。

仮にプログラム的人工生命ができるとすれば、それは人間の行為によって人工的に作ることはできる。つまり、人工知能に自ら自己複製するプログラムを組み込めば良い。例えばコンピューターウイルスなぞもそうだ。

しかし、これらも結局の所、現代の科学ではどこまで行ってもプログラムが人工的に作られたものである以上、プログラム自身が自ら可変することは物理的にできないそうだ。

そうすると、プログラム的にではなく生物学的に生命を創造することによってしか、人工知能生命を生み出すことはできない。つまりターミネイターのような世界は、現時点では絵空事ということだ。

結局の所、人工知能の機能とは、人間の知能の機能の一つである「特徴表現の学習=ネコをネコと認識できる能力」であり、ディープラーニングはその手法としてこれまでの手法よりも進化しているという点において、進化しているということだろう。

*東京都 江東区 清澄公園


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