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「プラトン入門」竹田青嗣著 イデア論について

今回は、イデア論についてです。イデア論はわかりにくいのですが、以下整理してみました。

■著者によるイデアの定義
イデアとは「本質」のこと。「言葉の本質」を事例にフッサールを引用し

ある言葉の本質とは、その概念を定義するような何らかの「実体的」な意味内容ではなくて、むしろ、その言葉によって人々が世界を呼び分けて秩序を作り出している、その仕方だと考えるのがいい(157頁)。

そして、

プラトンが「善のイデア」という概念で差し当たり示しているのは「何が事物の根本原因か」ということの答えではなく、およそ人間が世界の諸事物を「原因ー結果」という観点で捉えうるその「根拠」(170頁)


なぜ、我々は様々な椅子を見て「椅子」と認識するのか、その認識に至る仕方や根拠。つまり著者に言わせればイデア論というのは、

想起説からイデア論に至るプラトンの思考の核を、わたしは、絶対真理説ではなくて普遍性の根拠についての説と呼びたい(126頁)。

として、イデア論とは「○○とは何か?」と問うのはなく「○○と我々が思うその根拠や仕方は何か」と問うことだと言っています。この問い方(=仕方)に「普遍性がある」と言っているのです。

私の理解では、

「人間は自分の価値観に基づいて世界を生成し、その世界観のなかで物事の是非を判断していく」

というその仕方は誰でも同じで、

「この価値観をあらゆるコミュニケーションによって、そのコミュニケーションの単位ごとに、より説得性の高い価値観に鍛えていく」

この環境(または能力といったらいいのか)を提供しているのが「善のイデア」ではないか、ということです。

*2010年 青森県 十和田湖

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