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「プロタゴラス」プラトン著 書評

<概要>
若き日のソクラテスが、その当時の知の巨人プロタゴラスにアレテー(徳)に関する対話を通して、アレテー・善悪・快不快・知識の関係について議論した著作。

<コメント>
アレテーを媒介にして、快不快と善悪の関係やアレテーと知識の関係性について、ソフィストの第1人者たるプロタゴラスに挑んだソクラテスの生々しいやりとりが、脚本家プラトンによって展開されます。

当初はアレテーは教えられないものだとしながら最後には、アレテーとは知識だから教えられるものになってしまったという、結論よりもあえてそのプロセスを重視しているプラトンの確信犯的創作が、興味深い。

ソクラテスとプロタゴラスが対話で、ああでもないこうでもないと議論していますが、私の印象では、アレテーとは、ギリシャの5つの善とみなされている「知恵」「節度」「正義」「敬虔」「勇気」のより発揮された状態のこと。

そして本書から私が汲み取った知恵は、快楽と苦痛に関しては、何が本当の快楽で何が本当の苦痛かが計量的に知識としてちゃんと理解されれば善となる、ということ。

ドラッグのように刹那的に快楽であっても、これは表層的な快楽であり本来の快楽ではない。いずれ依存症となって苦痛になってしまうから。

知識を得てアレテーを身につければ「本質的な快は善であり、本質的な不快(苦痛)は悪」となる。

*写真:ギリシア サントリーニ島

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