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「正しい」とは?海外ドラマ「ウォーキング・デッド」
新型コロナ自粛中からステイホームでAmazonプライムの海外ドラマシリーズ視聴継続。
グッド・ワイフ→グッド・ファイト →ゲーム・オブ・スローンズ→ゴシップガールに引き続き、今はウォーキング・デッドを視聴して、とうとうシーズン8に突入。
このドラマは、感染症パンデミック後のデストピア系・ゾンビ(ウォーカーという)系の長編テレビドラマで、現在もシーズン10が進行中。
ただし今は新型コロナ問題で中断している模様。すでにシーズン11放映も決定しており、大人気ドラマシリーズになっています。
このドラマも他の海外ドラマ同様、みはじめると止まらず中毒的に長時間みてしまうのですが、本当に哲学的なテーマ「何が正しいのか」「生きる意味」を考えざるを得ない深遠なドラマです。
全ての人がウォーカー感染症に感染しているため、死んだ人間は全てウォーカーになる。ウォーカーは生きた人間や動物を食料としているので、大量に死んだ人がウォーカーに転位して人間を襲ってくるのです。死んだ脳がウォーカーとして再稼動して復活するので脳を破壊しないとずっとウォーカーとして生き続けます。
そんな中、生き延びたごく少数の人間は、仲間を作り、人を殺し合い、生き延びていく、まさに殺伐とした無法社会。
人間たちの敵と味方が交錯していく様子が、グッド・ワイフ、ゲーム・オブ・スローンズやゴシップガールにも通じる、アメリカドラマらしい展開。
これは今に生きる我々が、突然日本の戦国時代や清朝滅亡後の軍閥が蔓延る中国社会などの乱世がやってきたような世界。ゾンビ蔓延の人間社会では、戦国大名や軍閥のような合従連衡が繰り広げられます。
このような乱世の中、
登場人物ユージーンは「正しいことをすれば良い」というガブリエル神父に対し
「今の世界(ゾンビが蔓延る無政府社会)は何が正しいのかは、人それぞれ」
「そもそも何が正しいかは相対的」
とし、主人公グループ(主人公リック率いるアレクサンドリアグループ)から自分が捕らえられた敵対するグループ(ニーガン率いる救世主グループ)に寝返ります。
ユージーンのいうとおり「何が正しくて何が正しくないか」は生きる世界によって変わっていくのかもしれない。我々はその時代の「正しさ」を内面化して生きているから、この「正しさ」が崩壊したら、どうやって「生きる意味」を見出して生きていけばいいのか混乱してしまう。そもそもこの絶望の世界で「生きる意味」はあるのだろうか?
ゾンビ前の世界に生きていた、法と秩序(トランプ大統領がデモ対策で宣伝しているニクソン大統領の言葉)に基づいた民主国家アメリカ合衆国が崩壊し、法と秩序のない=無法地帯と化したゾンビ蔓延世界では、何が正しくて何が正しくないのだろう。
これまで当たり前だった「人殺しはしない」「人は信用するもの」という価値観で生きると確実に死ぬ世界、人を安易に信用できない世界。
だから生き残った人間は皆、かつて当たり前だった価値観をかなぐり捨てて、デストピア社会の価値観「人は安易に信用しない」「敵は殺すべし」「仲間がいつも仲間とは限らない」といった新しい価値観を身につけないと生き残れない。
でもそれでも本当に生き残っていくためには、実は信用できる仲間を作り、信頼関係を醸成した仲間を増やしていくしかないのではないか。そしてこれが「生きる意味」につながっていくのではないか。
一方で信用できない相手(本当のワル)は排除(殺す)していくのは仕方がないが。。。。
安易に人を殺して憎しみに裏付けられた敵を作るような人間は、短期的には生き残りますが、長期的には生き残っていけない。いつかは裏切られるので常に「力=暴力」に基づく関係を維持せざるを得ない。
ところが「信用」に基づく関係を作れば「暴力」に頼る必要がなく、殺される可能性が低くなるのです。だから「どうやって信頼関係を気づいていくのか」がドラマの中では最も重要な生き残り戦略になるのではないか。
ドラマをみていると気持ち的には「信用」に基づく関係を構築するグループに親近感を覚え「暴力」に基づく関係を構築するグループに反感を覚えてしまうのも、人間という種が今に至るまで繁栄してきた根拠となるべきもので、普遍的な性(さが)ではないか。
人間は本来的に社会的動物であって「より信頼できる仲間を増やしていけるか」がいつの時代も「正しい」といえる普遍的な価値観の一つではないか。
引き続き「正しいとは何か」「生きる意味とは何か」哲学しつつ視聴し続けようと思います。
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