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「移動の自由」の重要性とは

新型コロナによって移動の自由が制限されています。「ステイホーム」つまり家の外には出るなということで、歴史上でもよく出てくる「軟禁」という拘束方法に近い状況です。

移動の自由は、実は自由の中でも一番と言っても良い基本的な自由の要件です。

「人を拘束する」とよくいいます。罪を犯せば罰は「移動の自由禁止」です。

歴史的には、拷問や死刑などの罰の方が主流だっったと思いますが、現代世界においては(イスラム国家では鞭打ちという拷問もまだ残存しているらしい)、刑務所に拘束して移動の自由に制限をかけるのが最もメジャーな「罰」。

懲役6年とは、刑務所での拘束6年、つまり「移動の自由禁止6年」ということです。

したがって、近代市民社会の原理を日本国憲法として掲げる日本の場合は、この原理を重要視する立場から、外出自粛要請であって、外出禁止とはしていません(爆発的に死者が増えれば最終的には外出禁止に踏み込むかもしれませんが)。

近代市民社会発祥の地ヨーロッパでは、スウェーデンなどが外出禁止をしていませんが、主要な国家はほとんど禁止しているようです。ヨーロッパの場合は、国民を軟禁状態にしてもなお、疫病による死の多発防止の方を優先しているという、それだけ重い決断をしたのです。

琉球王朝時代の沖縄本島では、ほとんどの住人は農民でしたが、土地を細かく分けてそこに農民を住まわせ、一切の移動は禁止したそうです。生まれてから死ぬまでずっとその土地で、ひたすら農作業するのみの生活。

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*2018年6月ユンタンザミュージアムでの展示(展示の下の表の集落ごとに細かく移動制限がかけられていた)

あまりにも区画を細分化して移動制限かけたため、隣の区画と言葉が通じないぐらいまでになってしまったそうです(言語はどんどん変化する性質を持つので一定期間経つと通じなくなるほど分化する)。

移動の制限は、(ネットがない時代には)人間の言葉さえも変えてしまうぐらいの力を持っていたのですね。

したがって外出禁止するというのは、最後の最後にとっておくべき手段であって、それぐらい重要な決定だということをもっと知れ渡っていてもいいのでは、と思います。

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