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脳科学に基づく経済成長の可能性

NHKBS で織田裕二さんの「ヒューマニエンス:思春期」をみて『買い』は、やっぱり米国という結論。

本番組は、生物学に興味のある人には必須の番組ですが、生物学に興味のない人でも参考になることが多く、視聴必須の番組です。

今回の特集、思春期(生物学的には10歳〜30歳ぐらい)は冒険心が強く、無鉄砲(=ハイリスクハイターン)な行動が強い世代です。これは脳科学的には、思春期の性ホルモンの増幅によって脳の側坐核と扁桃体の働きが促進され、異性を獲得しよう(=モテたい)という行動が強くなるから。

側坐核」は欲求を高め、目先の報酬を得ようとする感情を司る部位。
扁桃体」は恐怖心や怒り悲しみを司る部位。

これらを性ホルモンが活性化させることで、異性を獲得しようとする行動が強くなるのです。

人間は10歳までは脳の成長に投資し、10歳以上にあると性成熟含めた身体の成長に投資するためにこのような時期になるといいます。

一方で、挑戦的・冒険的という性向を持つ思春期は、ほぼ30歳で終わります。というのもミエリン化によって側坐核や扁桃体の働きが理性を司る大脳皮質によって制御されてしまうから。

ミエリンとは、神経細胞の軸索を取り巻く脂質性物質(髄鞘)のことで、神経信号を素早く伝える役割をします。したがってミエリン化とは、軸索にミエリンが取り巻いて情報伝達が速くなること

人間は30歳でミエリン化が完成すると言われており、これによって側坐核や扁桃体を制御する大脳皮質の反応が速くなってしまうというわけです。

性ホルモンが増大してミエリン化が未完成の若者の存在は、原始社会においては冒険的嗜好から新しい猟場・漁場の獲得に貢献し、現代社会では新しい発想と行動によってイノベーションを生む源泉となります。

つまり思春期の世代が多い国家は、法の支配が行き届かない発展途上国においては、その無鉄砲さから治安が悪く犯罪が多くなってしまう傾向がある一方で、法の支配が行き届いた先進国においては、さまざまな領域でイノベーションをもたらします。「思春期の世代が多い」「法の支配が行き届いた」国家は、今後の成長がより期待できる、ということです。

それでは具体的に今後思春期の人口が多くなる先進国(=OECD加盟国)はどこでしょうか?

上記サイトによると、思春期人口がこれから多くなる国家はアメリカ合衆国。先進国以外では絶対人口が多いインド・中国・ナイジェリアですが、先進国では圧倒的にアメリカ。

したがって、イノベーションを伴う経済成長は、今後もアメリカ中心ということでしょう。

「買い」は今後も変わらず「米国」。もちろん未来は誰にもわかりません。あくまで可能性の話ですが。。。

*写真:2015年 NY イントレピッド博物館 F8クルセイダー

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