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思想(哲学と宗教)

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価値観の学問そのものといって良い哲学、価値観そのものといってよい宗教を勉強する事で「価値観とは何か?」に迫りたいと思っています。
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2020年2月の記事一覧

ネオサピエンス 回避型人類の登場 岡田尊司著 書評

他者との情緒的な関わりに喜びも感心も持たない人類のことをネオサピエンス=回避型人類と呼び、回避型が2000年代以降急増して近未来には共感型人類(相手との関係性を重視する人類)がマイナーとなって回避型がメジャーになる社会が訪れるとの仮説を唱えた著作。 以下概要。 (1)これまでの経済単位と地縁血縁単位が一体化した社会構成から、産業革命によって経済単位と地縁血縁単位が分離し、特に血縁単位が子育てと心の安らぎに特化した工業商業中心社会を形成。 (2)権利革命(スティーブン・ピン

世界があるのではなく、自分が世界を作っている

歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリの「21Lessons」を読んであらためて思ったのは「世界があるのではなく自分が世界を作っている」ということ。 科学的思考に慣れている我々は、どうしても「モノ=この世界」ありきで何事もイメージしてしまいます。 ところが、よくよく考えてみると我々の世界像は、自分が生まれ育っていく環境(主に人間関係)の中で自分の関心や欲望に応じて世界像が形作られ大人になっていきます。大人になってからも出会いと別れの中で、SNSなども含めて自分の世界像をアップデー

21Lessons ユヴァル・ノア・ハラリ著 書評

全世界で話題のハラリの著作は、ホモ・サピエンス全史→ホモ・デウス→21Lessonsの順番で通読をお勧めします。本書は、これまでの著作に引き続き、現代世界の世界像と近未来像を解明するとともに「では著者自身はどうするのか、どうしているのか」を解説。 各章にこれでもかとばかりの実例=ファクトをあげつつ、かつ読者に分かりやすいように、絶妙なそのファクトの組み合わせによって独自のロジックを編み上げていくその筆力は、その博識さや知性もさる事ながら、説得力あるその表現にどんどん飲み込ま

私の身近なキリスト教

私の親戚に、某プロテスタントの一派を信じるキリスト教徒がいます。 毎週熱心に教会に通い、クリスマスや感謝祭などのキリスト教の行事はもちろん、お正月などの日本独自の行事でさえも、日々の生活の歳時記も教会活動の一環として完全に生活の一部に組み入れられています。 彼らは私がキリスト教や哲学を勉強しようがしまいがそんなことは関係ないし、信仰にとってはどうでもいいことだろうし、実際その通りだと思います。私も会話の流れでキリスト教の話はしますが、キリスト教を「信仰する」ということは、