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「パタパタ表示」いまいずこ

むかーし、時計とラジオが一体となったものを使っていた。その時計表示が「パタパタ」なのだった。針ではなく、デジタル表示でもない。今思うと何とも「中途半端」な、それでいてかなり存在感のある表示だった。

この表示を見ることのできる代表は空港だった。航空会社、便名、行先、定刻、変更、備考、そして搭乗口などの情報が「パタパタパタパタ・・・」という音とともに表示されていく、あれだ。いつまで見ても飽きなかった。見知らぬ世界の航空会社、行先を見て言い表しようのない夢想がもくもくと心に広がるのだった。

あの表示、無限に自由に表示が出来そうに思ったものだが、新しい内容が出ればあの「パタパタ」に書き足さない限り表示されることはない。実にアナログだ。パタパタしているけれど、バスの行き先表示をくるくる手回しで変えていたのと、実質変わらない。

1985年の映画、Back to the Futureの冒頭、主人公マーティが自室で寝ている脇に、「パタパタ時計」が出てくる。時刻が変わり、ラジオが鳴ってマーティが目を覚ます。でも自分が使っていたのは1975年頃。映画ではわざと使っていたのだろうか。

自分がパタパタ時計を使っていた頃、毎朝6時にラジオをセットしていたが、必ず、なぜか5:59に目が覚め、6:00に「パタっ」と変わり、ラジオが鳴り始める瞬間を見つめているのだった。

パタパタ表示、いまいずこ。

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