空飛ぶストレート

真っ直ぐ飛ぶ事に飽きた。いくら自信があるからと言って、そればかりで飛んでいると正直辛い。この地球は丸い、ストレートに飛んでも見える景色は変わらない。また同じ場所に戻ってくる。少し変化を加えるか悩んだ時もあった。少しカーブに少しシンカーに少しスライダーに変えてもいいのではないかと思った。でも、何故か感覚とはかけ離れた所でそれを拒んだ。内なる魂と言うのか。そこから燃え盛るストレート魂に反する行為は断じてしないと決めた。

自然と顔見知りも何人か出来た。2年周期で同じ所を通るからだ。私が通る時はお祭りの様に祝ってくれる場所も出来た。もうかれこれ、500年になる。そりゃあ、歳時にもなると思った。その地域では、私が通った後は雨が降ると言い出し、恵みの雨だと拝んでいる。ゆっくり飛んでいる為、気流に乗る事も無く連続的にその場所を通る。その時雨雲も一緒に連れて行く事もあるからだろう。

私は空飛ぶストレート。ただ真っ直ぐ飛んでいる。