結局何者にもなれなかった、と君は言うけれど
君が芸大を目指し予備校に通っていた頃、私は勉強への意欲を失って夜のバイトに溺れていた。
君が見事芸大に合格し、年月をかけてデザインを勉強し、卒業制作で最大三日の徹夜までしていた頃、私はネットワークビジネスの勧誘に引っかかり親戚に洗剤を売りつけていた。
君が名前の通った企業に就職し、ハードワークな下積み時代を送っていた頃、私は塾講師のバイト先で中学生を相手に本気の喧嘩をしていた。
君が大きいプロジェクトを任せて貰えるようになった頃、私は上司の愛人的ポジションに収まり、大し