バイトで3人のお客さんに怒鳴られた話

まあ確かに怒鳴られたけど別に暗い話じゃないんすよ。

アルバイト。どうすかね、責任感持ってやれるタイプ？
責任取るのは上の人がやれば良いと思ってたし、
店が潰れようが客が暴れようが次のバイト探せばいいか〜くらいのもんで、
気楽に働きすぎて何回かお客さんにキレられましたね。

中でも印象的だったお客さんの話を3つね、書いとこうと思います。

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1人目：バリ出とるやろうが！！

バリって何かわかります？バーフバリのバリでもバリ島のバリでもなく、
バリバリ最強ナンバーワンのバリでもなく。

お待たせしました凄い奴。

プラモとか作ったことありますかね。
結構幼少期からプラモ作るの好きだったんすけど。
あれってプラスチックをニッパーでパチリと切って、
で、切ったところをヤスリ掛けするじゃないすか。
トゲッとしてるんで。あれがバリですね。
オイオイ触ると怪我しちまうぜ、みたいな奴。

ちょっとしたメタルの小物入れを売ってたんすけど、
製造工程上でバリが出てるやつが店頭に並んでましたと。
まあ単価が105円（当時税込）だったんで、
品質はそんなもんだと思うんすけど。

で、それを持ってレジ来たお客さんが

「これバリ出とるわ。」

つうわけですよ。
バイトでなかなか「バリ」って聞きませんから、
その時は＜much的なニュアンス＞かな？
これめちゃくちゃ売れてて俺の周りも全員買うとるんじゃ的な世間話かなと思って

「ハハ〜そうですか〜ありがとうございます〜。」（何が？？？）

って言いながら袋に入れてたわけですね。

そしたらお客さんからしたらバリ出てるのに入れるんかいってなるじゃないですか。
こっちからしたら、バリ出てるやつオッサンもようやく買えて良かったなってなってるじゃないですか。

当然お客さん言うわけですね、

「おい、バリ出てるんや。」

つって。でも割と淡々と言うもんですから、
こっちからしたらそんなに出てる(売れてる)もんなのかと、
こりゃ売れ行き商品的に配置を変えたほうが良いかなと思いながら

「ああ〜そうなんですね〜。」

つって商品渡すわけですよ。バリ出てるのに。

こいつわかってねえなってのがようやくお客さんに伝わるわけですよ。
袋から出してね、こう。

「バリ出とるやろうがーーー！！！！！」

つって。バリバリに出たバリを指差しながら。そしたらこっちも

「バーーー！！！バリーーー！！！」

になるわけですね。ようやく。すまなんだなお客さんつう感じで。
急におっさんが大声でバリを指差すもんだからバーーー！！！バリーーー！！！の声も
バリトンのバリデカ声になっちゃったなって。

その後ちゃんと売り場からバリが出てないやつを持ってきて、

こちらに替えさせていただきますねーつったら

「いや買わんけど」

つって。
買わんのか〜い。つってね。親切で教えてくれたんすね。サンキューな。
その件以降、バーバリーのチェック柄を目にするたび、バリおじさんの事を思い出します。

え？バリが出てるやつ？
売り場に戻しましたよ。

お前にはまだ売れるポテンシャルがあるぞ！こんな事くらいで諦めるなよな！って言ってね。
こちとら生まれついてのハンデは気にしないタチなんでね。

（綺麗な薔薇にトゲがあるように、工場の製品にもトゲがある）

2人目：レジレジレジレジレジ〜〜〜！！！！！

このお客さんは平日の17時頃スーツなのに千鳥足で来店するんすけど、
いっつも同じビールの500ml6缶パックを買っていくわけですね。

んでレジでなんか話しかけて来るんすけど、

「○△□×※％＄#&…」

何言ってるか全然わかんないんすね。
わかんないんでテンションで判断するんすけど

「○△□×※！！！！！！％＄#&…⤵︎」

の時とかもう何て声かけていいかわかんないんすよ。
語尾下がってること以外何言ってんのか全くわからん。

とりあえず「あ〜そうですか〜。」って言うんですけど。

ある日ちょっとレジが混んでまして、で、ちょっと列が出来てたんすよ。
で応援行くか〜つって売り場からレジまで走り込むわけですね。
そしたらその道中でね、あっいっつも何言ってるかわかんねえ人だ！

って見かけたんですけどいつもと様子違ってて。
飛びながら回転してるんすよ。そしてなんか叫んでるんすね。

「レジレジ〜〜！！！レジレジレジレジレジ〜〜〜！！！」

つって。そんなに飛んで回ってるの日本では円広志と羽生結弦くらいじゃない？

と思うかもしれませんが、三人目、居たね。
その回転レジ要請おじさんと化したお客さんの周りにもう完全に輪が出来てたから。
レジ前の怒涛の奔流に現れたダンスフロアだったんでね。

何かな？レジが混んでたら知らせてくれる現代の妖精かな？と思いながら、

レジ入ってしばらくしてると、そのお客さんのレジ待ちがようやく終わるわけですね。

開口一番怒号が飛ぶわけです。

「レジ！！ウゥオゥェッ！！○△□×※％＄#&」

そりゃ吐きそうにもなるよな。三半規管壊れますよって。
そう思いながらも何言ってるか全然わかんないのでこう返事するわけです。

「あ〜そうですか〜。」

現代に生まれ落ちたレジの妖精。レジ以外聞き取れない。
みなさんも日常生活で跳びはねて回転するおじさんに出会ったら是非声をかけてあげてください。

「あ〜そうですか〜。」つって

飛び跳ねて回転した分今日の晩酌のビール缶パンパンになってんだろうなって事以外何もわかんねえ。

お客さんの買うビールは毎回アサヒスーパードゥッルゥラァアアアイだったので、こっちの対応もスーパードゥッルゥアイアアイ。趣向に合わせた接客。これが日本のおもてなし。

（酔っ払いで検索したのに出てきたオシャレなカップル。なぜ男の足や腕に風船を貼り付けているのだろうか。そういうタイプのデスマッチだろうか。）

３人目：あ〜良かったですね〜。

品出しやってるといろいろ聞かれるじゃないですか、
これどこにありますか〜とか、こういうの探してま〜すみたいな。

大きい店舗でなければ大体全部何がどこにあるか覚えますよね。
んで聞かれるがまま案内し、
売り場に戻り、品出ししようとしたら聞かれるからまた案内して、
みたいなのが、特に土日はエンドレスなわけですね。

特に普段から知らん人に話しかけられまくるような面構えしてるんでね、
店員なんかやろうもんなら格好の餌食ですわこちとら。

で聞かれるわけです。

「ラリペルソーペニャポッポネリって置いてないかしら？」つって。

？？？

(※実際にラリペルソーペニャポッポネリって聞かれたんじゃなくて
「そんぐらい何かわからなかった」という表現上のアレです。)

聞かれた事ない得体の知れない概念だったんすね。
何それ？つって。

勉強不足ですまんが何すかそれ？みたいなことを丁寧に聞くわけなんすけど、

「ケバラッセにシャーをする事があるでしょ？その時にポッポネリのラリペルをゲバラペッペロ。そのポポスよ。」

？？？？？？？？？？？？？？？

これが青天の霹靂かと、身を持って知るほどに何かわからん。
そう言う時はね、アルバイトは、店長に聞きに行くわけですよ。
わからないことを適当に答えない。これは社会での重要なアレなんでね。

早速ね、ちょっとお客さんに待ってて貰って、店長すみませんと、

「ケバラッセにシャーをする時にポッポネリのラリペルをゲバラペッペロ。そのポポスってどこにありますか。」

聞くわけですね。

店長「何言ってんだお前。」

この店のヘッド張ってる男がそう言っちゃあもうお手上げ。
そういう次第だったんでね。

こりゃ仕方ないと。当店ではお取り扱いございませんコースだつって。
申し訳ないですよ〜みたいな顔と声で、
申し訳ないですな〜的なことを丁寧に言うわけです。

そしたらお客さんもまあ、
「あら、そうなの。」的な感じで買い物に戻っていくわけですわな。

んでしばらくしてまたレジの応援にね入って、
ピッピロピッピロやってたらね、

左からフレームイン！！！

さっきのお客さんなわけです。

何かな？と思って何ですか？的な顔するじゃないですか。

「あったじゃないの！！！！！！！ペペロスがソポッピの○△$%…」

って言われるわけですね。何か入ったレジ袋を掲げながら。
普通は申し訳ありませんとか、大変失礼いたしました、とか
そういう事を言うべきと思うんすけど。案内出来なかったわけなんでね。
けどもう心から言っちゃったわけですね

「あ〜良かったですね〜！！！！」

つって。何故か大変失礼を重ねて申し上げるわけですね。人間って怖いね。

しかも過去に類を見ないハイテンションで。
この土曜に一番ナイトフィーバーしてるレジと言えばこの３番レジ。

へへえ申し開きもございませんお奉行！的な気持ちよこちとら。
でも思ってんだよ、

お奉行何言ってるか全然わからんかったが欲しいもん買えて良かったな！！！！

やるじゃんお奉行！やるじゃんお奉行！やるじゃんお奉行！やるじゃんお奉行！

お奉行お奉行お奉行お奉行お奉行お奉行お奉行お奉行

ｵﾌﾞｵﾌﾞｵﾌﾞｵﾌﾞｵﾌﾞｵﾌﾞｵﾌﾞｵﾌﾞ

ｵｵｵｵｵｵｵｵｵｵｵｵｵｵ…

お奉行やるじゃん（フロア熱狂）

レジやってると金を間違えない事にだけ注力するから、
他の事に注意散漫で、言葉もテンションも全部間違えがち。

やべえな、流れでお客さんが沙汰出しナイトフィーバーしてきたらどうしようと思ったんすけどね、

あれ？お客さん凄い勢いで左から右へ流れるようにフレームアウト！！！

おっお奉行！！！！どっどこへ！？どこへ行かれるのですかあ！？！！？！？！？

うん、普通に退店ですわな。

あの人は一体何を買いに来て、実際何を買って行ったんだろうな。
という、人はどこから来てどこへ行くの？的な問題に発展しそうな気持ちを抱えたまま一日を終えた。

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という感じで3人のお客さんの話だったんすけど、
まあ基本的にお客さんが怒るのもしゃーないよなって内容だとしても
正直お気楽なバイトだし、責任感が無さすぎて全然罪悪感が沸かなかったから、あ〜接客業向いてねえんだな。
って気付けたな〜という昔話でした。

まあおかげで今はレジがどんだけモタつこうが、釣りを間違えられようが、
飲食店で自分だけライスしか来なかろうが、昼飯行って休み時間の最後まで飯が出てこず断食するハメになろうが、怒る事ないんすけど。
ま〜飯に唾とか吐かれたら流石に怒るかもしれないけど。

しかしながら客に怒られたい店員は居ない。
出来る事は元からやってくれてんだよな、店員。