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故郷の美唄を盛り上げたい! (3)

(2)を書いていて、疑問に思ったことがありました。鉄道駅の乗降客数です。JR美唄駅の一日の乗降客数は約1900人とのこと。で、今の美唄の人口は19000人弱。全人口の1/10の人が鉄道駅を利用している計算ですが、この数字は多いのか、少ないのか?という点です。美唄市外からの美唄駅利用者がいることはもちろん承知の上です。
google先生に聞いてみたところ、一つの論文が出てきました。

駅利用者数に影響を与える要因としての駅周辺の状況https://core.ac.uk/download/pdf/234933062.pdf

これによると、東京23区以外の東京都、神奈川県周辺都市にある駅の場合、
駅周辺800m圏内の人口と、その駅の乗降客数の関係は、ほぼ1:1だそうです。美唄の場合をもう少し詳しく見てみると、

美唄市立地適正化計画https://www.city.bibai.hokkaido.jp/uploaded/attachment/10871.pdf

によると、美唄駅から半径800mの人口は6700人(2015年)人口推移を逆算すると、2024年は約5500人になります。5500:1900 という比率になりますから、人口と比較しても駅の利用者は都市部に比べて圧倒的に少ない、ということが分かりました。後日札幌や旭川といった北海道の都市の数値とも比べてみたいところです。ちなみに根拠にしたこの美唄市立地適正化計画の資料はとても読みごたえがあって、人口減少、都市空洞化に悩む行政側の苦悩がにじみ出た文章になっています。
さて、じゃあこの足りない分、どこに行っているのか?仮説としては、高速道路が挙げられます。美唄には道央自動車道美唄ICがありますので。
この美唄ICの利用台数について調べたんですが、1,177台/日(2008)というデータしか出てきませんでした。道央自動車道の交通台数などから換算できないか調べてみたのですが、ちょっといい数字が見つかりませんでした。車に乗っている人の数を平均1.5人、2008年の数字をそのまま2024年に適用するなら、駅利用者数とIC利用者数を足しても3665人にしかなりません。
利用者の分布などがわかれば、どういう部分が都市部と違うのか、浮き彫りにできると思うのですが、素人の調査ではこれが限界かなと。

交通手段

さて、先の美唄市の資料からもう一つ。交通手段の構成比というものがありました。何目的の交通手段なのかが書かれていないので何とも言えないデータになっていますが、これを見ると自家用車が意外にも減少傾向で、JRは増加傾向にあることが分かります。一方でJR美唄駅の乗降者数は年々微減傾向なのが不思議です。アンケートと実態の乖離でしょうか。

乗用車保有台数、保有率

もうひとつ。乗用車の保有台数と保有率。保有台数が減少していますが、保有率は上昇しています。これは保有率の分子(車の台数の減少)よりも分母(人口減少)の方が早く進んでいるからですね。
2024年現在の美唄市の世帯数は10,660世帯。上記グラフを外挿して2024年の所有率を計算すると約60%。車の台数は約11,400台となりますので、1世帯に1台は車がある、完全な車社会であることが分かります。
ここまでの車社会なのだとしたら、中心市街地をJR駅周辺に定義するのはほとんど意味がない様に思います。

街で人を見かけないということ

私は今現在横浜市の住宅地に住んでします。このあたりで家の周りや市街地方向に歩いていると、たくさんの元気に歩いている高齢者を見かけます。意外とやることが無くて、でも健康に気を使いたいし、だれかと会話したいし、本当のところはわからないもののとにかくよく見かけます。
一方、美唄市の高齢化率は全国平均を大きく上回る40%超えにもかかわらず、ほとんど街中で高齢者を見かけません。地元在住の人に話を聞くと、運転できる人は車で出かけるし、運転できない人もタクシーを使うそうです。おそらく市街地と居住地が離れていることで、歩いて出かける、という選択肢がないのでしょう。また、住居の敷地が広く、単なる運動のためなら自分の家の庭や畑を弄っているだけで十分という感覚のようです。
確かに個人の健康面で言えば問題なさそうですが、町の賑わい、という面ではかなり厄介な背景だなと感じました。おそらく、冬場になればなおさらこの状況が強くなるはずです。

免許返納

このような背景があるため、65歳以上の免許所有者が約30%を占める状態であるにもかかわらず、返納率は低いままです。このあたりもいずれ事故の増加など別の問題に発展するかもしれません。
市では公共交通機関の活用を課題として挙げていますが、いまの分散した居住環境では各路線の採算が取れず、十分な利便性を提供するのは難しいのだと思います。
なるほど、コンパクトシティ構想は住んでいる人の利便性だけではなく、行政の採算性を高めるために必要なことなんですね。

整理すると

約9万人超いた最盛期の人口が、今や2万人を切る状態で約1/5に。9万人を支えてきたJR美唄駅周辺地区は、人口の減少とモータリゼーションの影響で商店・飲食店などが閉店し、空洞化を起こしている。また、市内各所の住宅地は世帯数の減少とともにこちらも歯抜けになり、全体的に人口密度が下がる結果に。人口密度が低く、広く分布してしまっている近郊では公共交通機関の輸送効率が悪く採算性が悪化。世帯の高齢化が進み、街の活気が失われていく・・・

でも美唄って

札幌から特急で35分、旭川からなら50分。
車で高速を使えば、札幌まで1時間。近隣の比較的大きな町、岩見沢までなら数十分。今度開通する美唄富良野線を使えば富良野までも1時間以内で行けるようになるのではないかと思います。
通勤にかけている時間は全国平均で片道40分だそうですから、美唄はどの地方都市に向けてもそれなりの時間で行ける、比較的立地条件の良い土地だと思うのです。
今は逆に美唄市内で働いている人ですら、岩見沢に住んでいるということもあるらしく、つまりは美唄に居住するメリットを打ち出したり、生活環境を改善したりすることが必要なのでしょう。次回以降は、市民でもない素人ができることを考えてみます。

(つづく)

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