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ライフ・イズ・ミラクル 〜ウェンデル・ベリー

現代アメリカで農業をしながら創作活動をしているウェンデル・ベリーの『ライフ・イズ・ミラクル』を紹介したい。

きっかけは、あるWEB記事の紹介だったが、日本語の翻訳が少なくミステリアスな作家に思えた。実はアメリカで著名な作家であり、興味深い作品が多くある。

宮沢賢治は農業と芸術活動を両立して、日本で有名な作品を数多く残したが、最初はウェンデル・ベリーもそのような作家に思われた。ウェンデル・ベリーは故郷のケンタッキー州で約40年間農業に従事しながら、宗教的、思想的に現代社会への警告を込めたベストセラーを発表している。

遺伝子研究やAIが高度に発達した社会において、精神的な支柱がどこにあるのか、文化的、宗教的な観点から説得力のある議論を現代アメリカで展開しているウェンデル・ベリーに対し、日本ではどのような精神的な支柱が求められているだろうか。

日本でも農業の必要性は年々高まっていると感じるが、工業化による経済成長から農業への(事業的な)回帰や、将来の地政学的な危機に対する声が強く、ウェンデル・ベリーの展開する精神的な支柱と思えるものを探しているが、まだ見つかっていない。日本において、文化的、社会にも必要な農業というのはどういうものなのだろうか。

コロナ禍の中で政策が大きく方向転換され、低炭素社会やSDGsに向かうことになった日本社会は、新しい未来像を提示しているようにも見えるが、反面これまでの歴史や培われた経験や文化がどのように反映しているのか分かりにくい。多くの日本人の精神的な支柱は、工業化に伴う大きな経済成長から変わりつつある。一度後ろを振り返ったり、海外など周りを見返すと、文化や歴史からそのヒントが見えてくるように思う。

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