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「ひぐらし」考察が楽しい人に「なく頃に」シリーズをおススメする記事

新作アニメ「ひぐらしのなく頃に 業」むちゃくちゃ面白いですね!

リメイクかのようにスタートして、しれっと新作でした~!!と発表する心意気に痺れますし、その意気に恥じない噛み応えのあるシナリオが提示されたのもまた嬉しいです。

令和になってもまた、あの興奮が味わえるなんて嬉しいなとホクホクしているいちファンでございますが、ちょっと待ってくれ。

アニメ「ひぐらし」の原作であるPCゲーム「ひぐらしのなく頃に」には、その面白さを引き継いだ作品群、ひと呼んで「なく頃に」シリーズがあるんだよ!

と、いうわけで、アニメがお気に召している方、特に考察でわいわいするの楽しそうだな~!と思われた方に、考察わいわいしている人たちが考察の腕を鍛えたであろう「なく頃に」シリーズをざっくりおススメしたく、筆を執った次第でございます。

よろしければお付き合いください。


「なく頃に」(When they cry)シリーズとは

竜騎士07氏によるPCノベルゲームシリーズ。

2002年~2006年の「ひぐらしのなく頃に」を皮切りに、2007年~2010年「うみねこのなく頃に」を発表。
2019年に3作目となる「キコニアのなく頃に」を発表し、2020年現在「キコニア」のphase2制作中。

シリーズの特徴としては、
同じ舞台だが展開が異なる物語を繰り返し見せることで事件の核心に迫る、という謎解きゲーム(ただし、ミステリーではない)
オカルト・ホラーっぽい雰囲気が漂っている
プレイヤーのゲームに臨む姿勢が問われる
といったところが共通しています。

スターシステムが採用されているため、似ているキャラクターが別作品にも登場しますが、基本的に各作品に繋がりはないので、どこから触れても大丈夫です。


「ひぐらしのなく頃に」

言わずとしれたビッグタイトル。
昭和58年夏の雛見沢を舞台に起こる惨劇と、その惨劇をどう回避するのかが問われます。

正統シナリオは「鬼隠し編」「綿流し編」「祟殺し編」「暇潰し編」の出題編と、「目明し編」「罪滅し編」「皆殺し編」「祭囃し編」の解答編の計8編。
あとは「賽殺し編」がシリアスな後日譚で、その後の展開に繋がります。

以上、9編を抑えておけば一通りご存知ということでいいと思います。

おすすめのメディアについては悩ましいのですが、上記9編を押さえるだけならアニメでしょうか。
マンガは出題編がかなり端折られてますが、概要を掴む分には問題ないと思います。

文章を読むのが苦痛ではないのでしたら、switch版「ひぐらしのなく頃に 奉」がおすすめ。PS2版・DS版のオリジナルシナリオも入っているのでコスパがいいです(音楽が原作再現されていないのが惜しいところですが)。

かなりの数のメディアミックスがされたこともあり、今では読めないシナリオも含め、沢山の雛見沢の物語があります。

あとはお好みで読み進めて頂ければ。

ちなみにスマホゲー「ひぐらしのなく頃に 命」は一見トンチキに見えますが、メインシナリオを読み進めると、おや?設定がおかしいぞ?これは正統シナリオに繋がる流れなのか?となり、徐々にワクワクしてきています。


「うみねこのなく頃に」

「ひぐらし」の翌年にリリースされた、シリーズ2作目。
魔女伝説に彩られた孤島、六軒島で起こる殺人事件におけるホワイダニット、即ち犯人の動機を推理し、その結果をどう受けとめるかが問われます。

本作は前作「ひぐらし」と比べて難易度は高いです。
というのも、「ひぐらし」では描かれなかった深さと濃さで二重三重の比喩表現を多用して物語が展開されるため、プレイヤー(読者)が主体的に比喩表現の意味を類推しながら読まないと、そもそもの意味が分かりにくく、難しい物語になっています(意味が分からなくても面白いシーンはいっぱいあります)。

その分、ちゃんとわかったときの腑に落ちる感覚がすごいですし、わかった後はきっと深くこの物語を愛するか、嫌悪するかの両極端になるんじゃないかと思います。
それくらい、読者の感情に問いかける作品に仕上がっています。

正統シナリオは Episode1~4の問題編、Episode5~8の展開編の計8編。
あとは「我らの告白」「Last note of the golden witch」(収録:原作)が本編に関わる内容なので押さえておけるとベストです。

おすすめのメディアは断然マンガです。
「ひぐらし」とは違い、ほぼ端折りなしで描かれている上、一番最後まで続いたメディアミックスのため、原作ではぼかしたまま終わった犯人の物語まで描かれています(描かれた内容の是非はさておき)。
8エピソード計50巻という大作ですが、その価値はありますよ。

また、「うみねこ」は音楽が本当に素晴らしいので、膨大な時間を費やす覚悟がある方には、原作、または2021年発売のswitch・PS4版もおすすめします。(元のPS3版が基本的に原作そのままの音楽収録だったので、switch・PS4版も大丈夫だと思います。)

特に、アニメ化されなかった展開編初登場のキャラのボイスが聞けるのはswitch・PS4版だけだ!やったー!

10年経っても未だに味がするし、何なら未だに味が変わるとんでもないスルメ作品なのでよかったら……!!よかったらぜひ、「うみねこ」も覗いていってください……!!


「キコニアのなく頃に」

「うみねこ」から約10年を経てリリースされた「なく頃に」最新作。
第三次世界大戦から100年後の未来を舞台に、少年少女の結束と世界に訪れる終末が描かれます。

「キコニア」では、ついに殺される対象が世界になりましたが、今作は竜騎士07氏が「謎を解かなくても物語に置いていかれることはない」と名言している通り、物語を読むのに難しさはありません。
しかし、相変わらず首を捻るしかない謎が散見されており、歯ごたえは十分にあります。

現在、Phase1配信中。続くPhase2は2020年内に発表と聞いた気がしますが果たして。

メディアは原作PCゲームのみなので、気になる方はそちらをどうぞ。
不穏な空気と面白さは相変わらずです。この先がめちゃくちゃ楽しみです。


以上、シリーズ3つをご紹介させて頂きました。

アニメ「ひぐらし」を楽しんでいる方、特に考察でわいわいしてる人たちの仲間に入りたいなと思った方はぜひ、他の「なく頃に」シリーズも触ってみてください!


オマケ:「なく頃に」はできれば再読してください

「なく頃に」の世界に興味を持ってくださった方に、最後に一つだけアドバイスさせてください。

「なく頃に」は再読推奨です。
大作だって言ってるのにこういうことを言うのは心苦しいのですが、「なく頃に」は再読からが本番ですから。

「なく頃に」は物語自体面白いので、普通に見たり読んだりして楽しんで頂いても結構です。世界観やキャラクターやストーリーを愛でて頂くだけでも、いちファンからしても大変うれしい。

ただ、それだけでは勿体ないのです。
何故なら、「なく頃に」の本質は謎解きゲームだから

そもそも、「なく頃に」における謎解きは、広範囲に及びます。
謎解きの対象はトリック犯人探しのみならず、キャラクターの心の中や、世界観世界構造、果てはその物語が展開されている世界を支配するルールまで含まれます。

たとえば、「ひぐらし」ではキャラクターの心情と言動がちぐはぐですし、「うみねこ」ではそもそも語られた物語をそのまま文字通り受け取ることが出来ません。

もちろん、こういった謎は作中で大まかに答えが提示されます。
答えを知れば、それまでの不親切な描写も相まって、「そういうことだったのか!」と驚かれることでしょう。

しかし、そこで終わってしまうと、もったいないのです。

答えが分かったら、どうぞ再読してください。
多分、霧が晴れたかのように随所に仕込まれた不親切な描写や謎の意味が分かって、全く違う物語になるはずです。

また、ネットで「○○のなく頃に 考察」と検索してみてください。
かつて「なく頃に」に挑んだ先陣の考察wikiやブログがこれでもかというくらいヒットすると思います(言葉の綾ではなく)。

その中には、きっと、あなたが思いもよらない視点の解釈もあるでしょう。その解釈を読む前と後では、物語の印象がガラリと変わるなんてことも平気で起こります。

特に「うみねこ」は180度変わって、さらに180度変わるくらいの印象の変転が起きます。その衝撃があまりに凄く、10年経っても未だに定期的に考察を検索してしまうほどです。

どんな作品にも再読と考察の面白さはありますが、「なく頃に」のそれは別格です。
それもそのはず、再読と考察=謎解きする余地を作るために、わざと不親切になるよう練り上げられた作品なのですから。

アニメの考察でわいわいしてる人たちはおそらく、この楽しみ方をご存知です。
特に歴戦の方は、過去の「ひぐらし」や「うみねこ」で同士の方と議論を戦わせて砥いだ思考で、考察を展開されているのだと思います。

一見、不親切に話を作るなんて、面白さやエンタメと逆行しているように見えますが、プレイヤー同士で再読と考察を楽しむ余地、言い換えればプレイヤー同士の遊び場を提供することが「なく頃に」のプレイヤーとのコミュニケーションの手法であり、同時にプラットフォームとしての優秀さなのです。その一点において、「なく頃に」は選択肢がないノベルゲームでありながら、「ゲーム」として成立しているとも言えます。


作中全体に不親切かつ緻密に散りばめられた謎をどう拾うか。
その謎をどう考察し、どう解釈し、どう読み解くか。
そして、解けた先にある物語はどんな色をしているのか。

この3つを兼ね備え、そのために極めたことこそが、「なく頃に」の本質的な面白さであり、18年経ってなおエンターテイメントとして成功する理由だと思うのです。


どうか、はじめて触れる方が「なく頃に」の3つの面白さに気付いてくださいますように。そして、あわよくば「なく頃に」を解き明かす仲間になってくれたなら。
そんな嬉しいことはありません。


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