業界別エリマ裏話を大公開!③~塾業界のマーケティング施策を知りたい編~
こんにちは!技研商事インターナショナル カスタマーサクセスチームです。
カスタマーサクセスチーム発信の記事では、第1回、第2回と業界を絞ったエリアマーケティング(通称エリマ)をご案内してきました。
※第1回:スーパーマーケット
※第2回:飲食店
3月、受験シーズンも終わりに向かっているということで、
テレビを観ていると予備校や塾のCMを目にすることも多いこの季節。
「そういえば塾ってどうやって生徒を集めているんだろう?」
「近所にできたあの塾、どうやって開校場所を決めたんだろう?」
そんな疑問にお答えすべく、今回も商圏分析GIS(地図情報システム)を
開発する当社の目線で塾業界のエリアマーケティングについて
語らせてください。
塾業界だけでなく、広く店舗や施設を展開するマーケッターの
皆様にとっても有益な情報になります。ぜひご一読ください!
※今回の「塾業界」には予備校も含みます。
塾業界のエリアマーケティングはどんなことをやっているの?
実際に生活に大きくかかわるスーパーマーケットや飲食店と異なる、独自の雰囲気のある塾業界ですが、エリアマーケティングで検討すべき方向性や
軸に関してはスーパーマーケットなどと大きく変わりません。
顧客分析
開校(スーパーマーケットや飲食でいう出店)
プロモーション
の3軸を大きな柱として、具体的には以下のような内容を実施しています。
顧客分析:塾生のデータからターゲットを探す
開校:業態や場所に応じた単位ごとに開校エリアを探す
教室単位で行う販促時のエリア分析:教室単位での生徒の募集、 エリアごとの認知度向上のための販促
チェーン本部でシーズンごとに行う販促時のエリア分析: 夏期講習や春期講習など、時期に合わせたプロモーション分析
上記の軸に、塾ならではの視点を交えて順に詳しくご案内します。
これを読めば、塾のCMや近所に新しくできた塾がもっと身近なものとして感じられるかも!?
① 顧客分析
これ以降の章でお話しする開校や販促を実施していくうえで、
「自塾のターゲットはどの層なのか」という分析は必須になります。
契約時には住所や生徒の年齢が必要になりますので、確実な顧客情報を
取得できるというのはスーパーマーケットや飲食店と異なる点の
ひとつですね。
顧客データをもとに自塾のターゲットを分析していくことになりますが、
分析をしなくても普段目にする塾の様子から、以下のようなターゲットの
イメージを持っているのではないでしょうか。
顧客層:富裕度が高く、子どもの教育費にお金をかける余力のある層
アクセス:駅を起点とする場合は駅の乗降客数、自宅から通える範囲 という意味で徒歩商圏範囲
ですが、ひとくちに「塾」と言っても業態や立地によって
ターゲット層は異なるものです。
閑静な住宅街にある、一人の先生がじっくり見てくれる地域密着型の塾と、
ターミナル駅にそびえたつ大きなガラス張りの塾では全く様子が異なる…ということも、皆さん経験として実感したことがあるのではないでしょうか。
適したターゲットを獲得するため、各塾ごとに生徒データから
「どの層が自塾のターゲットになるのか」
「ターゲットが多くポテンシャルが高いのはどこのエリアなのか」
ということを分析していきます。
ターゲットになる層を複合的要素から判断できるような指標(※)があると
探しやすくなります。
※:参考
c-japan®というエリアセグメンテーションデータでは、年齢や家族構成、
住宅、就業のほか、年収や地価も加味して、リッチな解釈ができるようにしています。このように複合的要素を含むデータを使うと社内での意思疎通も取りやすく、顧客像の解釈がしやすくなります。
② 開校
ターゲット層を設定したら、その層が多いエリアを検索して、
開校エリアを探していきます。
塾の業態、規模によって「どのレベルで開校エリアを探すのか」という単位が異なってきますが、大きく分けると以下のような単位に分けられます。
駅ごとに探す
学区ごとに探す
自社/競合塾の分布とポテンシャルのバランスを図りながら探す
フランチャイズ向けに商圏を確保できるようなエリアを探す
②-1.駅ごとに探す
「駅ごと」というのは飲食店などでもおなじみの単位なので
なんとなくイメージが湧くのではないかと思います。
乗降客数をベースにしながら、アクセスの良さなどを加味したうえで
ベストな駅を探し出していきます。
②-2.学区ごとに探す
学区ごとに探すというのは塾業界(特に公立校に通う小中学生向けの塾)
ならではの考え方かもしれません。
学区を網羅したデータを使いながら商圏(=学区)や、学校の
児童・生徒数を可視化することでポテンシャルを測ることが可能です。
ひとつの学校では市場が小さい場合でも、2,3校の学区から
塾生を獲得できるような立地が可視化できるケースもありますね。
②-3.競合塾の分布とポテンシャルのバランスを図りながら探す
塾業界では競合の影響度を特に重視しています。
というのも「塾をかけもちする」というケースがほとんどないためで、
ここはスーパーや飲食店の業界とは大きく異なる点です。
ただ、いくら競合が少ないorいないからといって入塾数が十分に見込めないエリアに開校することはできません。ポテンシャルがある程度見込めて、
競合の影響も軽微なエリアを探していきます。
自塾・競合塾を含めたの塾の規模、指導形式の分布次第では、
一見すると競合の影響度が高そうなエリアでも
十分勝機のある開校を見込めたりします。
競合の影響度と市場規模のバランスを見つつ、
慎重に探していくことになります。
②-4.フランチャイズ向けに商圏を確保できるようなエリアを探す
よくテレビCMで目にする全国各地に展開している塾の多くは、
フランチャイズ展開を行っています。
フランチャイズ本部は、フランチャイズオーナーに向けて収益性が
確保できるフォーマットや戦略を提供する必要があり、
そのために様々なバックアップを行っていきますが、
「十分なポテンシャルを確保できるエリアを探す」というのもその一つ。
フランチャイズ本部ではこれまでに蓄積した開校ノウハウを持っているので、そのノウハウから「自塾の商圏範囲はだいたいこのくらい」という
基準を定めます。
その基準内で、子どもの数(ターゲット層の数)はどのくらい?といった
データを揃え、フランチャイズオーナーに提案していきます。
③ プロモーション
いいエリアに開校出来たらそのポテンシャルを十分に生かせるよう、
着実にプロモーションを行っていきます。
塾業界のプロモーション施策は、実施主体の観点で大きく2通りに
分けられます。
③-1.教室単位で行う販促時のエリア分析
まずはミクロ視点から、教室単位に行う販促手法からご案内していきます。
塾では収容数の上限もあれば、先生が指導できる生徒数の限界もあるので、
実施している授業のコマ数と、受け持つ講師の在籍数のバランスを見ながら
販促を検討していく必要があります。
この定常的に行う販促では、自分たちの商圏内に限定した、比較的狭い範囲での販促を実施していきます。
具体的な施策としては、以下のような内容がメインです。
世帯単位に訴求するための折込チラシ、ポスティング
通える範囲を狙ったWEB広告(広くても市区町村単位くらいのエリアを 絞ったもの)
③-2.チェーン本部でシーズンごとに行う販促時のエリア分析
こちらは、塾業界が盛り上がる時期ごとに行われることが多いです。
チェーン本部が主体となり、マクロに、生徒募集の種まき的な立ち位置で
実施されるものです。
「塾業界が盛り上がる時期」といえば、季節講習。
特に、長めのお休みだったり受験勉強へのスタートダッシュとなる
夏期と春期は盛り上がります。
「○○ちゃんも△△ちゃんも夏期講習行くんだって!あんたも行ってきたら?!」とお母さんネットワークに巻き込まれた、セミの鳴くじんわりと
暑い夏が思い出されますね・・・
こちらの販促は本部が広く種まきをするという意味合いから、
以下のような施策を行っていきます。
認知度向上に大きく影響するマス広告(テレビCM、WEB広告)
自塾の展開するエリアに一斉に実施する折込チラシ、ポスティング
チェーン本部が主体となって行うものでエリアも広いので、
反響データを同条件で一括に取得できるのがこの施策の強みです。
どこに販促を実施したのか
そこからどのくらいの生徒数を獲得できたのか
といった内容を可視化し、生徒数を獲得しきれなかった地域を
明らかにしたうえで、次回の季節講習の販促に活かしていきます。
まとめ
今回ご紹介した塾業界でのエリアマーケティングをまとめると、以下のようになります。
スーパーやドラッグストアのように生活必需品を提供する業態ではなく、
明確な課題を持った顧客をターゲティングする必要がある業態なので
慎重にエリアの需要や競合の影響度を可視化・分析する必要があること
ひとつの校舎でどこまでカバーできるのかを見極めた商圏の引き方
などを意識した商圏分析は塾業界ならではのエリアマーケティングです。
これを機会にお住まいの地域の学区や、塾の分布を気にしてみると
新たな発見があるかもしれません。
ちなみに…\お得なお知らせ/
今回実施した分析内容はMarketAnalyzer®5で実施可能です!
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皆様の業務に即したエリアマーケティングを実施いただければと思います。