見出し画像

【開催報告】「『私はAlly!』って言うために、一緒に立ち止まって考えようWS!」(2022/11/30)

皆さんこんにちは! 学生スタッフのルーです。

この前の11/28~12/9の12日間は、GSセンターが主催したWaseda Ally Weeksでした! ご参加いただいた皆さん、誠にありがとうございました! Ally Weeks期間の色々なイベント、楽しめたでしょうか?

今回は11月30日に開催されたイベント「『私はAlly!』って言うために、一緒に立ち止まって考えようWS(ワークショップ)!」の開催報告をお届けします! このイベントでは、参加者の皆さんにAlly(アライ)になるために知っていると役に立つ知識をお伝えしながら、色々なケースについてAllyとしてどう振る舞えばよいかを一緒に考えていただきました。

このようなAlly(アライ)のワークショップは、GSセンターではあまり開催されたことがありませんが、今回のイベントを通してわたしは「不定期的に開催したい」と思うようになりました。来年度のイベントについては未定ですが、GSセンターでは様々なテーマでイベントを企画・実施しているので、この開催報告をご覧いただいてイベントの実施内容や雰囲気などに関心をもたれた方は、ぜひGSセンターのSNSなどでイベント情報をチェックしてみてくださいね!


1.イベント概要


Ally(アライ)になるために、私たちは何をすればいいでしょうか?

このワークショップでは「Ally(アライ)」を「LGBTQ+やその関連のコミュニティの活動を支持し、積極的に支援する人」と定義します。でも、言葉の意味をわかっていても具体的にAllyはどのように行動する人なのかわからない、という疑問を持っている人もいるかもしれません。

このワークショップでは、AllyとしてLGBTQ+コミュニティの活動を支援するための知識を身につけたい、周りのLGBTQ+の友達が不当な目に合っている時に何ができるか知りたい……そんな風に感じている方々に集まっていただき、LGBTQ+に関する基礎用語について学んだり、グループワークで具体的な場面でどうすればいいのかを一緒に考えてみました。


2.イベントコンテンツ

①LGBTQ+基礎用語説明

LGBTQ+に関する基礎用語を知ることは、Allyにとって不可欠なことです。そのため、今回のイベントではLGBTQ+に関する基礎知識をゼロから解説するパートを設けました。

L(レズビアン)、G(ゲイ)、B(バイセクシュアル)と、T(トランスジェンダー)以外にも、Q(クィア・クエスチョンニング)、ノンバイナリー/Xジェンダー、パンセクシュアル、アセクシュアル、アロマンティックなど、まだあまり社会的に認知されていないと思われる性的指向・恋愛的指向・性自認など、性のあり方に関する多様なアイデンティティの説明も入れました。

説明した基礎用語は、合計で約20個ありました。なぜ、こんなにカテゴリーを分ける必要があるのか、という質問もこれまでに何回も受けたことがありますが、それは自分の状態を説明するときに名前がなければ認識できないからです。私たちは色々なカテゴリーに当てはめ(られ)ながら生きていますし、そのことに自分らしさを持っている人もいます。性に関するカテゴリーは、自分が何者であるか、何者でないかについて説明する役割を果たしてくれます。そしてそれが、性のあり方における自分らしさを見つける一つの手がかりになることもあり得ます。

この小レクチャーを通して、参加者の皆さんには実際に存在する人の数だけ多様な性のあり方や性別が存在していることを理解して頂けたと思います。


②性のあり方の多様性:ジェンダーユニコーン・モデル

LGBTQ+に関する基礎用語を説明をした上で、参加者の皆さんに、性のあり方の多様性を理解する際に用いられるもう一つのアプローチを紹介しました。それは、「ジェンダーユニコーン」という考え方です。


ジェンダーユニコーンの画像

ジェンダーユニコーンは、性のあり方には複数の要素が含まれていることを示してくれる図のことです。図には5つの要素があり、それぞれ自認するジェンダー(性自認、ジェンダー・アイデンティティ)、見た目で表すジェンダー(性別表現、ジェンダー・エクスプレッション)、生まれたときに割り当てられた性別身体的・性的に惹かれる対象(性的指向)、恋愛的に惹かれる対象(恋愛的対象)となっています。

ジェンダーユニコーンの考え方は、性のあり方を単なる言葉によるカテゴリーや定義以外のアプローチから理解する道を与えてくれます。この新たなアプローチが実際どのように使われているのかを説明するために、架空の人物の語りも例として参加者の皆さんに提示しました。

架空の人物の例は、それぞれ男性に恋愛的・性的魅力を感じるノンバイナリーの人と、女性と男性両方に恋愛的魅力を感じるが性的魅力を感じないアセクシュアルの人にしました。LGBTQ+の中の比較的に周縁化されている人の可視化という目的以外に、「見た目で人を判断してはいけない」ことの大切さを参加者の皆さんに伝えるのも一つの目的でした。「身長から男に見えて、男の人が好きだからゲイだ」「今女性のパートナーがいるから、レズビアンだ」という無闇な決めつけの危険性を、このパートを通して皆さんに十分に理解して頂いたと思います。

架空の人物Aのジェンダーアイデンティティーに関する語り
架空の人物Bの性的・恋愛的指向に関する語り①
架空の人物Bの性的・恋愛的指向に関する語り②


③カミングアウトとアウティング

AllyとしてLGBTQ+の人とともにいる際に、しっかり理解する必要があるカミングアウトとアウティングについても今回のイベントで説明を行いました。

一度きりのものとして認識されている場合が多いですが、多くのLGBTQ+の人にとってカミングアウトは「日常的」なこと。新しい環境に入るたびに、するかしないか・するならどうしたらいいか・いつしたらいいかなど、色々考えなければなりません。カミングアウトという決定は、「安全」、「快適」、「信頼」、そして「覚悟」の上で行えるものです。そのため、カミングアウトの強制とアウティングといったものは、心理的安全性を感じる居場所を奪う重大な人権侵害であることもお伝えしました。

Allyとして、誰かがカミングアウトしてくれたときにどうすればいいのかについて、正解はないと思います。とはいえ、今回のイベントでは参考までに、避けたほうがよいこととより望ましいこと皆さんに提示しました。

カミングアウトしてくれた時に避けた方がよいこと
カミングアウトしてくれた時のより望ましいこと


④権利について考えよう

LGBTQ+の人と一緒に行動するAllyとして、自分の「特権」について気づき、知ることは重要です。なぜなら、日常生活の中で当たり前だと思っている権利は、一部の人にとってそうではないことがあります。権利が制限されることで人がどのように影響されるのかをわかってもらうために、このワークを設けました。参加者同士が集まって、事前にお配りした権利シートから必要だと思うものをチェックし、その後で理由を共有するようにお伝えしました。

参加者の皆さんからの最も多い感想は、「これらの権利は全部いる」というものです。それにもかかわらず、ジェンダーやセクシュアリティについてマイノリティ性をもつ人々は、社会の様々な制度やルールがそのあり方を想定していないために、マジョリティにとって当たり前である権利が保障されていないという現実があります。

そのため、LGBTQ+の人々が主張する権利はマジョリティにとって当たり前のことで、特別なものではありません。むしろ権利は脅かされているのに、義務については同じように課されてきました。このような理不尽な現実を変えるためには、LGBTQ+の人だけではなく、Allyの力も必要でしょう。


⑤事例検討

今回のイベントに興味を持ってくださる方の中には、実際に起こりうる具体的なシチュエーションに対して、Allyとしてどのように対応すればいいのかを知りたい方が多くいるかもしれないと感じました。そのため、今回のイベントでは事例検討のワークも入れました。

事例検討のワークでは、事前に用意した3つのケースについて、Allyとしてどのようなことができるのかを、グループに分かれて検討し、発表して頂きました。

事例検討のワークシート

検討したケース3つのどれも、現実場面で起こりうることです。理論知識をたくさん学んできたとしても、実際に何か起こったときの取るべき行動に活かせないと「宝の持ち腐れ」になってしまいます。このようなシミュレーションを通して、このイベントが終わった後も皆さんがAllyとして行動できるようエンパワメントしたいと思います!


3.学スタ後記・感想

今回のイベントは、GSセンターのWaseda Ally Weeks2022の一企画として、パレード以外のイベントで最初に開催されたイベントでした。当日参加してくださった皆さん、そしてここまで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました!

この記事を書いたルーは、今回のイベントの準備段階で主にスライドの作成をやらせて頂いていました。作っていたときに、「用語の説明こんなに多いの?」と何度もため息を吐いていました。当日参加してくださった皆さんも、色々聞いてちょっと眠くなったりした瞬間もあるかもしれないですね(笑)。しかし、これぐらい膨大に感じる量の用語の説明は、「異性愛」や「シスジェンダー」の人々が当たり前に受け取ってきた情報量の裏返しなのです。今回のイベントも、あくまで皆さんにAllyにとって必要最低限の知識と、これからAllyとしてできることを自ら考えるきっかけを提供しただけです。Allyにとって、重要なのは知識を身につけるというより、身につけた知識を実践に活かし、そしてまた実践から学び続ける姿勢だと思います。

当日に参加してくださった方からも、ジェンダー系の授業を取っているので基本用語については大丈夫たが、SOGIESCやジェンダーユニコーンなどまだ知らない言葉や考え方があることを知り、日々情報を得続ける必要性を感じたという感想を頂きました。また、普段ではなかなか話せないことをイベントを通して他の人と意見交換することによって、今後どう振る舞えばいいのかわかるようになったという感想も頂きました。今後も、このようなAllyにとって必要な知識と意見交換の場の提供を様々なイベントを通してしていきたいと思います。

長くなりましたが、今回のワークショップイベントの記事はこれで終わります。改めて、最後まで読んでくださった皆さん、ありがとうございました!また今後も、GSセンターの他のイベントをよろしくお願いします!