努力したいと思えて、自分の価値が発揮できる仕事を|株式会社Bloom CTO吉岡さんインタビュー【Ask Geek questions - エンジニアの頭の中、教えてください!】
こんにちは!ジーズアカデミーのゆっきーです。
高い年収や自由な働き方はソフトウェアエンジニアとして働く上で魅力の一つであるものの、それ以上に「エンジニアたちの持つ価値観」はエンジニアという職業について語る上で欠かせないポイントです。彼らの価値観を広く伝えるために、エンジニアと起業の学校 ジーズアカデミーは「エンジニア・インサイト白書」を作成しました。
そして、ソフトウェアエンジニアの『クリエイティビティ』をどうやって伸ばし、どのような『コミュニティ』を作っているのかをお聞きしていく『Ask Geek questions - エンジニアの頭の中、教えてください!』連載。
今回は「誰でも何度でも、個性を活かして花を咲かせられる社会」の実現を目指す、株式会社BloomのCTO 吉岡大輔さんにお話を伺います!
エンジニアチームで主に開発している内容について
吉岡さん:
主なプロダクトは転職を考える個人の方が、興味を持つ大手企業から直接情報提供や個別連絡を受けられるキャリア登録システム「Bloomキャリア登録」です。
エンジニアチームは主にメインプロダクトの開発に取り組んでいますが、実はそれ以外に業務の自動化や効率化、データを収集して分析するための仕組み、プロダクトの価値向上に繋げる機械学習モデルとパイプラインなどメインプロダクトを取り巻く多岐にわたる開発にも携わっています。
具体的には、業務を効率化するためのGoogle Chrome用拡張機能や、ファイルを読み込むためのOCR機能*¹、社員のピアボーナス*²を実現するSlackアプリ、事業の戦略立案に使うデータ分析・可視化の仕組みが挙げられます。
キャリア採用業務には各社の求人情報と求職者のマッチングなど、簡単にはシステム化できない部分が存在します。一方、技術の活用で減らせる負担や工程も多数存在するので、可能な限り「人間にしか出来ない業務」にビジネス側の社員の工数を割ける様、その他の部分は技術で解決する体制づくりに注力しています。
*¹OCR機能:画像内の文字列を読み取り、テキストとしてデジタルデータ化する(光学文字認識)技術
*² ピアボーナス:従来の会社から社員に対して贈られる報酬とは違い、社員同士で報酬を贈りあうことができる仕組み・制度
技術的にここはこだわっている、という部分はありますか?
吉岡さん:
キャリア採用という事業の性質上、求職者の個人情報の取り扱いにはかなり気を遣っています。ハードウェアの側面から、日常の業務で個人情報に関わる部分はChrome book以外ではアクセスできないような管理をするようにしたり、そもそもアクセスできる場所を制限するなど社内の独自ルールをしっかり作っています。
また、弊社はGoogle Cloud Platform(以降、GCP)のBuildパートナーでもあり、全面的にGCPを活用しています。GCPのマネージドサービスを積極的に取り入れる事で、YoutubeやGoogle Mapといった10億人が利用しているGoogleのサービスと近いレベルのセキュリティを構築しています。
Bloomは創業初期からこういった取り組みを進めているのですが、当時これは人材系のスタートアップでは珍しかったかもしれません。見た目は変わらない割に、費用面・工数面の初期投資もそれなりに必要ですし。
一方で、年々企業のセキュリティ意識が上がっているので、初期から取り組んでいて正解だったと思います。創業時と比べて企業から求められるセキュリティの基準は確実に上がっていると感じています。
直近では、導入前にプロダクトのセキュリティチェックを依頼される割合が100%に近くなっています。そのため、仮に2023年から同じプロダクトを始めたとしても、セキュリティ面で導入できない気がしています。タイミングとしては、ギリギリ間に合った…という実感があります。
その他のこだわりとして、技術はあくまで道具なので、「どんな条件下でも、これさえ使えばOK!」みたいなものはありません。新しいもの、古いものを問わず、それぞれのメリット・デメリットをきちんと理解したうえで「少ない人数でも最小の投資で技術活用し、最大限に効果を発揮すること」を常に意識しています。
努力したいと思えて、自分の価値が発揮できる仕事を
エンジニアの「幸せ」とは?
吉岡さん:
ITエンジニア”だから”幸せと言い切ることは難しいと思っています。職種に限らず、努力や試行錯誤によって自分が実現したいことが達成できる仕事は幸せなのではないでしょうか。
私は新卒のとき、自由気ままな考えを持つ自分を受け入れてくれそうな会社を探した結果、システムインテグレーターの会社に入社しました。そこで10年働き、Bloomを立ち上げ、今までずっとITエンジニアを続けています。それもあって、ITエンジニアリングという領域だと、一番自分の価値を発揮しやすいと考えています。
例えばこれまで人材不足で解決したくてもできなかったことが、私が作ったシステムや仕組みによって解決できるようになると、価値が出せたと感じられ、「頑張って仕事して良かった」と思います。
結果的に私はITエンジニアリング領域を選んでいますが、努力したいと思えて頑張れて、自分の価値が発揮できる仕事だったら幸せなんだろうと思います。
業務と技術の掛け算
エンジニアチームを活性化し、プロダクトを成長させるための取り組み
吉岡さん:
BloomのITエンジニアは私含め2名で、他は業務委託含め関わってもらっています。組織全体のメンバーも合計13名と、決して多くはありません。
そのため、技術領域を専門に扱うのは少ない人数だとしても、組織全体で大きなパフォーマンスが出せるように意識しています。ビジネスサイドの効率化に積極的に取り組んでいるのもその理由の一つです。
取り組みをいくつか挙げますと、まず会社のメンバーに半年間のGoogleのデータ分析講座を役割問わず受けてもらっています。いい会社を創っていくためには、事業の軸である人事業務と技術の掛け算をしていくべきだと思っているためです。その両方に、データの利活用は関係してきます。実際にBloomCEOの平原は、ジーズアカデミーを卒業しているので、技術に関する肌感のようなものがわかります。そうすると、私をはじめとするITエンジニアとの会話もスムーズになります。
理想は全員が自分の強みを持ちつつ、どちらの領域もある程度わかることですね。そうすればより多角的な議論ができるようになります。実際に講座を受講して、技術の領域に関心を持つメンバーが増えたように感じます。
また、会社全体が健全に成長するためスクラム開発*³の手法を流用しています。会社の規模が大きくなると、情報の共有方法やコミュニケーション方法など、改善しなければいけない。けれど、目の前の事業的な課題と比べて後回しになりがちなことがあります。それらをエンジニアサイドとビジネスサイド両方のメンバーが入ったチームを作り、一緒に方針検討・改善実施のスプリントを回すようにしています。こういった活動が、結果的にプロダクトの改善や会社・個人の成長に繋がると考えています。
*³スクラム開発:アジャイル手法のひとつで、少人数のチームに分かれ短期間の開発サイクルをくり返し行うフレームワーク
大企業の10年とスタートアップの3年の違い
スタートアップの幅広さ
吉岡さん:
スタートアップを創業し3年ほど経ったときにふと振り返ると、前職の10年で色々なプロジェクトに携わりましたが、直接役に立った経験は体感で10%ほどだと感じました。それも、プロジェクトの進め方やデータの見方など、一般的なビジネススキルが大半でした。
当たり前ですが、創業時のITエンジニアは一人なので他に技術がわかるメンバーもおらず、全て自分でやらなければなりませんでした。インフラストラクチャーやセキュリティ領域も当時は詳しくなかったのですが、やらざるを得ない。なのでどうにかこうにかやってきました。そうすると必然的に、短い期間で急激にやれる範囲が増えました。
また、会社の規模が変われば予算の規模も変わります。欲しいものや人手は無限に出てきますが、潤沢な予算が無く、時間的な制約がある中で、優先度と効果を吟味して実施します。そうする中で「世の中知らないだけで、素晴らしいものはいっぱいある」と気づけたのは大きいですね。
ExcelのPower Queryという標準機能などは正にそれで、創業時には全く聞いたこともありませんでしたが、とあるタイミングで出会い、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス様との人事DX案件で使い倒しました。
ITエンジニアに求めるマインドセット
吉岡さん:
ぜひ技術とビジネスの両輪でサービスについて考えてほしいです。技術はあくまで道具なので、構築したものでどれだけ価値が出せるかということが大切だと考えています。そのためには、言われたものをそのまま作るだけでなく「なぜ必要なのか」「どのように価値が出せるか」この点を自分なりに常に考えながら業務に携わって欲しいです。
Bloomの社風という観点でいうと、仕事以外にも大切にしたい明確なものがある人だと、マッチすると思います。実際に私と仕事をしているITエンジニアは、夜間に4年制の大学に通っていますし、私を含め育児と両立しながら働いているメンバーは多いです。
どうしても取りたい休みのために仕事を全力で前倒ししてやる。なんてことは基本的に歓迎していますので、仕事以外の「何か」のために、仕事も全力で頑張りたいという方は居心地がいいのではないでしょうか。
興味を持って動ける人はすでにスタートラインにいる
どのような人にエンジニアを目指してほしいですか?
吉岡さん:
直接的な回答にはなっていませんが…「ITエンジニアをやってみたい」と思う方々ですね。例えばジーズアカデミーの様なスクールの説明会に行く、オンライン講座を調べてみる。それだけでもすでに一歩行動を起こすことはできていて、スタートラインに立っていると思います。
学んだ後は、引き続きプログラミングをやりたいと思える人。プログラミングを学んだ結果、ITエンジニアにならない選択をする人も一定数います。でも、それで良いのだと思います。
「技術を学ぶ」という事は、「分からない→分かる」「出来ない→出来る」の試行錯誤の連続です。やってみなければわからない部分が多いので、数か月かけて作ったものを、外部環境の変化に応じて1週間で捨てる事もあります。中々しんどい部分もありますが、どこで何を学んだとしても、経験は無駄にならない。その中でも、ずっと技術を学び続けられる人が、ITエンジニアに向いているのではないかと思います。
スタートアップの3年間はその前の10年に劣らないほど濃密だった、というお話が非常に印象的だったインタビュー。自分で設計し、手を動かすことが成長に繋がるということを、経験を踏まえてお話いただきました。
これからエンジニアを目指される方も「想像して、実際に動かす」ことを大切に学んでいっていただければと思います!
Bloomさんにご興味を持った方はこちらから!
◆サービス:https://www.blm.co.jp/index.html
◆採用:https://en-gage.net/blm_jobs/
<エンジニア・インサイト白書>
https://gsacademy.jp/column/engineer-insight-whitepaper/
<ジーズアカデミー>
https://gsacademy.jp/