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Amazon Primeで配信!映画『劇場』

映画『劇場』をアマゾンプライムで観た!

7/17日に劇場公開と同時にアマゾンプライムの会員特典として配信された『劇場』を早速、配信開始日に鑑賞しました。

個人的な好みの映画ではないのですが、主演の二人は嫌いじゃないですし、コロナ禍に起因しての公開、配信同時とはいえ、これはかなりエポックメーキングなことではなのではないでしょうか。映画業界にとりまして。

作品評はここではしないので、アマゾンプライム会員の方や上映劇場付近の方はお時間あれば是非に。

製作者の方々の英断

以下の、記事に行定監督による今回の公開、配信同時に関するインタビューが掲載されています。大事な部分は抜粋しました。

元々、全国上映で準備をしていた作品を今回のような形で届けることに決定するまでは様々な葛藤があったのかもしれませんが、とても正直かつ冷静に状況を判断しての英断だと思いました。

宣伝費用を既に使っているので、再度の宣伝活動が難しい故の方向転換

どんな良い作品であってもきちんとした計画と予算の元に宣伝しない作品は結局届かないということをやはり、プロの方はしっかりわかっているので、映画を単に思いを伝える表現行為ではなく、事業として捉えている(当たり前ですが)からのこの決断なのでしょう。当然といえば、当然かもしれないですが、監督の思いとかこだわりとかではなく、関わった人や作品を観る可能性がある人への配慮が優先された行動だと感じました。

行定監督:4月上旬の時点では、映画『劇場』の製作委員会はロックダウンはないと予想して4月17日公開で話を進めていました。しかし、4月7日に突然緊急事態宣言が発出されたんですね。これはロックダウンではなく、国民に自主規制をお願いするといった主旨だったわけです。そのとき、本来全国280スクリーンで『劇場』を公開予定だった映画館のうち、主要都市では営業をしないということになりました。主要都市が営業しないのに地方のほうが先に公開されるというのは非常にバランスが悪いので、結局全館営業を停止することになります。その影響で、公開5日前のタイミングで『劇場』の公開延期が決まりました。
ただ、その時点で『劇場』の宣伝活動はほとんど終わっていたんです。僕は地方キャンペーンはすべて終わっていましたし。あとはテレビ番組の生放送に出演者が出てもらうくらいの段階でした。つまり、もう宣伝にかなりお金を使っていた状態だったんですが、ほとんどが水の泡になってしまったわけです。
かといって、延期をして数ヶ月後に映画館で普通に上映しても、新型コロナ以前のようには戻らないというのが配給会社の見解だろうと思います。そこで「配信」の話が浮上しました。
『劇場』という映画がどこに着地すればいいのか。今回の配給は吉本興業さんがメインでやってくれています。吉本さんもイベントや劇場収入がないから大打撃なわけですけど、『劇場』をすぐに収益化しなければならないと迫ったりはせず、「監督が映画館にこだわるんだったらこだわっていただいていいですよ」とまで言っていただいて。
そのときにAmazon社から、配信料に製作費をかなり回収できるほどの配信料の提示がありました。通常の2次使用配信だったらあり得ない額でした。

あと、アマゾンからかなりのオファーがきたことも注目ですね。

映画やコンテンツ業界の求心力の多様化、変容がみてとれますね。このまま変化が止まらないと、とても面白いと思います。

動画配信料のタイプ

今回、アマゾンが支払った配信料はいくらかと知ることはできませんが、おそらく、一括で契約期間中の配信料を支払ったのでしょう。一定期間は配信はアマゾンで独占ということだと思います。

以前、アニメーションの配信権を購入したことから、動画配信の配信料(権利購入)には様々なタイプがあることを知りました。Netflixやアマゾンは多くの場合、一括で固定の費用を払うことが多いらしいです。

最近は、ニッチ型の動画配信サービスでは広告収益モデルで運営しているサービスも多く出てきており、その場合は、配信費用は広告収益の分配ということもあります。

これは、需要と供給であったり、作品と配信サービスとのパワーバランスや鬩ぎ合いで交渉を重ねて合意に至ることも多くあります。

そこで、動画配信サービスが権利を購入する時のタイプを下記にまとめてみました。

権利購入型:配信地域、独占化非独占など諸条件をベースに特定配信期間の権利を固定(多くは一括で)支払うモデル
レベニューシェア型:事前に合意した価格を支払う権利購入と異なり、何かしらの収益が発生した場合に、合意した比率により、権利元に収益を分配するモデル。収益が全く発生しない場合は、何も支払われない場合と収益に関わらず、最低保証金額を支払う場合がある
- 会員収入型:そのコンテンツ起因で会員登録をしたユーザーからの収益を予め合意した比率で分配。SVODの場合に用いることがあるが、そのコンテンツ(権利)で獲得したかどうかの基準を明確に定めることは難しいので、あまり浸透していないと思われる
- 売上型:TVODやESTの場合の売上分配モデル
- 広告収入型:AVODの場合、特定コンテンツにより得た広告収益を予め合意した比率で分配。今後、このモデルのサービスが一定数増えることが予想される
視聴時間型:一定期間における総配信時間(ストリーミングサービスの場合)x 1分あたりの単価合計で課金
視聴者数型:一定期間における総ユニークユーザーによる視聴回数、再生回数 x ユニークユーザーあたりの単価合計で課金

配信サービスが個々の権利保有者とやりとりをすることはあまりなく、(今回のような大型案件は直接だと思いますが)通常はアグリゲイターと呼ばれる会社を通しての取引が多いようです。

また、以前、ご紹介したように、売り手をと買い手が自由に交渉、契約できるプラットフォームも増えてきています。

動画配信に関わるプレーヤーや収益モデルは今後も増えそうですね!






配信、劇場公開に限らず、映画を効果的に宣伝することに興味があれば、是非、お声がけください。