ボードゲーム制作のすすめ!初めて個人でボードゲーム「シネマトペ」を作ってみた記録
こんにちは。依酉みどりです。
ゲームマーケット2020秋にて、「GrunGames」という個人サークルで初めてボードゲームを制作し販売しました。
2020年の終わりに簡単に記録を残しておきたいと思います。
こんな人におすすめ
・個人でボードゲームを作りたいけど、みんなどうしてるのか知りたい
・作る予定はないけど、ボードゲーム制作の裏側が知りたい
・シネマトペの制作過程が知りたい
3番目についてはそうそうおられないと思いますが、一応ね、、笑
わたし自身、初めてボードゲームを作るにあたって制作について書かれている記事を読ませていただいたり、周りの方に聞いたり情報収集させていただいて助かったので、少しでもわたしの記録も役立てばと思います!
ちなみに、わたし自身のスペック(立場?)は印刷会社に勤めているわけでもないですし、イラストレーターでもないです。普通のボードゲーム好きがボードゲーム作りたいを実際に一人でやってみたの記録です。
あくまで一つの方法なので、色んなやり方があると思います。どうかこんな人もいるんだなと参考までに。もっとこんな良い方法あるよ、の情報は大歓迎です。教えてほしい~。
はじめに:こんなゲーム作りました
はじめに作ったゲームを簡単にご紹介。
カルタのようなルールで、軽く遊べるパーティーゲーム。
イラストカードを机の上に広げ、誰か一人がお題カードを引きます。「花瓶が割れた」「タイムマシンに乗った」などお題が書いてあるので、その時の音を想像しながら声で表現して、みんなで当て合うゲームです。
ルールはすごく簡単なのですが、製品として世の中に出すまでに色んな行程が、、ボードゲームの作者さんみなさんへの敬意が深まりました。
では、10の制作工程いってみましょう!
1.アイディアをだす
当たり前ではありますが、とにかく最初はコレ大事。
こんなボードゲームを作りたい、と思ったときにとにかくメモを残されることをオススメします!なぜなら、忘れちゃうからです!笑
自分で考えたのになんで?と思うかもしれませんが、すごく大事だと思います。メモさえとっておけば、後から見返したときに本当に使えるものか冷静に確認することも出来ますしね。わたしはLINEのメモ機能を使っています。
例えばわたしが制作した「シネマトペ」についての最初のメモはこんな感じでした。
・効果音を使ったゲーム
・効果音に答えはない。自由に表現を楽しむゲームにしたい。
・世界観はラジオで、効果音データが壊れた設定
・みんなでなんの場面か当て合う協力ゲーム
・仮タイトル「サウンドエフェクト」
・砂時計をひっくり返して、時間制限をつける
お分かりかもしれませんが、コレ、最終的に採用したルールとはだいぶ変っています。
アイディアが出ないよ、という方、自分がスキなものをメモしておくだけでも繋がるのではないかな、と思います。
わたしはもともと漫画とかのオノマトペが好き(ジョジョとか)絵本の読み聞かせとかの効果音の表現が好き、なので、それを味わえるゲームを作りたいと思いました。
作りたいボードゲームの概要が決まってきたら、既存のボードゲームにすでにないか確認をおススメします。
わたしは周りの尊敬するボードゲーム仲間に「似たようなボードゲームない?」と確認しました。シンプルなルールだったので、誰かと被りそうで怖かったんですよね。せっかく作ったのに「これパクり?」とか言われたら泣いちゃいますよね、、
わざとじゃなく、簡単なゲームほどボードゲーム界の中でルールが似てしまうというのはあるあるなので、仕方がないことはあると思います。何千何万作品あるんですもんね。作ってから気づいたのなら、それはそれ。(と、わたしは思ってる)
でも、出来る限りの範囲で構わないので確認しておくと安心だと思います。
実際わたしはこの「シネマトペ」ではありませんが、思いついたルールがほぼ丸かぶりのゲームありました。そっちを出してなくて良かったぁ、、。
2.印刷会社を選ぶ
この段階で?と思うかもしれませんが、これも早めをおススメします。
なぜかって、カード枚数やサイコロやコマ等の内容物で制作料金が変わるからです!予算を決めとくの、大事!
「シネマトペ」の場合、ルールを思いついた時点でカード枚数が多くなることが分かっていたので
・カード枚数が多くても手軽な料金
・化粧箱が作れる
・小ロット(制作個数)から頼める
の条件で探しました。それで今回はポプルスさんの60枚カードセットを使う事を想定してルールをつめていきました。
コマを造る、指定したサイズで箱を作ってくれる等、印刷会社さんによって出来ること、価格、納期、最低ロット数などが変わるので調べておくと後で焦らなくてすみますよ。
もちろん、印刷会社さんに頼まず家庭プリントだったり100均で揃えたりもできますし、どんな完成品にしたいかイメージしておくと良いと思います。
3.テストプレイ用ゲームを作る
アイディアが出て、ゲームとして少しは遊べそうだな、と思ったらさっそくテストプレイをしてみましょう!なぜなら、遊んでみないと分からないから!(当たり前?)
テストプレイの強い味方、100均。絵とか文字とか分かれば良いので、ここは適当で。遊べたらOK!
↑テストプレイ用で作った物の1つ。わたしは名刺サイズのカードを買ってきてこんな感じで作ったりしていました。
4.テストプレイしてもらう
テストプレイをお願いできる人を探して、遊んでもらいましょう!
と、口で言うのはカンタンですが、、これが一番難しいこともあるんじゃないかと思います。面白くないかもしれないゲーム(だいたい最初から改善点ないゲームとかほぼないよね?)を遊んでくれて、感想を教えてくれる人って本当に貴重だと思います。
テストプレイ会など近くで開催されていたらありがたいですね。私の場合は、「JILLNIC GAMES」さんが主宰するテストプレイ会にもお邪魔しました。ここで優しくも率直な感想が聞けて、もっとこうしたらいいかも、とか同じボードゲーム制作を志す方々と建設的な話ができて、本当に助かりました。ありがとうございましたと何度でも言いたい。
そこでだいぶ製品に出来そうな段階までまとまってきたところで、周りのボードゲーマーの方々に声をかけて更にテストプレイしていただきました。
テストプレイをしてくださった方々に、圧倒的感謝、、、!です。
余談ですが、ボードゲームの漫画「放課後さいころ倶楽部」読んでますか?翠ちゃんがボードゲームを作るためにテストプレイしてもらう回、すごく良いですよ〜!共感しかないです。ボードゲーム制作しながらアニメをもう一回流し見してて、がんばる翠ちゃんに励まされて涙。観たことない方は、第6話だけでもー!
5.ゲームを改良していく
カッコよく言うとブラッシュアップしていく。(カッコよく言ってみたかっただけ)
例えば、シネマトペの場合、テストプレイをしていただいたおかげで分かったこと。
・思っていたより、みんなお題をみて音を考えるのに時間がかかる。
・ある程度選択肢をしぼらないと当てるのが難しい(無理ゲーになる)
・子供には読めない漢字がある
改良点
・考える時間が楽しそうだったので、時間制限ルールはやめる
・答えの選択肢として、イラストカードを導入
・ルールを簡単にするために、カルタ形式にしてみる
・ゲームのテーマと内容がズレてきたので、ラジオから映画にフレーバーを変更
・お子さんや外国の方にも楽しんでいただけるよう平易な言葉を使う。ルビをふる
などなど。シネマトペの場合、最初は時間制限ありの協力ゲームにしようとしていましたが、大幅に変わりましたね。
テストプレイをしてみないと分からなかったことがたくさんあったので勉強になりました。他にも、お題に「ドッキリ大成功!」を入れていたのですが、外国の方には伝わらないことが分かったのでお題を変えたり、黒電話が若い世代には馴染みがないという事でイラストを変えたりしましたよ笑
改良してはテストプレイ、をまとまるまで繰り返しですね!
あと、テストプレイをしてもらう時の心構えとして、
・もらった意見、感想はメモ!忘れちゃう!
・でも、すべての意見を取り入れようとしない。
当然ですが、ボードゲーマーも好みが様々。
テストプレイをしてもらっていて感じたのですが、すべての意見を取り入れるのはどうしても無理があります。
わたしの場合、1作目は子供から大人まで遊べるパーティーゲームにしたいという気持ちがありました。
なので例えば「大砲の音」「銃声の音」を入れたらどうか?という意見もあったのですが、子供から遊べるようにドンパチ系の音は使わないことにしたり、もっとゲーマーズゲームになるように点数計算をシビアにする意見もありましたが、ゆるゆる遊べるゲームにしたかったので変更しなかったりしました。
万人受けするゲームが作りたいのか、コアな層を狙いたいのかなど、自分のゲームが目指すボードゲームを思い描いておくと、色んな意見を聞いてもまとめやすいと思いますよ。
6.アートワークを考える
さて、パッケージデザインやコマ等のゲーム内容物のデザインを考えていきましょう!
ここもまた悩ましいところだと思います。選択肢は大きく3つ。
1.プロの方に頼む
2.フリー素材を使う
3.自分で描く
わたしの場合、そりゃもちろんプロの方に頼みたかったのですが、予算の都合上無理、、!小ロットの予定だったのでプロの方に頼むと1個当たりの単価がかなり高くなってしまいます。
しかも、化粧箱のデザインだけならまだ頼めたかもですが、イラストありきのゲームにしてしまったので、うまくニュアンスが伝わらないと描き直してもらったりなど大変だろうなと予想できたので、、自分で描くことにしました。めちゃ大変だった、、、。
箱デザインも悩みに悩んでつくりました。
例えば最初のデザイン。まだタイトルも決まっていなかったときです。
こんなのとか。
色々考えた結果、子供からわいわい楽しめるイメージを表にだしたかったので最終的にこのデザインに決定しました。タイトルも試行錯誤しているうちに「あ!シネマとオノマトペで、シネマトペにすれば良いんじゃない!?」と突然の思いつきで決まりました。
カラーを大好きなブルーナさん(ミッフィーの作者さん)をイメージしてつけたのですが、公開した後、気がついてくださった方がいて嬉しかったですね。
このデザインも、周りの人に何度も意見を聞いて、何度も何度も描き直したので、本当に友人たちには感謝しています。ありがとう、ありがとう、、。
いまはインターネットで探せるフリー素材も多いので、絵が少しも描けなくても手はあると思います。わたしの場合、タイトルロゴはフリーフォントに助けてもらいました。
わたしが使いたかったフォントの一部は商用利用は要連絡だったので問い合わせさせていただきましたが、丁寧なOKの御返事をいただいて嬉しかったですね。絵もフォントも商用利用ができるかチェック忘れずに!
7.説明書をつくる
「こんなに簡単なルールなのに、文章にするとなんでこんな難しいの?」
何度そう思ったことか!説明書を作る側になって痛感しました!
軽いゲームでこんなに面倒なのに、重ゲーの説明書をつくったり翻訳されている方々本当に尊敬します。
シンプルな言葉で分かりやすく書けたら理想ですが、文章のセンスが必要で、得手不得手ありますよね。書いてみる、口に出して読んでみる、他の人に読んでみてもらう、と、これもまた地道に改良するしかないと思います。
がんばりましょう!(文章のプロの方に頼むもアリなのかな?)
「シネマトペ」の場合、ルールの英訳も協力して下さる方がいたので助かりました。超シンプルな説明書でも全然問題ないと思いますし、日本語だけ対応にするか、文章ではなく漫画でルール説明する等など、自分好みの説明書にできたら良いですね。
8.印刷する
箱、ゲーム本体、説明書など必要なものが揃ったら印刷しましょう!印刷会社さんに頼む場合は、入稿しましょう。だいたいの印刷会社さんが入稿マニュアルを作って下さっているので自信がない方は熟読しましょう!わたしもミスしそうで怖くて何度も確認しました笑
↑見本が届いたときの画像です。わたしは最初頼んだ印刷プランだと紙の強度が足りない気がしたので、グロス加工を追加したりしました。テスト印刷がある会社さんだと安心ですね。
もちろん、家庭プリントだとやり直しも簡単でその点は融通がききやすいですよね。考えたモノがカタチになっていくといよいよワクワクしてきます。
わたしは説明書もすべて今回はポプルスさんにお願いしました。届いた時の感動のツイートがこちら。
9.梱包する
ゲームの内容物(カードやコマ、説明書など)が一式揃ったら箱詰めです。
わたしは販売価格を少しでも下げたくて、箱の組み立てやカードの検品も自分でやりました。
内容物によっては、組み立てや梱包を印刷会社さんですべてお願いする手もあります。時間とコスト、どちらをとるかで判断して下さいね!
楽しくも大変だった箱作り。
気が遠くなる検品、、!
60枚のカード枚数は正直しんどかったですね、、。作り終えてしまえば良い思い出ですが、もうあのカード枚数はやりたくないかも笑
10.宣伝する&販売する
完成したら販売しましょう!遊んでもらいましょー!
やっぱりおススメはゲームマーケットに出品することですね。
ゲームマーケットさんの公式サイトでは、作ったゲームのお知らせも出来るのでとっても便利。どんなゲームを作ったとしても、存在を知ってもらえないと手にとっていただけないので、広報大事だと思います。
と言いつつ、わたしもそんなに頑張れていないので偉そうなことはい言えません、、。完成させるのに必死で宣伝には力が入れられなかったなと思います。次回があれば、もうちょっと頑張りたいです!上手な方はもっとツイッターやインスタを活用されているんだろうなぁ。
↑そんな中でもとりあえずしたツイート笑
「シネマトペ」は2020秋のゲームマーケット(11月14日)で委託販売させていただきました。本当は自分で東京に行って出品出来れば良かったのですが、11月13日に入籍してその月に引越し&結婚式があるというプライベートがとても忙しく断念(そもそもそんな時によくボドゲとか作ったなという気もする)
委託させてくださった「ナカガワハンズ」の中川さんには本当に感謝です!!※ナカガワハンズさんの「エクストリーム将棋」も「ワームス」も面白いよ!!
ナカガワハンズさんのサイト
「シネマトペ」の場合は、ゲームマーケットの前に欲しい方には予約していただいて、何個くらい委託をお願いするか目安にさせていただきました。10時過ぎには完売していたようで、ありがたかったですね。
ゲームマーケットでは、ブースに来て下さった方がどんなゲームが分かりやすくしておくと手にとっていただきやすいと思います。「シネマトペ」の場合、簡単にルールが分かるように説明マンガを置かせてもらっていましたよ。
ゲームマーケット以外では、インターネット通販で売る、ボードゲームショップに委託して販売してもらう方法があります。
わたしはボドゲーマさんとイエローサブマリンさんで委託販売をお願いしました。どちらも手軽にも関わらずきちんとされていて、安心してお願いできてとっても良かったです。手数料など各お店で違うので、気になる委託方法は各サイトさんの案内を見てみてくださいね!
委託できるの本当にありがたいですね。
そして、どこで販売するにしても、
価格はしっかり考えて設定することをおススメします!
ゲームマーケット出展料、委託料、送料などを加味して黒字を出すのは小ロットにすればするほど難しいかもしれません。
わたしの反省点ですが、「シネマトペ」の場合、100個制作で2000円で販売したのですが、ちょっと苦しかったです、、!ゲムマ特別価格を2000円にさせてもらって、委託ぶんは2100円にしても良かったかなとか。微々たる差ですが、大違い。後から値段を上げることはなかなか出来ないと思いますので!計画大事!
おわりに
いかがだったでしょうか。
こうやって振り返ってみると、タイトルに「個人で」と書きましたが、色んな方に支えられ助けられて一つのゲームを作れたと感じます。本当に感謝しています。
ボードゲームを作りたい、というフワフワした夢から実際に実行してみて、大変だったけど、わたしは心から楽しかったです。また、自分で作ってみてボードゲームの制作者さんたちへの感謝、尊敬の念がさらに強まりました。みんなすごいわ、、。
このまとめから、ボードゲーム制作に興味あるけどそのまま、という方の後押しになれば一番嬉しいです!がんばって作ったボードゲームを買ってもらえたり、遊んで楽しんで下さっている人をみると、喜びもひとしおですよ!!もちろん、マイナスな感想を聞くこともあると思いますが、テストプレイの時に触れたように好みはひとそれぞれ。自分も好きなゲーム、苦手なゲームがあるのと同じように、当然だと思ってそんなに怖がらないで制作してみてほしいなと思います。
ボードゲーム制作、楽しいよ!
以上、ボードゲームの制作記録でした!!
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