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書評:予測不能の時代:データが明かす新たな生き方、企業、そして幸せ

著者である矢野さんは日立でフェローという役職に就かれています。
フェローという役職がどんなものか、元社員に聞いてみたところ、ノーベル賞とか取るレベルのレジェンドで日立でも数名しかいないとのことです。
どんな華々しいストーリーが書かれているのか楽しみに読み進めましたが、まったくの波乱万丈で矢野さんのストーリー自体が面白かったです。

矢野さんは日立で半導体の研究一筋だったもののが、日立が半導体分野から事業撤退することになり、今までの知識や経験が何にも活かせないし、役割もない状態に陥ってしまいます。
そんな状況下で、一からいろいろ試行錯誤して行く中で「幸せを科学する」ところに活路を見出していきます。

幸せにつながるための行動を測定するためのウェアラブルデバイスを独自で開発したり、分析したり、、元々は専門ではない分野なのに40歳を過ぎてからトライして、世界的にも評価される研究結果を出すってすごいなと。

この本の中で面白かった箇所として、幸せな組織の4つの特徴(FINE)という記述がありました。
これは独自のウェアラブルデバイスで計測をして導き出した答えということで、そのデータの取得方法なども具体的に書かれていて、とてもユニークだと思いました。

・フラット (Flat) =均等 人と人のつながりが特定の人に偏らず均等である
・インプロバイズド (Improvised) =即興的 5分から10分の短い会話が高頻度で行われている
・ノンバーバル (Non-verbal)=非言語的 会話中に身体が同調してよく動く
・イコール (Equal)=平等発言権が平等である

この4つの特徴で「心理的安全性」を解釈すると、以下のことに気をつけることが大切のようです。
・組織図にとらわれずに人とつながる
・予定表にとらわれないタイミングで話しかける
・立場の違いにとらわれずに会話を身体で盛り上げる
・役職や権限にとらわれずに発言する

これらは自分自身で意識的に取り組む必要がありますが、マネジメントやHRの立場だと、意図的に作ってあげることも大切だと思いました。
組織図にとらわれずに人とつなげてあげる、MTG以外で話しかけてあげるなど、比較的アクションしやすいものに落とし込めると思うので、そういう視点も持っておきたいと思いました。

数ある中から、お越しくださって、 ありがとうございます。 人事って正解がない。 でもできるだけいい方向に持っていきたい。 そんな事例が自分の中に溜まったら、おすそ分けできるように頑張って体系的にまとめていきます。 ご縁があれば奇跡的に巡り会えますことを・・。