戦略コンサルからのアラサー人事

戦略コンサルとして人事戦略などを考える立場から、2017年に人事のキャリアをスタートし…

戦略コンサルからのアラサー人事

戦略コンサルとして人事戦略などを考える立場から、2017年に人事のキャリアをスタートしました。 人事の初心者が詰まるような課題から、最近仕事としている組織開発・人材開発の領域で気づいたことまで、他社でも応用できるような情報にしてお届けできればと思っています。

最近の記事

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人事制度の設計Portal

『戦略人事的な人事制度の作り方』と題して、全10回に渡って人事制度の設計マニュアル的なものを書いてきました。 いわゆる人事コンサルみたいな人が考える論点や一般的なオプションは網羅していると思うので、1つ1つ結構しっかりボリュームがあります。 どこで何を書いているのか、全体像を把握できたほうが参照しやすいなと思い、Portal的な記事を作ってみました。 これで興味がある論点だけ参照いただくこともできるかと思いますので、少しでもお役に立てれば幸いです。 戦略人事的な人事制度の

    • 書評:予測不能の時代:データが明かす新たな生き方、企業、そして幸せ

      著者である矢野さんは日立でフェローという役職に就かれています。 フェローという役職がどんなものか、元社員に聞いてみたところ、ノーベル賞とか取るレベルのレジェンドで日立でも数名しかいないとのことです。 どんな華々しいストーリーが書かれているのか楽しみに読み進めましたが、まったくの波乱万丈で矢野さんのストーリー自体が面白かったです。 矢野さんは日立で半導体の研究一筋だったもののが、日立が半導体分野から事業撤退することになり、今までの知識や経験が何にも活かせないし、役割もない状態

      • 書評:データの見えざる手

        日立の矢野さんの本が面白かったので、別の本も読んでみました。 (面白いと思うと、その著者の本を連続で読む癖があります) 「予測不能の時代」と重複する内容もありますが、こちらもサクッと読めるのに内容は濃かったです。 人間活動の効率には限界があるというお話が印象に残っています。 カルノー効率という計算式に当てはめると、その限界が計算できるという研究結果が出たとのこと 以下要約しながら引用 例)原稿執筆の作業をする際の腕の動きが1分間に50~70回の幅に収まる場合 カルノー効率

        • 書評:自分を変える1つの習慣

          先日「自分を変える1つの習慣 」という本を読みました。 自己啓発本ですが、例え話がいろいろ出てきて面白かったです。 その1つに、牛とバッファロー(バイソンだったかも?)の話がありました。 嵐が来ると牛は逆方向に逃げるが、追いつかれると、雲と同じ方向に動いているので長時間の嵐に遭う。 バッファローは嵐が来ると嵐に向かっていくので、すぐに嵐に遭遇するが、すぐに抜けられる。 問題にぶつかった時には、恐れてもいいから早くその問題に向かって取り組むべきということの例え話でした。

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          書評:世界標準の経営理論

          この本は800ページくらいある超大作でヘビーですが、非常に多くの論文に触れられていて、学術的なトレンドがわかるのでインプットとしてはとても良質だと思いました! 経済学から派生した経営学 心理学から派生した経営学 社会学から派生した経営学 と大きく3部構成になっているのですが、心理学派生はリーダーシップ理論やモチベーション理論など、HRに関わる領域の論文も多く参照されています。特にモチベーション理論は複雑で、ブログに書ききれないくらい肉厚です! 経営理論を前提としての構

          書評:世界標準の経営理論

          研修クロージングのTIPS

          これから研修を作る機会も増えそうなので、少し調べ物をしていたら良い学びがありました。 研修のクロージングのさせ方で、以下を意識すると研修後にも効果が持続しやすいとのこと。 ・研修後のアクションプランは研修の時間中に立てさせる ・祝う(ポジティブに終わる) ・すべてを結びつける ・講師がまとめずに、受講者がまとめる機会を作る それぞれ効果がある理由も説明されていましたが、なかなか納得したので、 これから意識してみたいと思いました。

          エビングハウスの忘却曲線の正しい解釈

          「エビングハウスの忘却曲線」について、私が誤認していたことを今日発見しました。 おそらく名前は知らなくても、概要はなんとなく知っている人も多いと思うのですが、 記憶した20分後には42%を忘れ、1時間後には56%を忘れ、1日後には74%を忘れ、、、という解釈だと思っていました。 ところが正しくは、時間が経つとどれだけ忘れるかではなく、 忘れた単語を覚え直す際に、(初回に要した時間に対し)どれだけ時間を節約できるかということでした。 20分後にはその42%

          エビングハウスの忘却曲線の正しい解釈

          ウェルビーイング診断ツール

          慶応大学の前野研究所とパーソルの共同研究で、働く人の幸せ・不幸せ因子の分析というものがありました。 前野研究所はHR関連(特にウェルビーイング)で先駆的な研究をしているところなので、たまにチェックをしていたのですが、上述の分析が診断ツールになっているということだったので、やってみました。 幸せ因子は全国平均より高め、不幸せ因子は全国平均より低めだったので、良かったです! そして診断結果の後段に出てくる因子ごとのレーダーチャートは、なかなかおもしろかったです。 https:

          ウェルビーイング診断ツール

          EXってなんだ?をまとめてみた

          最近EX(エンプロイーエクスペリエンス)という会話をしたのですが、そもそも「EX」ってうまく説明できなかったので、「EX」というタイトルの本を読んでみました。 EXとは、従業員が組織や組織内のリーダー達とのやり取りで経験することや経験する信念の総称(本より引用)のようです。 このEXの良し悪しは期待との整合で決まるとのこと。 そしてその期待は、「ブランド契約」「取引型契約」「心理的契約」の3つの契約により生成されるようです。 各契約を履行しないと、期待を裏切られたと捉

          EXってなんだ?をまとめてみた

          副業解禁に向けた厚労省の動き

          6月24日の日経の記事で、「厚労省は、副業禁止の企業にその理由の公表を要請する」とありました。 厚労省もかなりパワーを使って副業解禁に向けて動き始めましたね。 罰則はないということですが、副業禁止にしている会社は何かしらの対応や、就業規則の見直しが必要になるかもしれないですね。 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA15BUS0V10C22A6000000/

          副業解禁に向けた厚労省の動き

          6月の労政時報を読んで

          6月の労政時報は今とても興味ある「組織文化変革」がテーマでした。 NEC、SOMPO、カインズの事例は、それぞれ独自性があっておもしろかったですね。 特に人事の関わり方というかスタンスが三社三様で、施策ももちろんですが、そういうHRのスタンスという視点で見ると違った面白さがあります。 ただ、解説編として載っていたPwCの人の記事は、やや謎だったので、読まなくても良いと思いました。 例えば「強い組織文化は、従業員の自発性を促す」と言っていますが、文化には強いも弱いもない気が

          人的資本の情報開示

          6/18の日経の記事ですが、アメリカで導入された人的資本の情報開示について、日本でも2023年度中には、以下3つについて有報に載せることを金融庁が義務化するようです。 女性管理職比率/男性の育児休業取得率/男女の賃金格差 その他以下19項目も、内閣官房が情報開示を促していくようです。(7月下旬に指針発表とのこと) リーダーシップ、育成、スキル/経験、エンゲージメント、採用、維持、サクセション、ダイバーシティ、非差別、育児休暇、精神的健康、身体的健康、安全、労働慣行、児

          Pruduct out発想の人事に憧れた日

          先月、競争戦略についてのセミナーの動画を見ていたのですが、 「THE 株式会社」が題材になっていて、影響されて買ったお財布を購入してしまいました。 これまでのお財布に入れていたものの8割は収納できて、もうこれで十分だと思ってしまいました。まさに「THE」です。 https://the-web.co.jp/products/the-monster-spec%C2%AE-light-wallet この会社には「未来の定番を作る」というコンセプトがあり、 そのためには顧客の声で

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          ジョブ・クラフティングとは ~島津教授の講演を聞いて

          HR業界でバズワード化している「ジョブ・クラフティング」について、慶應大学の島津教授のお話を聞いたので学んだことや思ったことを書いてみます。 ジョブ・クラフティングとは?(島津氏の定義) 「やらされ感」のある仕事をやりがいのある仕事に変えること やりがいのある仕事に変えるためには、以下の3つの方法があるようです。 1. タスク自体の性質や遂行方法を変化させる 2. 仕事上での人間関係を変化させる 3. 仕事の捉え方(認知)を変化させる このうち、3の捉え方を変化さ

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          人事界隈のニュース:若年就業者のウェルビーイングと学び

          数ヶ月前ですが、パーソル総合研修所が「若年就業者のウェルビーイングと学びに関する定量調査報告書」というものをリリースしていました。 結構ボリュームがあって、ビジュアル的にもきれいにまとまっているので、読んでいて面白かったです。 https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/assets/hatachikara.pdf この報告書の中で、今の若者(大学卒25~35歳)は、働き方の志向性で、「働く仲間重視」「安定重視(変化嫌う)」「働き方重視

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          戦略人事的な人事制度の作り方⑩ ~報酬制度~

          全10回、足掛け3年で書いてきた人事制度のお話も今回で最後です。 この10回の記事を見ていただければ、0の状態から8~9割くらいまでの状態の人事制度が作れると思います。 とはいえ人事制度は作って50点、運用ができて50点です。 どんな人事制度を作っても、色んな人からの横槍が入りますが、頑張って乗り越えていきましょう! さて報酬制度は、基本的な論点である「支給項目」「報酬レンジ」「等級間の重複」について解説をしていきます。 1.支給項目まずはどんな項目で給与を支払っていくか

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