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契約には何を規定してもよいのですか?【弁護士が解説】

皆さま、こんにちは。
弁護士をしております、中野秀俊と申します。
今日のテーマですけれども、契約には何を規定してもよいのですか?というお話をしたいと思います。

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契約には何を規定しても良いのか?

この件についてはよくご質問をいただきます。「契約をこういうふうにしたいと思ったんだけど、何かちょっと法律と違うって言われて直して欲しいとか言われているんです」「法律通りにして欲しいって言われているんです」「法律通りにしないといけないんですか?」というご相談が非常に多いので、解説したいと思います。

以前、経営者のための民法ということでご説明しましたが、契約自由の原則というものがあります。これは契約をするのかしないのか、どのような契約内容にするのかは自由というものです。契約においては法律よりも契約が優先されるため、法律と違うことを規定してもOKなのです。逆にいうと、法律と違うことを契約で書いても、後から「法律と違うじゃないか!無効だ!」とは言えません。あくまでも2人が決めたことなのだからそれは守りましょうというのがこの契約自由の原則となります。後から「いやいや、これ知らなかった!」「見ていなかった!」「法律と違う!」とは言えないので、契約書のチェックは重要になるわけです。

契約が無効になる規定

ただ、何を定めてもよいのか、どのような契約をしてもよいのかというと、一定の制限はあります。では、どのような制限があるのかというと、民法上では公序良俗に反するものは無効としています。公序良俗に反するものとは道徳に反するもの、普通に考えてそれはダメだろうというものだと考えていただければと思います。もちろん評価の概念ではありますが、たとえば殺人を依頼する契約や愛人契約などは合意があったとしても無効となります。

消費者側に不利な規定は無効

また、企業と消費者間のBtoC取引の場合は消費者契約法があり、消費者は守られる立場になっています。これによって、企業が一方的に有利、つまり消費者が一方的に不利な規定は無効とされています。たとえば「企業側は一切責任を負いません」「損害賠償の上限は1円です」など、不当に企業が有利すぎる場合や「すべての責任は消費者が負う」「消費者がすべてを支払う」などの消費者が不利すぎる場合は無効となります。もちろんこれだけではありませんが、原則的には法律と違う契約をしてもよい、ただ例外的に無効になるものもあるというところはおさえておいて下さい。

くり返しになりますが、契約自由の原則なので「(後から)知らなかった!」「見ていなかった!」「法律に違反している!」は基本的には通用しません。公序良俗に反するものや消費者契約法違反の場合は「法律に違反している!」と言えますが、これは例外的なものです。ですので、経営者、企業関係者は基本的には「法律と違う!」は通用しないと肝に銘じておいて下さい。

法律よりも契約が優先

また、契約書のチェックの際に、契約の相手方から「この契約は法律と違うので直して下さい」と言われることがよくあります。会社の判断として相手の要求に応じて直すことは自由ですが、それを真に受ける必要はありません。「法律と違うことを書いちゃったから直さなきゃ」ではありません。あくまでも契約の方が優先するので、「わが社ではこの取引でやらせていただきます」でも何も問題なく、罰せられる話ではないということもおさえておくとよいかと思います。

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