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合同会社と株式会社、作るならどっちがよいの?【弁護士が解説】

皆さま、こんにちは。
弁護士をしております、中野秀俊と申します。
今日のテーマですけれども、合同会社と株式会社、どっちがよいの?というお話をしたいと思います。

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法人設立をしたい!合同会社?株式会社?

「法人を設立しようと思っているのですが、合同会社と株式会社はどっちがよいですか?」という質問をよくいただくので、そのメリット、デメリットについてお話したいと思います。

株式会社については昔からあることもあり何となくイメージがつくかと思います。しかし、合同会社は15~16年ほど前に会社法が新しくできた時に作られたものなのであまり馴染みがないかもしれません。

まず、合同会社のメリットとしては設立費用が安いことです。株式会社の半分ほどでできるため、「最初はスモールスタートしたい」「法人にするにもお金がない」という場合には最大のメリットです。合同会社を作る方の大部分がこの設立費用が安いことを理由にしているかと思います。

株式会社との違いとしては、合同会社は経営者=出資者というところがあります。株式会社の場合、社長(経営者)と投資家は別です。日本の場合は「オーナー経営者」といわれる自分で資本金を出して自分が社長になるケースも多いため、その場合は実際のところは経営者=出資者になります。ただ、合同会社は法律上も経営者が出資者となります。

また、いわゆる株式会社でいう取締役のことを合同会社では「社員」と呼びます。社員というと従業員というイメージがあるかもしれませんが、合同会社では経営者=出資者のことを社員といいます。ですので、合同会社では代表取締役ではなく代表社員という言い方をします。

合同会社のデメリット

合同会社のデメリットとしては、まず資金調達の方法が「社員権」のみになります。株式会社の場合は株式や社債などがありますが、合同会社の場合は基本的には株式はできません。合同会社でも社債などはできますが、基本的には資金調達は社員権の販売で行います。

また、合同会社は上場ができません。上場とは株式市場なので当然ですが株式会社しかできません。

さらに、実は会社を売る場合の「バイアウト」の難易度が高いというデメリットもあります。当然できないことはありませんが、合同会社と比較すると株式会社の方が圧倒的にバイアウトはしやすいという面があります。

株式会社の方が選択肢が広がる

これらのことから設立費用が半分で済むという理由だけなのであれば、私は株式会社の方がよいと思います。なぜなら、株式会社の方が合同会社よりも選択肢が広がるからです。今後、成長をしていき、どんどんと資金調達を行い、最終的に上場やバイアウトをする時に合同会社だとどこかで行き詰ってしまいます。正直なところ、設立費用は10万円ほど安くなりこの10万円は大きいと思いますが、成長していくことを考えると初期の10万円はケチらない方がよいのではと思います。

また、信頼力も株式会社の方があるといわれています。これは良し悪しがあり最近はそこまでではありませんが、古い会社や大手の会社と取引をする場合には「合同会社じゃなくて株式会社にしてよ」と言われることもまだまだあります。

さらに、合同会社から始めたけれども株式会社に変更したいというご相談はかなり多くあります。先ほどお話した通り、選択肢が狭まってしまい信用力もないというところで株式会社に変更するケースは多々あります。しかし、これには追加でお金がかかってしまうため、結局は最初から株式会社にしておけばよかったという話になってしまいます。ですので、設立資金が安いということだけが理由なのであれば、株式会社の方がよいかなと思っています。

もちろん、最初から大きくするつもりがない場合や飲食店などで会社名と飲食店名が違う場合は合同会社でもよいかと思います。例えば、会社名は「合同会社〇〇」だけれども「居酒屋〇〇」や「ラーメン〇〇」という形で会社名を出さずに経営している場合だと会社自体にあまり意味はなく、お店の名前がブランドになります。この場合、合同会社の方が安いのでとりあえず作ってしまうということもありかと思います。

しかし、そうではなく通常の会社であれば選択肢が広がるという意味でも株式会社の方がゆくゆくはよいのではないかと思います。

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