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週刊小売業界ニュース|2023/4/10週

2023/4/10週(4/10-14)にピックアップした小売業界ニュースをお届けします。今週のおさらいにぜひどうぞ!

出版市場が停滞するなか、じつは「児童書」は成長を続けているという「意外な事実」

記事要約(NotionAI)
この記事は、日本の出版市場が停滞している中で、児童書市場が成長を続けているという「意外な事実」について述べています。今日の出版市場について、歴史や読書統計、図書館、グローバリズム、テクノロジーなどとの関わりまで、多面的に取り扱った『オックスフォード出版の事典』(丸善出版、原著2019年)から、日本の出版市場と比較しながら、今後の示唆を考えています。

記事では、書籍の読書量は減っていないものの、雑誌が半減したことが読書時間減少に与えた影響が大きく、書籍販売が読書時間減少から予想されるよりも安定していることが指摘されています。また、経済的な理由が読書量減少の重要な要因でないことが指摘され、図書館の貸出減少傾向が書籍販売の減少よりも急激だということが明らかになっています。

さらに記事では、日本の児童書市場が成長を続けていることが示唆されています。少子化が進む中で、子どもの数が減少し、読書量も減っていると推定されるにもかかわらず、児童書市場は各国で2010年代に大きなブームを起こし、毎年記録的な売上を叩き出しているという指摘もあります。これは保護者が教育投資の一環として、かつてよりも子どもひとりあたりに対して多くの出版物を与えるようになったことが要因であると考えられます。

記事は最後に、読書量をマクロに増やす施策が現実的に難しいのなら、「(読まなくても)買う」出版物を探し、生み出すのもビジネスとしては選択肢のひとつだと指摘しています。世界の出版市場における購買と読書の不一致から導ける施策はいくつかありうると思っているとしています。

積読ならぬ、読まなくてもいい。
この断言面白く読みました。各国で一人当たりの書籍購入量の比較の中でも日本はそう少ない数値ではなく(漫画含む)、世界中で本にふれない人々が増えているという示唆もありました。

雑誌が半減、図書館貸し出し率など、小売業界においても「本丸競合のみならず、関連市場にも目を配ること」というメッセージを含んでいるように読めました。

事業撤退したZOZOスーツ 米国でフィットネス用に復活

記事要約(NotionAI)
ZOZOアパレルUSAは、かつて扱っていた全身採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT」の後継である「ZOZOFIT」を米国で販売することを発表しました。ZOZOFITは、フィットネスやウェルビーイング(心身の健康や幸福)分野での利用を想定しており、計測精度を高めるためにマーカーの数を約50倍に増やし、3D計測ボディースーツとして再登場しています。価格は98ドルで、購入時に身長や体重を指定すると、体形に合わせたスーツが届きます。

ZOZOアパレルUSAは、シリコンバレーのスタートアップに近い手法を取り、シンプルな製品を公開し、使ってもらいながら改善を目指すという姿勢を示しています。また、米国では成人の40%が肥満といわれ、糖尿病の比率も高いため、自分の健康を自分で守るという意識を持つ人が多く、フィットネスやウェルビーイングに対する需要が高まっています。ZOZOFITは、このような需要に応える製品として期待されています。

一方、電通が展示していたハグ(抱擁)の感覚を伝える技術「Hugtics(ハグティクス)」についても、記事で紹介されています。Hugticsは、人工筋肉で感覚を伝えるウェアラブルデバイスであり、センサーが付いた衣服、あるいはカメラの画像解析による人々の動きをデータ化してさまざまな用途に活用することを目指すプロジェクト「MOTION DATA LAB」の一環として開発されました。

Hugticsを利用しながら頭のセンサーで脳波を測定し、幸せを感じる信号が検知されると、ジャケットに仕組んだ発光ダイオード(LED)の色が変化します。遠くに住む大切な人のハグを転送する、ハグを記録しておいて好きなときに再生するといった使い方も可能となり、ビジネス面ではメンタルヘルスをサポートするサービスや、仮想現実(VR)とエンターテインメントを組み合わせた体験を提供することを視野に入れる可能性もあります。

以上のように、ZOZOアパレルUSAの「ZOZOFIT」と電通の「Hugtics」は、フィットネスやウェルビーイング、メンタルヘルスなど、健康や幸福に関わる分野で注目されている技術や製品です。

ZOZOSUITの技術が、フィットネス用としてアメリカで3D計測ボディースーツとして復活!このニュースは技術をどの市場でどんな商品とするか、その筋道を見つける方法として、とても興味深く読みました。

が、3D計測ボディースーツとあるだけで、商品の全容がいまいち見えてこない(特徴も不明)。フィットネス用ウエアこそ、変化に対応しなくてはいけないだろうから、サブスクモデルのほうが相性良さそうに感じました。

伊藤忠のデータが、ヤマザキが不完全なバナナをケーキに変えるのを助ける

NotionAI要約
伊藤忠商事の子会社である伊藤忠フードセールス・マーケティングは、データ分析により、市場に出荷するには不十分なバナナをケーキ用のバナナペーストに加工する方法を提案しました。この革新的なアイデアは、日本の最大手のベーカリーの1つである山崎製パングループに採用されました。

この提案は、消費者のトレンドに基づいており、伊藤忠フードセールス・マーケティングは、FoodataとPOSのデータを使用して分析を行い、バナナは30-50歳の男性と30-60歳の女性に人気があることを特定しました。この消費者トレンドを理解することで、伊藤忠商事は、山崎製パングループが製品にバナナペーストを使用することを提案することができました。

この伊藤忠と山崎製パングループの成功したパートナーシップは、伊藤忠が他の食品メーカーにも同様の提案を行うきっかけとなりました。伊藤忠は、データ分析によって、消費者のトレンドや好みを特定し、食品廃棄物の削減に向けた革新的なソリューションを創造することができます。

バナナペーストに加えて、伊藤忠の他の子会社であるDoleもこの取り組みから利益を得ています。彼らは、廃棄されるはずだったバナナを利益を生む製品に変えることができました。

この取り組みは、消費者のトレンドや好みを特定するためのデータ分析の力を示しています。伊藤忠の提案の成功は、他の食品メーカーが同様の解決策を探ることを奨励し、業界の食品廃棄物を削減するのに役立っています。

記事で紹介されているFoodata は、伊藤忠商事が 2021 年夏に立ち上げた食品および飲料メーカー向けの開発システムです。これは、製品データ (おそらく、どの食品のうま味または酸味があるかなど) を消費者動向に関連付けます。

製品データの中でも、味覚に注目している点が面白い。

性別や年代別、地域別の味の好みが簡単にわかる嗜好分析機能も含まれているとあり、今後ますます消費者の好みをどうデータとして蓄積・解析していくかが望まれていくことになるでしょう。

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