距離感
カウンターに設けたアクリル版を外せないでいる。
この騒動が始まった2020年の6月に取り付けたから、もう2年以上も経つ。
店によっては、もうすっかり通常営業に戻されているところもあって、こんな仰々しくアクリルの敷居を設けているところは少なくなってきているのかもしれない。
ただ、感染者数的にみると、これを設置した頃よりも圧倒的に多いわけで、いま外すとなると、「じゃあなんであの時着けてたの??」ってな話になると思う。
それに、
ここまで長い間着けていると、
もう、すっかりお店のインテリアみたいになってきている。
実際、初めて来られてお客さんには「元々そういう店」と思われることもある。
ところで、
以前ブログにも書いたことがあるのだが、
うちの店のカウンターというのは、「ブビンガ」という南洋材の無垢板から作られている。
買った当初は、まだ伐採してから経年が浅く、随分と水分を含んでいたようで、カウンター用に切断加工してからも、その断面からは水が吹き出そうなくらい若かった。(まだ家具として使うには早かったのだ・・・。)
したがって、開店して、カウンターとして使い始めてからも、当然収縮は続く。
具体的に言うと、カウンターの短辺方向、いわゆる奥行に当たる部分の長さが1.5cm〜2cmほど縮んだ。
(開店当初は、奥に見える低めのモルタルカウンターと同じ面まであった)
たかが1〜2cmと侮るなかれ。
これは、初めてくるお客さんにはわからないかもしれないが、開店当初から立っている身にすれば、結構大きな差異である。
それだけお客さんとの距離が近くなったことになるわけで。
実際、長く通ってくださっているお客さんに、そんな話をすると、「そういえば、なんとなく圧迫感が・・・、」なんてことになる。
「なんとかしたいなあ。縮んで減った分、何か緩衝材のようなものを入れるか?」
なんて、思いながら、さしたる解決法もなく日々過ごしていた。
そんな矢先のこの騒動。
図らずも、このような思いもしなかった巨大なアクリル板を置くことになった。
ところがこの大袈裟な「緩衝材」。
最初のうちこそ、「お酒は出しにくい」「会話はしずらい」「メンテは面倒」などなど、いいことなど何もないと感じていたのだが、
だんだん使っているうちに、なんとなくお客さんとの適度な「距離感」が生まれ、
まんざら居心地が悪いわけでもない、と思うようになった。
(ただ単に「慣れた」だけかもしれないが。)
もしかすると、これが僕の(お客さんも?)求めていた解決法なのかもしれない。
ひょんなことで、生まれたこの「距離感」。
もう長年やっているのだから、ちょっとくらい、そんな「成り行き的」なところがあっても、お店としては面白いのかもしれない。
なんて、最近思っている。
皆さんは、どうお感じになられていますでしょうか。
神保町へお越しの際は、是非お立ち寄りください。
実際、外すとなると、置場に困るんですよねえ。またパンデミるかもしれないし。
お待ちしております。
Open Field / KILN
Secretly Canadian Music
2020
(本文の最後に、お店でよくかける音楽を紹介しています。お家でお酒を飲まれる際に是非どうぞ。今度お店に聴きに来てくださいね。)
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