たった一人のために。
「餡子(あんこ)」好きである。
断然「こしあん」派だったが、最近は「つぶあん」もいいかな、と思いつつある。
いずれにせよ、生粋の「あんこ」好きである。
近くのスーパーで、お彼岸近くになると、半業務用のような、お得ビッグサイズの「あんこ」が売り出されることが度々あった。
多分、ぼたもちやおはぎ用の「あんこ」だけの需要を見込んでのことだろう。
いくら「あんこ」好きとはいえ、饅頭や大福に入っているのを楽しむのがメインで、「あんこ」そのものを買うという考えはなかった。
(本当は三重の「赤福」が買えればいいのだが、そう頻繁に手に入るものではないし、ましてや自分で作るのは、どうもにも手間そうで敬遠してしまう。)
「これは良いもの発見!!」ということで、まとめ買いをしておいて、お家でお餅にのっけたり、流行りの小倉トーストにしたり、しまいにはそれだけを舐めたり(笑、色々と楽しまさせてもらっている。
彼岸が過ぎても、売れ残っているものは、気付くと買い足すようにして、なんとか次のお彼岸まで持たせるように、ちょっとづつ食べるようにしていた。
そんな購入遍歴が、何シーズンか繰り返されたある日、いつも通りそのスーパーを覗いてみると・・・、なんと、「あんこ」専用の棚が設けられているではないか。
いつもは、臨時の段ボール箱からそのままという感じだったのに。
自惚れで言うわけではないが、これって、どう見ても僕が作らせた棚としか思えない。
考えてみると、毎回買うときの商品の減り方を見ると、どうも、買っていたのは僕だけのようなのである。
みんな、「あんこだけ」なんて、食べないのかな??
でも、実は商品の売れ行きなんて、実際そんなものなのかもしれない。
継続的に売れているように見えても、買っている人は限られていて、ある特定の贔屓客に、繰り返し買われることによって維持されているものなのかもしれない。
僕自身、買うものなんて大体いつも決まっているし、そのほかの商品になんて、目もくれないものだ。
そして、そういった人が何人か集まって初めて「定番」という地位が与えられる。
これは、うちの店にも当てはまることで、
メニューやお店の棚には、多数のお酒が並んでいるように見えるかもしれないが、
これらが満遍なく選ばれているわけではなくて、「その一品が好き」という特定のお客さんによって、かろうじてその位置をキープしているものが少なくない。
たった一人のための、一品。
侮るなかれ。
それが集まって、店が成り立つ。
かのミスター・ジャイアンツ、長嶋茂雄さんは、球場に入ると、
「今日は、バックネット裏の、あの席の、あの子のためにプレーしよう。」
と思うと、不思議と落ち着いて、良いプレーが出来たそうです。
たった一人のための、一球。
恐るべし。
それが重なって、50000人の観衆を沸かす。
神保町へお越しの際は、是非お立ち寄りください。
この「note」は、あんこ好きのあなたのためだけに書きました(笑。
お待ちしております。
let me play for you (feat. oatmello) / Dream Easy Collective
United Common Records
2017
(本文の最後に、お店でよくかける音楽を紹介しています。お家でお酒を飲まれる際に是非どうぞ。今度お店に聴きに来てくださいね。)
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