休肝日に BAR へ行こう?!
1回目のワクチン接種を受けてきた。
住んでいる区の接種が、いつになるやら分からない状態なので、東京都が用意してくれた、感染対策を行っている飲食店向けの集団接種を利用した。
場所は新宿都庁。
新宿なんて、久しぶりに行った気がする。
僕は、新宿のとある BAR で、5年半ほど働かせてもらっていた。
だからなのかもしれないが、基本的に新宿という街が好きだ。
神保町で店をやるようになって、少し離れてしまった感があるが、今も定期的に訪れる、数少ない街だ。
昨今のこの騒動で、外出自体を控えているところもあるが、
やはり、行くと、懐かしさもあって、心が弾む。
ところで、いよいよ東京オリンピック・パラリンピックが始まる。
僕が新宿で働いていた頃の、師匠にあたる大先輩のバーテンダーさんは、何を隠そう、前回の東京オリンピック(1964)の時も、新宿でバーテンダーとして働かれている。
その当時の話を聞かせてもらうと、驚いたことに、政府から
「オリンピック開催地で、夜中に酔っ払いが街をうろつくのは風紀を乱すのでけしからん。深夜12時以降は酒を出すな。」
というお達しが出ていたらしい。
政府の権限も、世の中の空気も、そういう時代だったのだろう。
仕方ないので、客には夜12時を超えると、一旦お酒を下げさせてもらって、カップスープのようなものを注文してもらい、それが空いた後にそこに酒を注いで飲んでもらっていたそうだ。検閲が来ると、「スープですよ。」とシラを切っていたらしい。(まさに「スピークイージー」の世界だ。)
「へえ。そんな馬鹿げた要請があったなんて、可笑しな時代ですね。」
なんて笑っていたが、今は「それ以上」な事になっている。
世の中、本当にわからないものだと思う。
ところで、
それもこれも、日本という国が、酔っ払いに対して「寛大」である、という風潮があるように思う。
海外で、夜中に千鳥足で歩くような酔っ払いがいたとしたら、かなり危ない人か、それでもなければ、本人が危険な目に会うのは目に見えてるのではないだろうか。
日本人は決して「酒に強い」人種ではない。
「最も酒に弱い民族」なんて言う人もいるくらいだ。
一方、海外の方、特にアングロ・サクソン系の方のお酒の強さは、我々の想像をはるかに超える。
以前、よく通ってくれていたドイツ系のお客さんは、食前にマティーニを2杯ほど飲んでから、レストランへ行って二人で3本のワインを空けた後、また戻ってきてモルトウイスキーを3〜4杯飲んで、ケロッとしていた。
アルコール分解能力が全然違うのだ。
しかし、それがゆえに、彼らの中には「アルコール依存症」になるケースも多い。
「飲めて」しまうからだ。
日本人のなかで、「アルコール依存症」になるほど「飲める」人は少ない。
その前に、どこか別の体を壊してしまうからだ。
ところで、
昨日今日、どうも体調が良いと思ったら、ワクチン接種のせいで「酒抜き」をしたからだと気付いた。(もちろん注射を打った肩は痛いのだが・・。)
僕は、量はそれほどでもないが、必ず毎日「晩酌」をする。もうそれが習慣になっていて、風邪でも引かない限り、やめることはない。
夏の暑い盛りなので、アルコールを摂取すると、間違いなく体温が上がり、良質な「睡眠」を阻害する。
ここ2〜3日ほどノンアルコールビールで代替えをしているので、それがない。
そんなことが好影響を及ぼしているのだろう、気になっていたお腹の出っ張りも、心なしか引っ込んだ気がする(笑。
散々お酒を売っていて、言うのも何だが、
やはり日本人には、定期的な「休肝日」は有効なのかもしれない。
「風邪引いて酒を抜いてるから、おかげで調子いいよ。」なんていうお客さんの冗談も、あながち嘘ではないのが良くわかる。
今回の度重なるノンアルコール営業のおかげで、ずいぶんと「ノンアルコールカクテル」のレパートリーが増えた。
もちろん、お酒を飲まれない方には、ご好評いただいているが、
これからは、お酒を飲む方にも、ちょっとした「箸休め」的に、ノンアルコールカクテルなどを間に挟むような飲み方が有り得るのかもしれない。
「そうだ、休肝日に BAR へ行こう!!」
そんな時代が来るのかもしれない。
神保町へお越しの際は、是非お立ち寄りください。
お客様の「健康」が、何よりの私の「財産」です。
お待ちしております。
Late Nite / muki
Mantra France
2000
(本文の最後に、お店でよくかける音楽を紹介しています。お家でお酒を飲まれる際に是非どうぞ。今度お店に聴きに来てくださいね。)