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[酒と夕日と音楽と]夏の夕暮れに似合う極私的プレイリスト

前にもお伝えしましたが、私が住んでいる村には居酒屋といえる店が一軒しかありません。
村の目抜き通り(全長100m)の中ほどにある「熊の左手亭」です。

私:ぷは〜!
仕事を早仕舞いして飲むビールサイコー!
お通しの、見たこともない巻貝を塩茹でしたヤツもウメ〜。

今日も今日とてこの店に寄り、明るいうちから飲酒をしておるのですが、若干の問題があるのです、ここは。

私:しかし相変わらず店内のBGMはゴリゴリの現代音楽ばかりだ…
無調〜十二音技法の新ウィーン楽派から、より実験的なスペクトル楽派へのこの流れ、ビール一杯でトリップしそうだ〜…

ガンコな店主のこの趣味のせいで、客たちは勝手にテーブルや椅子を外へ持ち出し、店先や裏のテラスで飲んでいます。
故にいつの間にか注文はキャッシュ・オン・デリヴァリーとなっていました。

私:今日も暑いけど、潮風のおかげでこのテラス席が気持ちいい〜。
しかし、どうして爺さん婆さんたちは延々と不協和音が響く店内で平気で飲んでいるんだ?

もちろん、耳が遠くなったからです。
涼しい店内でゆったり飲めるんだから、加齢もいいところがあるようです。

私:まぁいいや、いい具合に西の空が暮れてきたよ。
こっちはこっちで雰囲気に合う曲でも聴きながら飲むとすっか。


♪ "Reach Out"  by Mad Satta

私:いいバンドなのに活動休止が残念だよ。
Joanna Tetersさんのニュアンスに富んだ歌声も好きだな。
酒は軽くカンパリ・ソーダなど良さげだね。


♪ "タオル"  by クレイジーケンバンド

私:横山さんの思い出の本牧市民プール、いつか泳ぎに行きたいなぁ。
ここはベイ・ブリーズでイメージだけでもヨコハマ気分を出して、と。


♪ "Cruisin to the Park"  by Durand Jones & The Indications

私:聴いてるだけで、夕暮れのイーストL.A.を流してる気分になるよ。
よし、次はご当地の名酒マルガリータにしよう。


♪ "LOVE MAX"  by LITTLE TEMPO

私:このバンド、いつもながら最高だなぁ。
TICOさんのスティール・パンがゆったり響いて、体が夕空に浮くようだよ。
トロピカルなムードでソル・クバーノを飲もう。


♪ "If You Want It"  by Niteflyte

私:定番中の定番だけど、このマイアミのユニットも気分にピッタシ。
Sandy Toranoさんのギターが涼しい風を呼ぶようだよ。
酒もその名の通りマイアミをもらってこよう。

お?曲がそのままFlamingosisに変わってた。

♪ "Cosmic Feeling"  by Flamingosis

私:フリースタイル・フリスビーのチャンピオンだったお父さんと叔父さんをモチーフにした、なんともいえないアニメがノスタルジックだよ。
"If You Want It"をガッツリ引用してるけど、爽やかさと切なさでは負けてないね。
すぐさまモヒートを作ってもらおう。


♪ "São Paulo"  by Chic

私:だんだん夕闇が迫ってきたところで、Chicの1stからの、フルートも超メロウな良い曲!
ここはサンパウロらしくいこう。
すみませーん、カイピリーニャを下さーい。


♪ "Groove On"  by Little Beaver

私:すっかり日も落ちてきたよ。
マイアミ・ソウルの若頭の曲だから、酒もフローズン・ダイキリにしよう。
浜辺の熱気が残ったオンショアを感じるような気がするね。


店主の熊腹さん(以下”熊”):おーい、そろそろ閉店だぞ。さっさと帰れ帰れ。

私:ヴァイ…それりゃ甲類焼酎をロックでジョッキでおかわりくらさーい。

熊:また外へ放り出すぞ。
めんどくせぇカクテルばっかり注文しやがって。

私:ぢょっどお腹も空いでぎだのれ、本日のおすすめ「手長海老と甘鯛のアクアパッツァ」と「ラム肉のキドニーパイ」もお願いじゃーす。

じゃーす じゃーす じゃーす …zzzz…

私:あれ?あれ?
ここは…三本松のお地蔵さんの前じゃんか。
なぜか両足とも裸足だ…しかも午前10時半!?
ヤバイヤバイヤバイ!大遅刻だー!


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