いいまちはみんなの愛でできている。
※下書きしてその後すっかり忘れてた記事を備忘録的に投稿
2019年3月16日、17日の2日間、神奈川県の真鶴町で行われるアートイベント<真鶴まちなーれ>へワークショップを出展しました。
真鶴町には実は学生時代から縁があり、大学院生だった当時、真鶴小学校の総合学習の時間をつかった景観まちづくり教育の授業を同じ専攻の仲間たちと1年間担当していました。今回は当時のチームを再結成し、3/16(土)、17(日)の二日間で真鶴の景観をテーマにした模型ワークショップを開催。私たちは[manaken] というチーム名で出展!
当時は小学校5年生だった子どもたちも今年成人式を迎え、いつのまにこんなに時が経ったのだろうとちょっとしたトランス状態に陥りつつ、懐かしい方もたくさん訪れてくれました。当時は生まれていなかったであろう子供たちもたくさん参加してくれました。
真鶴まちづくり条例「美の基準」がベースのアートの祭典
<真鶴まちなーれ>は、2014年から開催されているまちじゅうを使ったアートプロジェクト。まちなーれが開催される1ヶ月間は、町内外から現代アーティストが集う展示活動や、まちでの交流を楽しみながら行うワークショップなどが真鶴町のあちらこちらで行われます。
2017年に開催された<真鶴まちなーれ>についてはこちら↓
<真鶴まちなーれ>の大きなコンセプトは、なんといっても『美の基準』。
『美の基準』は、真鶴町が1993年に定めたまちづくり条例。主には景観やまちの環境を守るためにつくられたまちのデザインコードです。
人の気配を感じる静かな瀬戸道、みかんのような実のなる木が植えられた庭、日向ぼっこにぴったりな石段や縁側・・・。一般的な景観条例とは表現が異なり、真鶴になくてはならない日常の景色を美しい言葉で切りとり、そんな風景をつくるための作法や特徴が書かれたものが、『美の基準』なのです。
まちの景観や、まちづくりに興味のある人には、ぜひチェックしてみてくださいね。(冊子は真鶴町役場で1,500円で販売しています!)
観光旅行でおとづれた歴史的なまちなみ、外国旅行でみたあの教会、そして子どもたちと一緒に行く賑わった海、目をつぶってそれらを思い出すと、そこにはみんなが「協力」して創ったという思いがわいてきます。「協力」して創ったということは、そこに何等かの「共通の思い」があったということなのでしょう。「美の基準」は真鶴町を美しくすることによって、生き生きと生活するための「ルール」です。(真鶴町まちづくり条例 美の基準より)
上記は、「美の基準」の冒頭に綴られていることばです。
まちの景色というものは、知らない間にそこに"存在"するもののように思えるかもしれません。けれど、それはその場で暮らしてきた人が生活を積み重ね、ある時は守り、あるときは変化を及してきた"結果"なのです。全国にファンの多い真鶴のまちなみ。この景色が今も残り、かつ色褪せることがないのは、町の人々がこのまちの営みのなかで守り育ててきた結果なのです。
真鶴まちなーれは、そんな真鶴の人と「美の基準」が守ってきたまちの生活の作法をまちの内外の人に問い直し、冒頭の言葉にあるみんなの「協力」をつくる一連の作業のなかにあるイベントなのだと感じます。
みんなで"真鶴っぽい"まちの模型をつくろう!
まちなーれの期間中、内外からたくさんの肩が真鶴にやってきますが、我々のWSは町民の方にこそ参加してもらいたいという気持ちで企画。たくさんの方に参加いただき、とても楽しいまちの模型ができました!
このワークショップのミソは、真鶴の模型そのものではなく、「真鶴っぽさ」を模型として表現するところ。用意した美の基準キーワードカードを手がかりに、それぞれが思い浮かべる真鶴っぽさ、欲しい景色を思い浮かべながらつくってもらいます。
それぞれに味のある作品ができあがり、みるみるうちに真鶴っぽいまちができあがっていきました。
いいまちは、まちを愛する気持ちでできている
今回ワークショップをやってみて感じたこと。
ひとつひとつのユニットが組み合わさっていくと、みんなが好きな真鶴っぽさの集合で、不思議と、「あ、これ真鶴だわ」と思うまちができ上がっていく。
「真鶴っぽさ」を思い浮かべながら手を動かし、可視化していく作業から紡ぎ出される「まちのイメージ」。
共有されるまちのイメージをみんなが好きな真鶴らしさを守っていくことと、25年前に美の基準をつくった先人の感じる真鶴らしさや精神性は確実に受け継がれていると感じました。
町を愛する人が暮らしをつくるからこそまちは守られる。そして、それぞれの表現でまちを愛するからこそ多様性が生まれる。
そんなことを実感したワークショップでした。
この模型ワークショップ、ぜひいろんなところで試してみてみたいなぁ。