太平洋戦争は防止できた

 現在でも、「どうすれば太平洋戦争は防止できたか?」は、しばしば問われる。その問いに答えることは、その勃発までの経緯をきちんと理解できていれば、大して難しくない。

 要するにその太平洋戦争勃発の経緯とは、その根本的な要点だけまとめれば、以下のようになる。
(1)日本は、大東亜共栄圏建設の為にアメリカと戦争した。その発端は、第二次世界大戦の緒戦のドイツの大勝。ドイツがフランスを打倒したのを見た日本は、ドイツがその後にイギリスも打倒してしまうものと思い込んでしまう。そして日本は、それが大東亜共栄圏建設の為の絶好のチャンスと思い込んでしまった。
(2)そして日本は、当初は、アメリカとの戦争は回避した上で、それを行うつもりだった。が、事態は日本の期待通りには進まず、結局、大東亜共栄圏建設の為には、アメリカとも戦争して勝たなければならなくなる。
(3)その時点で、アメリカの戦争準備は遅れており、東南アジア各地の防備も弱体で、日本が軍事的に優位だった。すなわち、日本は緒戦では必ず勝てる状況であり、東南アジア各地の占領までは確実に行える状況だった。
(4)ただし、その戦争は短期で終わらず、必ず長期戦になる。そして日本は、アメリカが日本の遙かに上回る国力と工業力を持っていることは認識していた。しかし、東南アジア各地を占領できれば、その資源と地の利で長期戦を戦い抜けると判断(ないし、その捏造を)し、戦争を決断する。すなわち、日本は「アメリカに勝利しうる」と判断し、その上で戦争に突入した。

 以上を理解していれば、「もしこうだったら太平洋戦争勃発は阻止できた」という方策は、本当に実現できていたか?はまた別の話になるが、色々と考えつくはずだ。この記事は、その色々を書き記したもの。なお、テーマがテーマなので、右や左の方々に目を付けられにくいよう、有料にした。

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