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隠蔽捜査2 果断 今野敏

今日は初めてiPadからの投稿でいつもより読みにくいかもしれませんが、よろしくです。

Reading at Homeは大人だってこの機会に家で本を読もう!って趣旨でいろいろなジャンルの本を読んでは紹介しています。読書を続けているとだんだんと本を読むスピードは上がってきますが、それでもやはりなかなか進まない本もあれば一気に読み終えることができる本もあります。

隠蔽捜査は私にとって一気に読んでしまうことができる類の本です。隠蔽捜査1を紹介したときにも触れたのですが、この小説は数学を指導している高校生から紹介してもらいました。しかもおとなしい女の子でいまだにこの小説のどこが彼女にとって面白いんだろう?と思うわけですが、私にとってはよくできた刑事ドラマを観ているような気分で読み進んでいくことができる物語です。

そろそろ、家にいるの時間も持て余してきた世のおじさまたちに心からお勧めしたいと思います。

主人公の竜崎は1巻で警察組織のいざこざに巻き込まれて、責任を取る形で警察庁のキャリアポストから所轄の署長へと左遷されます。2巻では大森署長に着任してからの事件の模様が描かれているわけですが、これが1巻以上に臨場感があって面白いのです。1巻ではどうしても警察組織内部のしかもコアな部分が描かれており私にはなかなか想像の及ぶところではなかったりもしたのですが、2巻はまさに「踊る大捜査線の「事件は現場で起きている!」という名台詞を思い出させるようなストーリーです。

消費者金融強盗事件からの立てこもり事件。その解決のためのSITとSATの主導権争いやその中での竜崎の決断に至る思考プロセス。事件解決後の後処理における竜崎と監察官のやりとりや一旦は事件解決と思えた後の大きな転換への竜崎の対処。私と同世代の主人公がロジカルに決断していく様は気持ちがよい一方で、自分も含めなかなかこんんな風に対応できないだろうなとか、この国にこんなエリートがたくさんいたらいろいろな問題が解決するのだろうなとかいろいろ考えさせられます。

事件の本筋とは関係ないのですが、警察署長として学校とPTAの会合に出た際のエピソードが秀逸でした。PTAの役員が子どもたちが安心して学校に通うことができるように警察に対して一層の努力を求めた際のやりとりが面白かったんです。
防犯のために地域課の署員が巡回カードに家族構成などを書いていただきたいと廻るが、それにきちんと協力してほしい。と竜崎が言うのに対してPTAの役員は「プライバシーの侵害ではないか」とか「プライバシーと治安は関係ない」と非難する。それを受けて「プライバシーと治安のどちらかを選ばなければならない時代になったのだ」と竜崎は断じます。いささか過激にも聞こえるけれども、確かにそう言う一面は否定できないと思います。このあたりの竜崎の持論は長いのでここでは書ききれないのですが、私たち戦後の日本人はとにかく自由を求めてきたのだと、近所付き合いや大家族から学校や様々な組織に至るまでとかくプライバシーを盾に人間同士の干渉を減らす方向に社会を作ってきた。その結果として希薄な人間関係が治安低下の大きな要因となったと竜崎は指摘します。自由と制約、権利と義務の間でどうバランスを取るかについて、複雑かつ混沌とした現代社会で常に問い続けなければならない問題を主人公の視点でさらりと語られていて、なんとなく納得させられてしまう人も少なくないでしょう。

描かれる事件が解決するまでの流れも緻密でかつ淀みがなく、そこに関わる警察関係者の人間模様もよく描かれています。また主人公の竜崎は良い意味でのエリート意識を持ち、原理原則を重視する実直な人間なのですが、反面で融通の効かない「変人」扱いもされてしまいます。そんな彼の人間味のあるところを彼の家族とのやりとりを併行して描くことで竜崎の人間臭さもうまく描かれていると思います。竜崎は奥さんの入院を機に自分が家庭では何もできない人間であることに戸惑うのですが、私も似たようなものだと思います。

このシリーズはまだまだ続くようです。こればかりを読んでいるわけにもいかないのですが、少しづつ読んでいきたいと思います。

ゴロゴロしてしまっているお父さんにぴったりの一冊です、もしかしたら2巻から読むのもありなんじゃないかと思います。手にとってみてください。

最後まで読んでいただいてありがとうございます。
次回もお楽しみに〜

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